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小西遼生ら出演。イッツフォーリーズ公演 ミュージカル『魍魎の匣』公開ゲネプロ&取材会レポート!

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11月10日(水)より15日(月)まで、オルタナティブシアターにて上演されるミュージカル『魍魎の匣』が開幕した。

『魍魎の匣』は、京極夏彦による百鬼夜行シリーズの二作目として刊行された長編推理、伝奇小説。第49回日本推理作家協会賞受賞作でもあり、コミックやアニメ、映画と、さまざまなメディアミックスがなされた人気作だ。

2019年には舞台化もされているが、ミュージカルとなるのは今回が初となる。その演出、上演台本、作詞に挑んだのは、幅広いジャンルの作品を手掛け、日本版脚本&歌詞・演出を担当した『FACTORY GIRLS ~私が描く物語~』で第27回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した板垣恭一。上演される前から追加公演が決まるなど、期待の高さがうかがえる中、11月14日(日)公演の生配信決定も発表された。

今回は、上演に先駆けて行われた公開ゲネプロおよび取材会の模様をお届けする。取材会に登壇したのは板垣恭一のほかキャスト陣から中禅寺秋彦役の小西遼生、木場修太郎役・吉田 雄、榎木津礼二郎役・北村 諒、関口巽役・神澤直也、そして原作者の京極夏彦も招かれた。

主演の小西は「『魍魎の匣』初めてのミュージカル化ということで、あの面白い原作をお客様に楽しんでいただくためにはどうしたらいいかと、1ヶ月以上考え続けてきました」と語り、歌で説明をすることが多い役柄上、果たして伝わっているのかと考えながら取り組んでいると、脳が休まる暇が全くないと吐露。「今もゲネプロを終えたばかりで正直朦朧としています」と笑いを誘いながらも、初日の幕を無事に開けたいと抱負を語った。

小西と同じく「分厚い原作をこれだけに圧縮した台本をどう演じていくのか、ずっと考えてきました」という吉田は、今もなお考え続けていると続け「そうやって、作品をどんどん良くしたい。それが千秋楽まで続いていくんだと思います」と思いを口にする。そして、イッツフォーリーズではこれまで同様の作品に取り組んだことがなかったことに触れながら、今作を新たな一歩にしたいと意気込みを述べた。

「映画化や舞台化など、今までにもさまざまな展開をしているのは『魍魎の匣』という作品が多くの人に愛されている証拠」という北村は、今公演のチケットの売れ行きや追加公演の決定からも、寄せられる期待の大きさを改めて実感したという。昨今のコロナ禍での状況下を鑑みながら「客席が満員での上演もなかなかないことだと思いますので、この重厚な情報量のある『魍魎の匣』を、余すことなくお客様にぶつけたい」と熱意を語った。

神澤は「満員の客席が初日から千秋楽まで続くというのは人生で初めて」と、プレッシャーを感じていることを正直に語りながらも「それ以上にワクワクが勝っているのが今の心境です」と意気込む。原作が人気大きな作品だけに、ミュージカル化や、男性キャラが劇中では女性となっている脚色について、ネット上でさまざまな声があったことを踏まえ、「実際に観てもらえたら“アリだな”と思ってもらえるよう頑張りたい」と決意を語った。

「あまり観たことのないミュージカルを作ってみたいという野望がありまして」と口火を切った板垣は、書店で目にする『魍魎の匣』のあまりの分厚さに、25年間ほど逃げ続けていたと告白。いざ読んでみるととても面白く、分厚さをもろともしない読みやすさに、作品の人気について納得するとともに「ミュージカルでできるかもしれないな、と考えてしまった」と、今作が生まれたきっかけを語った。

そして「演劇における歌というのは、時間と空間を自在に飛び越えられる特性がありまして。だとしたら、この一大謎解きと複雑な人間関係を、ひとつの舞台、ひとつの時間軸で見せられるのではないかと思った」という今回の“たくらみ”も明かされた。

原作の面白さについて板垣は「思い切っていうと、人がよく死んでバラバラになってしまう。そこが面白かった」としつつ、最も心惹かれたのは劇中歌にもある「動機というのは解釈に過ぎない」というフレーズ、そして「不思議なことは何もない」という言葉だと述懐。凄惨な事件も心温まる話も、人間というのはそれぞれささやかな事情で生きているのがから、個人レベル見たら何ら不思議なことはなかったりする。

原作の小説も「仕掛けは一見おどろおどろしいけど、中心に据えられているのはごく普通の人の営み。そう思ったので、僕はこれをやりたいと思いました」と熱を込めて語る。「物語というのは解釈だし、僕たちは物語の中に生きているに過ぎない、というのを中禅寺が言っている。僕はそれに感銘を受けました」。

小西の言葉を受けて「みなさんの頭が朦朧としてしまうのは、全て私のせいです」と笑いを誘った京極は、今回のミュージカル化について「最初は耳を疑いました」と発言。そして「おっしゃる通り、前代未聞のミュージカルにはなっていると思います。犯行の動機や、ケガの具合や、お化けの説明を歌うっていうのは、多分これまでにないと思いますし、今後もないと思います」と、これまた笑いまじりの太鼓判を押した。

ミュージカルとあって、小西からの「気に入った曲は?」の問いには「どれもいい感じでした。みなさん、声もよろしいので内容がよく入ってくるんです。ただ、(話の筋が)ごちゃごちゃしてますから、入ってきたのを心地よく聴いてると抜けていくんです。それが逆にいいかもしれないと思いますね」と、実際に鑑賞したなら八割の人が頷くであろう返答。取材会ラストにはサプライズとして直筆で「千客万来」と祈願をしたためた色紙も寄せていた。

主演・小西遼生よりメッセージ

こうして劇場でお客様に観てもらえることを、僕らは稽古初日の頃からずっとワクワクしながら待っていました。面白い作品にできるかどうかは僕ら次第ではありますが、この作品に入る前に原作を読み、そして渡された台本を読んだ時に「これが本当に上手く作用したら、みなさんにとても複雑なエンターテインメントが届けらるのではないか」と思っていました。言葉というのは、苦手な人にとってはとても難しく感じるかもしれませんが、この作品の中にはあまり答えがないので、僕らも脳を思いっきり揺さぶっていきたいと思います。受け取り方は自由という言葉も京極先生からありましたし、お客様もグワングワンの頭で劇場から帰っていただけたらなと思います。今、劇場が100%の状態で開けられることが本当に幸せだと思っておりますので、みなさんの貴重な時間をほんの少し分けていただいて「損しなかった!よかった!」と思ってもらえるように頑張りたいと思います。

文・撮影:古原孝子

公演概要

イッツフォーリーズ公演 ミュージカル『魍魎の匣』

原作:京極夏彦「魍魎の匣」(講談社文庫)
上演台本・作詞・演出:板垣恭一
作曲・音楽監督:小澤時史

出演:
小西遼生・吉田 雄・北村 諒・神澤直也・大川 永
加藤 将・熊谷彩春・池岡亮介・德岡 明・万里紗・横田剛基・
宮田佳奈・米谷美穂・金村 瞳・神野紗瑛子・堀内俊哉・浅川仁志・森 隆二 / 駒田 一

明羽美姫・鈴木彩子・東城由依・矢野叶梨・近藤萌音・日野七乃葉

会場:オルタナティブシアター
東京都千代田区有楽町2丁目5番1号 有楽町マリオン(有楽町センタービル)別館 7F

期間:2021年11月10日(水)〜 15日(月)

公式サイト:http://www.allstaff.co.jp/mouryo/

11月14日(日)公演の生配信が決定!

詳細は公式ホームページにて

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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