内海啓貴インタビュー ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』「劇場でしか味わえない感動、それを生み出せる役者になりたい」(後編)
――今後どんな役者になっていきたいか、内海さんの未来のビジョンをおうかがいしてもいいですか?
えー! その質問、緊張しますね(笑)。
僕が目標にしているのは30才の時にどういう俳優になっているかということです。それまで地道に頑張っていろんな役ができる役者になりたいなと思います。
自分でもやっていきたい作品や役柄はたくさんありますが、自分の考えに捉われずたくさんの作品に出たいと思っています。
――役者として「こんな役をやってみたい」という気持ちが出てきたのは、いつごろからでしたか?
ミュージカルを好きになって、ここ2〜3年くらいからですね。それからいろいろと作品を調べたり、観劇をしたりして。観ていると「あ、これもやりたい!」となるので、それがきっと好きな作品、役柄という証拠なのかなと。
――そこまで感じるには何か大きな理由やきっかけがあったのでしょうか?
生の演奏やミュージカルにしかない華やかなエンターテイメント性を感じたときですかね。映像とは違う表現や、生で感じるビート、心が震える感じとか、観劇したことがある方なら分かると思うのですが、この感覚ってやっぱり劇場でしか味わえないと思うんです。その感動の一部を生みだしていける役者になりたいなという気持ちがありますね。
改めて、お客さまとキャストが一緒に作品を作っているのだと実感した
――2020年、2021年とかなり精力的に舞台に出ていらっしゃいますが、コロナ禍ということで大変なことが多くあるかと思います。ここ2年間で舞台に対する取り組み方や心境的に変わったことはありますか?
やっぱり自己管理に対して、すごく意識が高くなりましたね。舞台はみんなで一つのものを作り上げているので、自分1人が感染してしまったら、公演は中止になるし、みんなの仕事がなくなってしまうのかと思うと……。かなり緊張感を持って現場にも入っています。
マスクをしながら稽古しなければならない、歌わなければならないので、そういう部分にも気を付けながら、板の上に立つ重みといいますか。もちろん普段以上に気を付けなければいけないことが多いのでストレスになることも多少ありますがスタッフさんや関係者の方達の感染対策が完璧なのと、観に来てくださるお客さまも感染症への対策を徹底的にやってくださっているので、本当にありがたいです。
コロナ禍の前は、板の上でキャストが頑張っている、それが一つになったのが舞台だと思っていましたが、そうではなくてお客さまがあってこそ舞台は完成するんだなと改めて気付かされました。マスクをして観劇してくださっている姿を見ると、お客さまと僕らでこの作品を作っているのだとひしひしと感じます。
――マスクをされていても、お客さまの反応は伝わりますか?
分かりますね! それがとても嬉しいです。
もちろん「ここは声を出したいのに……」と感じていらっしゃる部分もきっとあると思うのですが、そういうのも伝わってくるのでとても面白いですよね。