ミュージカル『るろうに剣心 京都編』開幕直前、取材会レポート! 小池徹平「体の痛みも楽しさに変わる」
5月17日(火)より東京・IHIステージアラウンド東京で開幕するミュージカル 『るろうに剣心 京都編』の取材会とフォトコールが16日(月)に行われ、主演の小池徹平と、黒羽麻璃央、加藤和樹が登壇。作品や自身が演じる役の魅力や、公演に向けての意気込みを語った。
累計発行部数7200万部超の和月信宏原作による大人気コミック「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」(集英社 ジャンプ コミックス刊)は、明治時代の日本を舞台に描かれ“新撰組”“紀尾井坂の変”“池田屋事件”などの史実を絡ませたオリジナルストーリーが歴史ファンにも支持され、これまでにアニメ、小説、実写映画など様々なメディアで展開されてきた。
幕末の世に最強の刺客”人斬り抜刀斎”としておそれられた主人公・緋村剣心を演じるのは小池徹平。剣心の後継者として人斬り役を担っていたが明治政府の裏切りにあい全身を焼かれ、国家転覆をもくろむようになる最大の悪役・志々雄真実役に黒羽麻璃央。剣心の師匠であり育ての親でもある十三代目飛天御剣流継承者・比古清十郎役を加藤和樹が演じる。
脚本・演出は、日本のミュージカル界を代表する演出家・小池修一郎が手掛ける。
取材会にはキャストを代表し、小池徹平、黒羽麻璃央、加藤和樹が登壇。公式サイトで発表されているビジュアル通りの小池と加藤に対し、黒羽だけが違う衣装で現れ、包帯姿で登場かと思っていた取材陣からは驚きの声が上がる。
最初に、翌日に初日を迎える今の心境を聞かれ、小池が「バタバタしながらも、みんなの中で『るろうに剣心 京都編』というものがひとつにつながったという実感が沸いています。(コロナ過で公演中止となり)2年越しにお客様の前で演じられるというのは非常にワクワクするものがありますし、時間はかかったけどようやくここまで来れたなという気がしています。あとは全力で臨むのみ!」と力強くコメント。
黒羽は「まず、僕のこの格好が誰だか分からないっていうのはあると思うのですが(苦笑)、こちらは包帯姿になる前の志々雄真実さんです。ずっと包帯で、久しぶりにこの姿になったのでちょっと恥ずかしいです」と照れながらも、「劇場に入って約2週間、稽古場では見えなかったものがどんどん明確に見えてきて、僕らも劇場で新たな発見がありました。今は初日の幕が空くのが楽しみです」と充実した稽古を振り返りさわやかな笑顔を見せた。
加藤も「客席が360度回転するこの劇場でこのお芝居をやるのは相当大変なことだと思いますが、それに勝る楽しさやワクワクする気持ちがあります。昨日の通し稽古では自分の出番がないシーンを見ていても心がグッと引き寄せられるシーンが数多くあったので、早く皆さんに見ていただきたいなという気持ちでいっぱいです」と、翌日に迫った初日に向けてはやる気持ちを抑えきれない様子。
今作の魅力や役と自身の共通点について質問されると、小池は「戦いが非常に多い『京都編』。原作をなるべく再現したうえで、この劇場の良さを生かした殺陣に仕上がっているんじゃないかなと思いますし、見どころがたくさん詰まっております。僕が演じる緋村剣心は戦いを交えながら優しさと器の大きさで人を受け入れて、新たな“不殺(ころさず)”を誓うのですが、剣心が相手に対する道を示してあげる姿に「なんて優しい男なんだろう」と思うのと同時に、僕も剣心を演じながら救われている部分もたくさんあります。本当にすばらしい役を演じさせていただいて光栄に思います。“何かを守るために生きる”という剣心に対しては僕自身もすごく共感するものがあります」と、作品や役へのリスペクトを語った。
黒羽は「“悪!というのは志々雄の中でひとつのテーマでもありますし、舞台上でも剣心という正反対の存在があるから、志々雄真実の“悪”が光るというのがあると思います。剣心との戦いは志々雄の中でもこの物語の中でも一番のクライマックスになるので、そこは大事に大事に、そして勢いよくやっていきたいなと思っています。志々雄との共通点は・・・・・・共通していたらちょっと危ない(笑)。でもなるべく理解はしようとしています。志々雄の言う「本当に強いやつのために作られている世界」という言葉は、現実世界でも感じる瞬間が少なからずあると思うので、そういうところから志々雄を理解しようと努力しています」と語った。
加藤は「僕は二人に比べると出演するシーンは本当に少ないのですが」と前置きしたうえで、「比古清十郎は剣心の師匠で、師匠たるゆえの圧倒的な強さ、強さの底が知れないというミステリアスな部分が魅力なのだと思います。そこを立ち振る舞いでいかに見せていくかが課題ですね。このマントを着ながらの殺陣は結構難しいのですが、いかに美しく強く力強くマントをさばきながら、舞うような殺陣を見せられるか、本番中も常に研究していきたいです」とコメント。
続いて作品の魅力ともなっている殺陣について、「めちゃくちゃ大変! 日々、体の痛みと戦いながら頑張っていますが、痛みを超えるほどの楽しさがやっぱりあるんですね。不思議と戦っている間は痛みを感じないので、ずっと戦っていればいいのかな(苦笑)」と茶目ってたっぷりに語る小池に、隣から黒羽が「壊れちゃう、壊れちゃう(笑)!」と、ツッコミを入れる一幕も。
黒羽自身はTwitterで「小池さんとの戦いが楽しい」とツイートするなど、尊敬する先輩との戦いを楽しむ様子をツイートしていたが「ようやく体に殺陣がなじんできて、衣装の暑ささえもだんだん心地良くなってきました(笑)。衣装から見えている部分の面積が少ないので、表情よりも少し芝居を大きくするなど見せ方を工夫してやった方がいいというのは演出の小池先生から言われて、その調整もこの劇場に入ってやっています。小池先生が頭の中想像されていたことが、実際に劇場に入って「こういうことだったんだ!」と理解することも多く、僕らには見えていない“小池先生に見えている景色というのを、より一層強く感じました」と、小池演出を受けてさらなる高みを目指し稽古に打ち込んでいる様子を語った。
「小池先生は、「もっとこうしろ、ああしろ」みたいなものは全然なく、すごく寄り添ってくださって丁寧に指導していただくという感じ。厳しさより、むしろ愛の方が大きいです」と小池も言葉を続ける。
何度も小池演出作品に出演している加藤も「小池先生の頭にあるものを我々に提示してくださるので、それを見て我々が形にしていくのですが、それが形だけになってしまうとダメ。その“形”に“気持ち”を乗せていくかが我々役者の仕事なので、先生のイメージにいかに追いつけるかが課題だなと毎回思っています。特に今回は、360度回転する劇場のそれぞれの“絵”を全部小池先生が把握しながら我々に演出をつけていたのかと思うと、やっぱりこの人はとんでもない人だなってあらためて思いましたね」と、その偉大さを語った。
激しい殺陣が連続する本作に向けての体作りに話が及ぶと、「特別“これ”をやったみたいなものはなく、今までの積み重ねの延長で鍛え上げたという感じです。普段のトレーニングとは全然違う体の使い方ではあるし、実際に稽古に入ってからじゃないとできない動きや付かない筋肉もあって・・・・・・今回は、しゃがむ姿勢がすごく多いので、お尻とかすごくでかくなりました(笑)。あと僕と麻璃央くんは左利きなんですけど、右で刀を振るので右手がすごい筋肉がつきましたね」と小池。
黒羽が「僕の衣装は、すごく汗をかくんですよ。体の部分はスタッフさんが通気性のいい素材で作ってくださってあまり暑くないけど、顔は尋常じゃない暑さなので、顔がむくんだ状態で劇場に入ってきても、稽古が終わるころデトックスされてスッキリしてるみたいな(笑)」と笑顔を見せると、「もともと顔が小さいのに、これ以上小さくなったらどうするんだよ(笑)」と加藤が即座に反応し、取材陣から笑いが起こる。
また、ジュノンボーイ出身の先輩後輩でもある小池と黒羽に、お互いをどう思っているかという質問がされると「11年くらい前、僕がファイナリストで出場したジュノン・ボーイ・コンテストにレジェンドで小池くんがいらっしゃったのですが、その時も今もジュノン・ボーイといえば小池徹平くん! 神ですよ! みんな小池徹平くんになりたくてジュノン・ボーイの門を叩いてましたからね。なので、こうしてバチバチにやりあえているのが嬉しくて、10年前の僕に「頑張れば一緒に仕事ができるよ」って言いたいです(笑)」と生き生きと語る黒羽。その言葉に照れ笑いを浮かべる小池は「麻璃央は本当に頼もしい後輩。今までの麻璃央に“悪役”のイメージってなかったと思うんですけど、この作品で立派に務められています。先輩後輩関係なく、素敵な役者として頑張っている後輩がいるのは、すごくうれしい気持ちになりますね」と、可愛い後輩に寄せる期待を語った。
最後に開幕に向けて「こだわりのあるセット、衣装、歌、派手な殺陣はもちろん、原作から飛び出たような『るろうに剣心 京都編』が見られると思います。ぜひ楽しみに期待して劇場に来ていただければと思っています!」と小池がメッセージを寄せ、取材会は終了した。
ミュージカル『るろうに剣心 京都編』は、5月17日(火)より6月24日(金)までIHIステージアラウンド東京にて上演される。当日券など公演に関する情報は、随時Twitterにて告知されるので、公式サイトと共に要チェック!
文:近藤明子
撮影:くさかべまき
舞台写真
撮影:渡辺美知子
緋村剣心役 小池徹平さんのインタビュー(前編)はこちら
緋村剣心役 小池徹平さんのインタビュー(後編)はこちら
公演概要
ミュージカル『るろうに剣心 京都編』
原作:「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」和月伸宏(集英社 ジャンプ コミックス刊)
脚本/演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
音楽:太田健(宝塚歌劇団) / 和田俊輔
出演:
小池徹平 黒羽麻璃央 松下優也 加藤清史郎 岐洲匠 奥野壮
井頭愛海 鈴木梨央 伶美うらら 山口馬木也 加藤和樹
猪塚健太 郷本直也 松浦司 キャッチャー中澤 梶原颯 才川コージ 城妃美伶 阿部裕
藍実成 浅川文也 飯作雄太郎 伊藤寛真 鹿糠友和 黒沼亮 笹川慎一朗 寒川祥吾
鮫島拓馬 柴原直樹 清水錬 楢原じゅんや 西村聡
彩花まり 斎藤葉月 七理ひなの 杉浦小百合 美翔かずき 横関咲栄 吉田繭
生出真太郎 西田理人 三木治人
公演期間:2022年5月17日(火)~6月24日(金)
会場:IHIステージアラウンド東京
チケット料金 全席14,500円(全席指定・税込)
チケット一般発売中
お問合せ:ステージアラウンド専用ダイヤル 0570-084-617(11:00~16:30)
特別協賛:くら寿司
企画:梅田芸術劇場 / TBS
製作:TBS / 梅田芸術劇場
協力:宝塚歌劇団
主催:TBS / ディスクガレージ / ローソンエンタテインメント / 電通 / 梅田芸術劇場
公式サイト:https://www.ruroken-musical.com
公式twitter:https://twitter.com/rurokenmusical
©和月伸宏/集英社