井上芳雄、明日海りお、浦井健治、望海風斗ら出演。ミュージカル『ガイズ&ドールズ』初日囲み取材レポート!
2022年6月9日(木)より、東京・帝国劇場にてミュージカル『ガイズ&ドールズ』が開幕する。
本作は1950 年にブロードウェイで初演されると同時に大好評を博し、1200 回のロングラン公演を記録。これまでトニー賞作品賞、主演男優賞、主演女優賞、助演女優賞など 8 部門受賞の栄誉に輝いたコメディ・ミュージカルである。
天才ギャンブラーのスカイを演じるのは、ミュージカル界で名実共にトップランナーの井上芳雄。お堅い救世軍軍曹サラは、元宝塚歌劇団花組トップスターで、退団後も目覚ましい活躍を続ける明日海りおが演じる。スカイのギャンブル仲間・ネイサンは、読売演劇賞最優秀男優賞受賞をはじめ、難役に次々と挑む実力派俳優の浦井健治。さらに、ネイサンの婚約者で「ホット・ボックス」の踊り子・アデレイドは元宝塚歌劇団雪組トップスターで、華のあるビジュアルと歌唱力を誇る望海風斗が演じる。
演出は『春のめざめ』、『アイランド』のリバイバル公演でトニー賞候補に挙がり、ブロードウェイ史上初めて 35 歳以下で 2 度のノミネートを果たした、ブロードウェイで今最も注目を集める若手演出家のマイケル・アーデンが担当。
今回は井上芳雄、明日海りお、浦井健治、望海風斗、マイケル・アーデンが登壇した初日囲み取材のレポートをお届けする。
初日囲み取材レポート
初日を迎えるにあたって、スカイ役の井上は「無事に昨日ゲネプロも終わって、あとはお客さまを迎えるだけなので楽しみです。この時期にアメリカの演出家を迎えて、新しい『ガイズ&ドールズ』が作れるのは本当に貴重な経験だと思いましたし、出来上がったものを見ながら、『今これに関われて嬉しいな』という思いでいっぱいなので早く観てほしいです」と初日の公演を直前に控え、うずうずした気持ちを語った。
ネイサンを演じる浦井は「このカンパニーならではの2022年版『ガイズ&ドールズ』が、ようやくこう船出といいますか、ここからお客さまとスタートしていけるんだなと思って、幸せな気持ちでいっぱいです」とコメントし、「何より井上さんが演じるスカイがですね、空まで届くほどかっこいい。そんなスカイになっているので、そこを注目していただければ」とスカイと空をかけ、井上を称賛。
サラ役の明日海は「本当に華やかでワクワクするナンバーがぎゅっと詰め込まれていて、この世界観に自分も生きているんだと思うと、特別な魔法にかかったみたいな幸せを感じます」と述べ、望海は「このカンパニーの一員になれていることがとても幸せなことだと感じます。やっぱりこの数年我慢することだったり、今も心痛めるニュースが多い中で、こうして明るい作品を皆さんと共に作って、ようやく初日、お客様を迎えられることがどれだけ幸せなことかと感じます。自分のことはさておき、本当に素敵な作品に仕上がったので、もう早くお客様に観ていただきたいなという気持ちでいっぱいです」と胸の内を語った。
演出のマイケル・アーデンは「アメリカ史上最も優れていると言っても過言ではないこの『ガイズ&ドールズ』という作品を、美しい日本という国に持ってこられて本当に嬉しく思っています。一番大きなポイントとしてこの作品を通してお伝えしたかったのが、70年以上前にこの作品は書かれていますが、人間模様だったり、人の在り方というのは、70年の時を経ても変わっていないので、それを皆さんにお伝えできれば。数々の登場人物が、この本編を通してどのように変わっていくか、そしてお互いが譲り合いながらどのようにお互いに寄り添っていくか。そんなドラマも観ていただきたいです。人間がお互い譲り合うということは、昨今の世界においても学ぶべきことだと思っております」と熱くコメントした。
明日海、望海は宝塚歌劇団の89期生。さらに、井上の妹も二人と同期だったことから、井上は「気持ち的には(二人に対して)ずっと妹のような感じ。今回は仕事仲間になってしまい……でも公私はしっかり分けるタイプなので(笑)」と笑いを誘い、「でも素晴らしい女優さんになられたんだなと。兄なのか親なのか分からない気持ちでいます」と感慨深げに話す。
さらに「浦井くんについてはちょっとあんまりよく知らないんですけどね(笑)」と、井上は浦井に対してニヤリ顔。即座に「なんでですか(笑)!」と浦井からツッコミが入り、仲のよさを伺わせる場面も。
宝塚歌劇団在団中は、同期でありながら同時期にそれぞれトップスターを務めた明日海と望海。「宝塚時代と卒業してからの現場は違いますか?」と聞かれると、「違うよね?」とお互いに顔を見合わせ、「性別が変わってしまったので……」と明日海。すかさず井上が「戸惑われることも多々ありましたよね。ハンドバッグってどう持つんだろう、って」と振り返ると、明日海も「ありましたね。ハンドバッグの持ち方から、些細なことが分からなくなっちゃったりとか」と苦笑い。望海は「宝塚を卒業された方とよく共演されているお二方なので、(井上と浦井は)すごく慣れていらっしゃる。そういう意味では、こちらが自然にいられるように空気を作ってくださったなと思います」と感謝の気持ちを述べる。
女性同士の役として一緒に舞台に立つことについて、「望海と一緒にいる場面はあまり意識しすぎず、自然体で。(宝塚時代と異なり)女性の役だけれども、女性らしくいられているような気がします」という明日海に、「音楽学校に戻ったような感じで、懐かしい気持ちでお芝居できましたし、(井上)芳雄さんと明日海がお芝居しているのを見て、すごいドキドキしました」と望海もにっこり。
井上の印象について、浦井は「芳雄さんの座長ぶりがすごいです。たとえばマイケルさんの頭がいっぱいいっぱいになったとき、誰も何も言っていないのにパックに包まれたバナナをすっと置きにいくという。そういうケアをしていらっしゃいました」と話すが、当の井上は「全然それした憶えがない。それ違う人じゃない(笑)?」と、とぼけ顔。そんな井上に浦井は「全員に愛を(持っている)……。すごいなって思いました」とほほ笑んだ。
対して、井上は「(浦井は)変わらず一生懸命だなと思います。けれどもその一生懸命さが増しているというか、その経験を積んできたんだなと。みんなでワイワイした輪から、ちょっと外れて(一人で)いたりするところもあったりして、なんかそういうの分かるなあと思ったり。やっぱり同士のような感じがあります」とコメント。
また、出演者の印象について聞かれると、マイケル・アーデンは「完成形を目指すのはとても素晴らしく、完璧を目指すことはもちろんしていただきたいですが、私の願いとしてはもっと自分を出して舞台上に立つことにもぜひチャレンジしてほしいです。なぜなら、私にとってその完璧さというのは、逆に言えばちょっと面白みがないと思うのです。人々が劇場に行って作品を見る理由は、その人々の欠点であったり、その人々がもがく姿だったり、そういったことを観に行くためなのかなと。私はこの稽古期間中にこの4人が芸術に対して誠心誠意当たっていく姿を見れて本当に幸せでした」と述べた。
メッセージとして、「この作品をたくさんの方に観ていただいて、またここからさらに進化していく、どんどん深まっていく過程を、千穐楽まで楽しんでほしいと思っていますので、宜しくお願いします」と望海、明日海は「マイケルからいただいたお言葉を忘れずに、お客さまとの空間を精一杯素敵な時間にできたらいいなと思います。千穐楽までカンパニーの全員が健康でいられるように念じながら毎日公演したいと思います」と述べた。
浦井は「これだけたくさんの皆さまにお集まりいただいている環境も、すごく奇跡のような時間だと思っていますし、今日から満員御礼という……チケット難と呼ばれる作品になっていることがどれほどこのご時世すごいことなのか、ありがたいことなのかと感じています。スカイとサラの純愛の物語、真実の愛という普遍的なメッセージをお客さまに共有しながら、個人としてはアデレイド役の望海風斗さんと一緒に、どれだけふざけられるか、楽しんでいけるか、ちゃんとスパイスとして演じていけたらと思っています」と意気込みを語った。
最後に井上は「マイケルだけではなく、振付のエイマン・フォーリーさん、装置のデイン・ラフリーさんが皆さんアメリカから来てくださって、もちろん日本人側のスタッフやキャストも全力でやって今できている作品です。僕も客席で観ながら、『クオリティがブロードウェイの舞台を観ているみたいだな』と。もしこれが最後の舞台になっても本当に満足だなというぐらい……あ、別に引退しませんけれど(笑)、でもなんかそれぐらい『ここにいられてすごく幸せだ』と思う作品が皆さまにお届けできると思うので、無事に最後まで元気にやれることを祈って、お客さんを迎えたいなと思います」と締めくくった。
文・取材会撮影:矢内あや
公演概要
ミュージカル『ガイズ&ドールズ』
原作:デイモン・ラニヨン 音楽・作詞:フランク・レッサー
脚本:ジョー・スワリング 、 エイブ・バロウズ
振付:エイマン・フォーリー 装置 :デイン・ラフリー
演出:マイケル・アーデン
出演:井上芳雄 明日海りお 浦井健治 望海風斗 ほか
【東京公演】
2022年6月9日(木)~7月9日(土)
帝国劇場
【福岡公演】
7月16日(土)~7月29日(金)
博多座