• HOME
  • topic
  • INTERVIEW
  • 田中涼星が芝居に託して伝えたいもの「笑顔や幸せな時間を届けたい」【シアダン vol.12】(前編)

田中涼星が芝居に託して伝えたいもの「笑顔や幸せな時間を届けたい」【シアダン vol.12】(前編)

INTERVIEW

――田中さんがこれまでに演じられた役の中で、ターニングポイントになったと感じるのはどの役柄でしょうか?

ひとつはテニミュ(=ミュージカル『テニスの王子様』3rd シーズン)の乾 貞治役だと思います。アンサンブルからスタートして、初めてもらったメインどころの役だったので、自分にとってはすごく大きかったですね。それからいろいろな舞台に出させてもらうようにもなりましたし。そして、オリジナル脚本のお芝居もやらせてもらうようになったことで、また自分の中での考え方が変わって。2.5次元作品とオリジナル脚本作品に交互に関わっていた時期があったので、それが自分にとってはよかった気がしてますね。

そこからのMANKAI STAGE『A3!』(有栖川 誉役)と刀ミュ(=ミュージカル『刀剣乱舞』 ~葵咲本紀~、御手杵役)はやっぱり大きかったです。そこで何ステップか上がらせてもらった感覚なので。でも、一番最初の大きな一歩となると、テニミュだと思います。

――初めての役付きでの舞台ですもんね。

オーディションに受かった時は「え、メインどころで、主役校ですか? 超嬉しいんですけど!」って感じでした(笑)。ダンスや歌もそんなにやったことがなくて、お芝居の経験も浅い状態で臨んだので、観るとやるでは大ちがいで、こんなに大変なのかと思いましたね。

――ミュージカルは要素が多いですが、やっていくうちにダンスや歌も身に付いていったのでしょうか?

自然と身に付いていきましたね。最初はダンスのカウントが8までなのも分からなかったし、歌もカラオケに行ったことがあるくらいだったので、ミュージカルの発声法から稽古してもらって。やっていくうちにどんどん吸収すると、もっと上手くなりたいっていう欲が出てくるんですよ。周りのメンバーも似たようなスタートラインだったので、「アイツちょっと上手くなってるな、俺も上手くなりたい」って、お互い鼓舞しあっていたというか。

それでダンスやミュージカルの動画をいろいろ見たりするようになって、みんなが個人のレベルを上げていったところはあると思います。「コイツらよりも上手くなりたい」って(笑)。そういう環境ってすごく大事ですよね。

全開の熱量が招いた稽古初日のアクシデントとは

――これまで出演された作品を振り返って、稽古中や公演期間中に印象に残っているエピソードを聞かせてください。

何だろうな……あ、ちょうど今が夏で思い出したんですけど。『新・幕末純情伝 FAKE NEWS』に出た時に、俺(桂小五郎役)と小松準弥くん(土方歳三役)が冒頭のシーンでバチバチにやるっていうのがあったんですよ。つかこうへいさんの作品だというのは知っていたんですが、いざ実際にやるとなると、どんな熱量でいったらいいのか分からなくて。初稽古の日に俺と準弥くんのシーンから始まることになったので、とにかく大声でいかなきゃと、初日の初っ端からフルスロットルでいったら、その日に喉が潰れました。

――大変じゃないですか(苦笑)。

ふたりとも、もう声がカッスカスでしたね。「いやいや、加減しろよ」みたいに言われて、完全に空回り(笑)。トップバッターで誰のお手本もないままにやらなきゃいけなかったので、どこまでいけばいいのか分からないままに、全力でやったらそうなったっていう……でも、やってよかったなと思います。

客席の笑顔を見ると嬉しくなる

――では、役者という仕事をされている中で、嬉しかった瞬間はどんな時ですか?

お客さんの顔が、すごく笑顔だったり、楽しそうだったりすると「あぁ、やっててよかったな」ってすごく感じます。公演中の客席降りや、後からDVDに映ったのを見ると「めっちゃ楽しそうやん!」って、自分も嬉しくなるんですよ。

あとは、自分たちが作りあげてきた作品に拍手をもらうのも嬉しいです。最近はわりと(流れとして)拍手するのが当たり前みたいな感じになってますけど、それでも拍手をもらえない時があるかもしれないって思ったら、拍手を贈ってもらえるってこんなにありがたいんだという考えになったんですよ。だから、カーテンコールの時はすごく嬉しいし、お客さんも喜んでくれてるのかなって感じられる瞬間ですね。

――ちなみになんですが、客席降りの時にはどんな感覚や気分なのでしょうか。

うーん、みんなこっちを向いてくれるし、いい気分で通路を歩いてますね(笑)。

――臨機応変な判断も必要なのではと思うんですが、素が出てしまいそうになったりは……?

素が出ちゃいそうにはならないですね。でも、めちゃくちゃ考えなきゃいけないんです。うちわにいろいろと書いてくれているので、できるだけ応えてあげたいなとは思うんですけど、たまになんか……奇想天外なのもあって。パッと見て「えーっ!?」ってなるような(笑)。

――あははは!

歌ってるし、次の場所に行かなきゃいけないし、けっこうパニックになりそうな時がありますね。本当もう、いいとこ突いてくる人がいるなぁって(笑)。

次のページ:実感した、エンタメの力と「伝えることの大切さ」

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

プロフィール

PICK UP

関連記事一覧