山田杏奈インタビュー 『夏の砂の上』「舞台を経験することでお芝居の選択肢が変わってくると思う」(後編)
2022 年 11 月 3 日より、世田谷パブリックシアターにて『夏の砂の上』が上演されます。
本作は、長崎を舞台に、職をなくし妻に家出された主人公と彼を取り巻く人物たちの間で交わされる会話から、 一見淡々とした日々に漂う 、 抗いようのない悲哀や心の乾きが滲みだす名作です。
演出を手掛けるのは、現代日本演劇界を牽引する栗山民也氏。『涙の谷、銀河の丘』(2003 年、新国立劇場)以来となる松田正隆氏とのタッグで、複雑な家族の物語を丁寧に描き出します。
主人公・小浦治を演じるのは田中圭さん。2019 年、『CHIMERICA チャイメリカ』以来再び、栗山演出に挑みます。共演には、舞台、映画と幅広く活躍する西田尚美さん、本作が初舞台となる山田杏奈さんら豪華キャストが揃いました。
THEATER GIRLは、優子役の山田杏奈さんにインタビュー。後編では、作品にちなんで今年の夏の思い出深いエピソードや休日のリフレッシュ法、役者をしていてやりがいを感じる瞬間などをうかがいました。
世田谷パブリックシアターは素敵な劇場
――本作は、世田谷パブリックシアターで上演されますが、劇場の印象や思い出はありますか?
いろんなジャンルの作品が上演されているなという印象です。小学生の頃、初めて世田谷パブリックシアターを訪れたときに、「2階に上がっていく階段がとても綺麗だな」と感じた記憶が今でも鮮明に思い出されます。
今、その場所に立たせてもらえることもすごく感慨深いですし、世田谷パブリックシアターで上演すると言うと、「いい劇場だね」とたくさんの方に言ってもらえるので、いろんな方に愛されている、素敵な劇場だなと思います。
――先ほど小学生の頃に劇場に足を運んだとおっしゃっていましたが、普段から日常的に舞台は観に行かれますか?
なかなか頻繁には行けないのですが、共演者や事務所の先輩が出演している舞台を観に行くことはあります。ただ、今回の舞台出演が決まってから、舞台を観る目線が一気に変わりました。舞台に立たれている方は本当にすごいなと思います。
――本作は夏の日の物語ですが、今年の夏の思い出深いエピソードがあれば聞かせてください。
今年の夏はずっとドラマを撮っていたのですが、スタッフさんが撮影の合間にお肉を焼いてくださったり、撮影でも使ったそうめんやかき氷を食べたりしました。他にもカブトムシを見つけたり、撮影現場の近くで花火が上がっているのを見たりと現場で夏を満喫していたかもしれません。
――撮影現場にいながらも夏を満喫されていたんですね。
ずっと撮影現場にいましたが、スタッフの皆さんのお陰で夏を満喫できました(笑)。今回も『夏の砂の上』というタイトルですが、上演されるのは秋冬の時期ですし、その時期に夏の暑さを感じていただけるように、演技に説得力を持たせないといけないなって今改めて思いました。夏の暑さがあるうちにちゃんと覚えておかないとですね(笑)。