海宝直人、平間壮一、相葉裕樹、井上小百合ら出演。音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』歌唱披露イベントレポート!
2023年6月21日(水)、東京・シアター1010を皮切りに音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』が開幕する。
モーツァルトの三大名作オペラ『フィガロの結婚』『ドン・ジョバンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』。200年以上経った現在も愛されるこれらの作品が誕生した背景には、詩人ダ・ポンテの存在があった。ダ・ポンテがモーツァルトと出会い、その才能を開花させたのは、彼の80年を超える生涯のわずか4年と6ヶ月の間。時代の波に抗い、偏見を乗り越え、制作に没頭した若き天才たちの軌跡を、オリジナルの音楽劇で表現する。
女好きでペテン師でありながら、天才詩人の主人公ダ・ポンテ役を海宝直人、そしてダ・ポンテに出会いその才能を余すことなく発揮させた作曲家・モーツァルト役を平間壮一、二人と敵対するウィーンの宮廷作曲家・サリエリ役を相葉裕樹、ダ・ポンテの恋人・フェラレーゼ役を井上小百合が演じる。
今回は、海宝直人、平間壮一、相葉裕樹、井上小百合が登壇した歌唱披露イベントの様子をお届けする。
歌唱披露イベントレポート
東京・日比谷シアタークリエにて、抽選によるオーディエンスを招いて開催された同イベント。まずは、海宝が本作のテーマ曲『この静かな夜に』を情感たっぷりと歌い上げた。
続いて平間が登場し、モーツァルトが紆余曲折の末に、もう成功や名声は求めないという思いとともに歌うドラマチックなナンバー『僕が拍手するんだ』を披露。
次に相葉は、宮廷楽長のサリエリが祖国のイタリアを讃え、ダ・ポンテにオペラを指南するナンバー『ヴィヴァ、イタリア!』を声高らかに歌い、井上はソプラノ歌手・フェラレーゼが自身の生き方を歌った『街角の女の子』を気高く表現した。
歌唱曲ラストは、海宝と平間による『最高の相棒』。ダ・ポンテとモーツァルトの共作『フィガロの結婚』が大成功をおさめ、未来への希望に満ち溢れる臨場感を歌ったナンバーとして、抜群のコンビネーションで会場を惹きつけた。
歌唱後は、事前に募集した質問に登壇者が答えるトークコーナーに。「ダ・ポンテという人物をもともと知っていたか?」という質問に、海宝は「お話をいただくまでは、恥ずかしながら知らなくて。カンパニーでも知っていた人のほうが少ないかもしれないです」と答え、本作の出演を機にダ・ポンテを調べるようになり「こんなに波乱万丈でありながら、必死に生きた姿がちょっとおかしくもあり、そういうところも含めて、とてもドラマチックな人物です」と述べた。
現在、感じている自身のモーツァルト像について聞かれた平間は「最初は破天荒なイメージだったのですが、台本を読み終わった後に感じたのは『普通の青年なんだな』ということでした」と振り返り、「優しかったり、温かかったり、丸みを帯びていたり、気性が荒かったり。逆に、破天荒なイメージはあまり持たなかったですね。だからこそ、自分らしくやっていいのかなと思って、今は(役を)作っています」と語った。
続いて、相葉はサリエリのイメージを「ダークな印象はあまりなくて、わりと愚直で音楽に熱くて真っ直ぐ。最初は悪役と聞いていたんですけど、そんなに悪いやつという感じはあまりしなかったです」と話すと、すかさず海宝と平間が「『ヴィヴァ!』って感じだもんね(笑)」と、先ほど披露したサリエリの楽曲を真似て、会場を笑わせた。さらに、平間が「イタリア大好きですもんね」と茶目っ気たっぷりにいじると、相葉は「ちょっと本当に悪いんですけど、この曲やると二人がにやにやするんですよ。『何高らかに歌ってんの』って(笑)」と返した。
歌唱のポイントについて、井上は「(自身が)演じるフェラレーゼはとても強い女性で、多分私の印象と反対の人です。もうとにかくオーバーに『こうやって生きるしかないの!』と、強い感じで歌えたらと思っています」と気合いを見せた。
作品の魅力を聞かれた平間は「あるシーンを見て泣きました。遅れて稽古に参加する日に、(稽古場に)入った瞬間、空気がシーンとなっていて、リュックを背負ったままポロポロポロって。『海宝くん、めちゃ良かったよ』と言いました」と海宝に目線を送った。一方、海宝は「それぞれがドラマチックな人生を送っているので、そのドラマを楽しんでほしいです。歴史物だから難しく描いているというよりは、楽しく、お客さまと一緒に盛り上がれる作品になりそうだなという気がしています」と語った。
相葉は「シーンの変わり目というか、いろんなものがギュッと詰まっているけれど、見やすい作りになっているんじゃないかな、と。先ほど歌った二人のデュエットのようにわくわくする楽曲もあれば、バラードも多くなっているので、浸っていただいて楽しんでもらえたら」とコメント。重ねて「あとはサリエリというキャラクターは『ヴィヴァ、イタリア!』という曲があるので……」とアピールすると、海宝が「自分で言い出した(笑)!」とツッコミを入れ、相葉は「いや、言うしかないじゃん(苦笑)」と返し、冗談を言い合えるカンパニーの仲の良さを伺わせる場面も。
井上は、海宝が演じるダ・ポンテについて「いろんな史実を見て、こんなこと言っちゃいけないんですけど、クソ野郎だなと(笑)。でも海宝さんのダ・ポンテなら騙されてもいいような、真っ当なことを言っているような気がしちゃって。チャーミングになったダ・ポンテが、とても魅力的なんですよね」と、絶賛。
7年ぶりの共演だという海宝と平間。再会して感じた海宝の印象を聞かれると「何も変わっていないです。(やっている)内容は変わっているんですけど、作品への向き合い方とかは全然変わっていなくて。いつだって完璧に自分の熱量を伝えてやっている方だなと僕は感じています」と感慨深げに話し、「やっぱり歌の説得力がすごいなっていう。なんか、『頑張ろう』って思えたんですよね。包み込まれる声というか、魅力的な声。一曲目、一言目を聞いたとき、『いやこれはもう間違いなく良くなる』と思えて、付いて行こうと思いました」と、海宝に絶大な信頼を寄せた。
最後に、井上は「あまり今まで描かれてこなかった人物を主体に描く、という新しいことに私たちが挑戦しようとしていて、自分たちでもどうなっていくのか、まだ未知の状態です。それをぜひ皆さんに楽しんでいただけたら」とコメントし、相葉は「ダ・ポンテという音楽家がいたことを改めて知るきっかけにもなりますし、その周りにいたキャラクターを楽しめる作品になるよう、今は一から作っている最中です。本番までしっかりと稽古してまいりますので、ぜひ劇場に足をお運びください」と来場を呼びかけた。
平間は「稽古に入っていろいろと調べていく中で、日々感じていることもあったんですけれど、やっぱり人間というものは欲張りで、ちょっとわがままで面倒くさくて、いろんなことが付きまとっているな、と。オペラという取っ付きにくいことをテーマにしているかもしれないですが、今でも会社でいえば上司がいて、後輩がいて、自分をどう出していけばいいのか、そういった(現代にも通ずる)人間模様が見えてくる作品だなと思っています」と作品への思いを語り、海宝は「日々キャスト、クリエイター、スタッフの皆さんと一緒にいろんなことを試しながら、頑張って稽古をしております。30以上の曲に彩られながら、エンターテイメントとして楽しんでいただき、『生きるっていいな』って思ってもらえるような、そんな希望を持って帰っていただけるような、素敵な作品になっていくんじゃないかなという予感がしています。ぜひ皆さま、会場に足を運んでいただけたらと思います」と締めくくった。
文・撮影:矢内あや
公演概要
音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』
作:大島里美
音楽:笠松泰洋
演出:青木 豪
<キャスト>
ロレンツォ・ダ・ポンテ役 … 海宝直人
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト役 … 平間壮一
アントニオ・サリエリ役 … 相葉裕樹
フェラレーゼ役 … 井上小百合
ナンシー/オルソラ役 … 田村芽実
コンスタンツェ役 … 青野紗穂
皇帝ヨーゼフ二世役 … 八十田勇一
岡本華奈、小原和彦、柴原直樹、鈴木結加里、田村雄一、
西尾郁海、橋本由希子、平山トオル、吉田萌美(五十音順)
◆公演日程◆
【プレビュー公演】
2023年6月21日(水)~25日(日)シアター1010
【愛知公演】
2023年6月30日(金)~7月1日(土)日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【東京公演】
2023年7月9日(日)~16日(日)東京建物Brillia HALL
【大阪公演】
2023年7月20日(木)~24日(月)新歌舞伎座
後援:公益財団法人としま未来文化財団
主催:キョードーファクトリー/足立区シアター1010指定管理者(プレビュー公演のみ)
企画製作:東宝
<公式サイト> https://www.tohostage.com/dp/
<公式Twitter> @da_ponte2023