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海宝直人インタビュー ミュージカル『アリージャンス〜忠誠〜』「今この時代に上演することに大きな意味を感じます」

INTERVIEW

――楽しみが多くて、稽古の開始が待ち遠しくなりそうですね。では次に、海宝さんは劇団四季の『ライオンキング』や『アラジン』、ミュージカル『レ・ミゼラブル』など、同じ作品にちがったタイミングで携わられた経験が幾度もおありですよね。上演されるタイミングによって、その時の社会情勢や流行も異なりますし、観客への作品の伝わりかたにもちがいが生まれるのではと思ったのですが、舞台の上でそのような感覚を覚えたことはありますか?

そうですね……舞台の上でどう感じるかという点では、状況が変わっても僕たちがやることはあまり変わらないなと思います。あ、もちろん新しいアプローチをしたり、芝居が深まったりすることはありますけどね。僕自身も観客として舞台作品を観ることがありますが、その時の社会情勢だけじゃなく、自分が置かれた状況や自分自身の人生の中のどのタイミングで観るかによって、かなり大きく変わってくるように感じます。

――個人的なタイミングは、たしかに大きな要素ですよね。

ミュージカル『レ・ミゼラブル』は子役時代からずっと好きで観ていましたけど、あの頃はそんなに深いテーマまでは理解できずに「音楽が素敵でいいな、楽しいな」みたいな感覚だったと思うんです。それが大人になるにつれて、さまざまなことを感じたり、感情移入するキャラクターが変わっていったり……ずっとアンジョルラスが好きだったけど、実際に自分が演じてみたら、マリウスの気持ちがよく分かるようになったんですよね。

そうやって(ものごとの感じ方は)年齢や重ねた経験によってもきっと大きく変わってくるだろうと思います。そういう意味では、観る人自身の置かれている環境やタイミング、もちろん社会情勢によってもそれぞれの思いは変わってくるので、作品の受け取り方にも大きな変化が生まれるんじゃないかなって。だから今この時にこの作品を上演して、みなさんにお届けできることの意味も、すごく大きいと感じています。

「客席にお客様がいる」それがもう幸せ

――舞台に立っていて、海宝さんが幸せを感じるのはどんな時でしょうか?

今のことで言うならば、客席にお客様がいることがもう幸せですよね。自粛が明けた後に、完全無観客配信の作品に出演させていただいたことがあって、それはそれでかけがえのない経験になりましたし。その後にやった自分のコンサートでは、ようやく(会場収容人数の)50パーセントでみなさまをお迎えできました。以前と比べたら50パーセントではあるんですけど、お客様の反応があって、実際に場の空気が変わっていく。その感覚が味わえるのはなんて幸せなことなんだろうと、改めて思いました。

――観る側としても、生で作品を鑑賞できる贅沢さを改めて感じる機会になりました。当たり前のことではないのだとしみじみ思います。

そうですね、本当に。自粛が明けてからは、僕はまだミュージカル作品での100パーセントの客席を経験していないので、客席を埋め尽くすお客様をお迎えして上演できた時の喜びは、きっとすごいだろうなって。それが今感じる一番の喜びかもしれません。

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THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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