『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』まもなく開幕! 囲み取材レポート「全員が心から楽しんでいるのが素敵なところ」
観客を豪華絢爛な世界にいざなう2024年『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』が、東京・帝国劇場にて2024年6月20日(木)に幕を開ける。
パリのナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」を舞台に、クラブ花形スターのサティーンと、作曲家の青年クリスチャンとの愛を描いた本作。日本では2023年に初めて上演され、圧倒的なショーの迫力と愛の物語に多くの観客が魅了された。初演から1年、再演という形で再びクラブ「ムーラン・ルージュ」が動き始める。
本記事では、開幕に先立ち行われた囲み会見の様子をレポート。サティーン役の望海風斗、平原綾香、サティーンと恋に落ちるクリスチャン役の井上芳雄、甲斐翔真、クラブ「ムーラン・ルージュ」の支配人、ハロルド・ジドラー役の橋本さとし、松村雄基、サティーンのパトロンとなるデューク(モンロス公爵)役の伊礼彼方、Kが登壇。再演に向けての思いを、再び帝国劇場に現れたナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」をバックに背負い熱く語った。
「華やかなところとドラマのところのバランスがよくなっている」再演ならではの進化
再びサティーンを演じる望海は「お客様と一緒に楽しめるポイントを作っていった」のが前作だと語り、「今年はそれを知った状態でスタートできるので楽しみ」と心境をコメント。
Wキャストの平原は、今の心境として2025年2月に建て替えのための休館が決まっている帝国劇場への寂しさを挙げた上で、日本版の魅力に言及。去年、今年とオーストラリア公演とNY公演を観劇したという平原は、「日本でやるためだけの日本版だけの演出」によって生み出された「日本版の良さ」を届けられることに意気込みを見せた。去年の囲み会見にはバズ・ラーマン監督がサプライズで登場。「日本公演は世界中で1番泣けたかもしれない」という感想をもらったことを受け「“泣ける”を売りに頑張っていきたい」と笑顔を見せる。
「世界最年長のクリスチャン役かもしれない」という井上は、「今年もちょっとだけ(チケット代が)上がっていますが(笑)、値段に見合うもの以上の作品をお届けします」と、冒頭から笑いを誘う。稽古を通じて、今年はよりドラマの部分が深まったとのことで、「華やかなところとドラマのところのバランスがよくなっている」と手応えを語った。「ロンドンで上演されている舞台『千と千尋の神隠し』に負けないように(笑)」とまとめ、会見を一気に和ませる抜群のトーク力はさすがの一言だ。
初演公演後に、初めてパリに訪れたというのは、Wキャストでクリスチャンを演じる甲斐。「去年は想像でやっていた部分が、今年はより具体的に、五感すべてで味わってきたパリの物語を鮮明に届けられる」と語る姿には、この1年でさらなる飛躍を遂げた甲斐の頼もしさが漂う。
「脂身たっぷりのこってりしたジドラーをお届けできたら」と語るのは、ハロルド・ジドラー役の橋本。1年越しの再演について「ずっと(『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』を)やり続けていたような不思議な感覚」だと語ると同時に、「1年経って体型もグレードアップしました(笑)。衣装もサイズアップしていただき、人間って成長するもんだなと」と、よりスケールアップしたジドラーへの期待を煽った。
一方でWキャストの松村は「さとしさんのようにこってりとはいかないんですが、あっさりめの、それでいて猥雑な部分を新たに出していけたら」とコメント。2人のジドラーの違いにもぜひ注目だ。
デューク役の伊礼は「お客さんが入った途端に歓声が聞こえてきたのがすごく嬉しかった」と初演を振り返る。自身は観客として入ると「ヒューハー!」と歓声を挙げて自由に楽しむタイプとのことで、「この作品が日本に上陸したことで新しいミュージカルの観劇の仕方が広がっていくといいなと思います」と、本作へ掛ける思いを語った。
WキャストのKも、初演時に客席から何度か観劇した際に「ミュージカルへのイメージが変わった」そう。帝国劇場に刻まれた歴史と作品がマッチしている点にも触れ、「そのステージに再び立てることを嬉しく思います。また悪役としてしっかり悪を出していけたら」と意気込んだ。
望海風斗「エネルギーを爆発させたい」&平原綾香「心臓の一音一音まで格好良く演じたい」
初演から再演への変化について記者から質問が飛ぶと、甲斐は「このセットに負けないように」去年よりも鍛えて身体を大きくしていることを明かし気合十分。
一方で「何にも変わっていない。何の努力もしていない」という世界最年長クリスチャンかもしれない井上は、「なけなしの若さはあと3ヶ月くらい持つかな」「だから僕のこともう少し大切に扱ったほうがいい(笑)」と再び笑いを誘う。若さを保つ秘訣を問われた井上は「昨日通しをしてみたら、通しの勢いで出てくる“俺の若さ”みたいなものがあった。それを信じてやるしかない」と翌日に控えた初日への熱意を語った。
2つのチームに分かれての稽古だったと語るのは伊礼。「演出家から求められているものが両チームで違っていた」そうで、初めて一緒に稽古した際には思わぬ色が生まれたのだとか。だからこそ「何度も観ていただきたい」と、キャスト陣も未知なる化学反応への期待を膨らませた。
最後のあいさつでは、Kが「この帝劇でやれるのは最後かと思うと寂しいけど、思う存分楽しみたい」、伊礼が「今回は大阪公演があります。西の方にもこの赤い血を広げていきたい」、松村が「物語の結末は悲しい部分もありますが、僕は客席で希望を感じたので、ぜひ多くの方に笑顔で帰っていただきたい」、橋本が「日頃のストレスを発散しに、僕たちと一緒に『ギャンギャンギーギー』盛り上がってほしい。僕ももう本番何を言うかわからん(笑)」とそれぞれコメント。
甲斐が「今年もサティーンからもらった大きな愛を皆さんに届ける役目を任されました。大好きな梅芸(梅田芸術劇場)にも行くので、最後まで応援してくれたら嬉しいです」とフレッシュな笑顔を見せると、井上は「より楽しんでいただけるように演出もちょっと変更されているので、そこも期待していただきつつ、始まったらどんどん盛り上がっていく作品だと思うので、みなさんお早めに!」とまとめた。
最後はサティーン役の2人。ミュージカルデビュー10周年を迎える平原は、「サティーンを演じる中で、心臓の一音一音まで格好良く演じられるように、今年もしっかり務めていきたい」と、生命力に溢れるサティーンに命を吹き込むことへの決意を語り、望海は「1人1人がパワーアップしているし、なにより全員が心から楽しんでいるところが素敵なところだと思います。そのエネルギーを毎日爆発させられたら。とにかく騙されたと思って、絶対いいことしかないので、ぜひ多くの人に来ていただきたいですし、皆さんに楽しいと思ってもらえる時間になったらいいなと思います」と会見を締めくくった。
今の帝国劇場で観られる最後の『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』は、6月20日(木)~8月7日(水)まで東京・帝国劇場にて、9月14日(土)~28日(土)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。
文・囲み取材撮影:双海しお
公演概要
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』
2024年6月20日~8月7日 東京・帝国劇場
2024年9月14日~28日 大阪・梅田芸術劇場メインホール
キャスト:<各役50音順>
サティーン:望海風斗/平原綾香
クリスチャン:井上芳雄/甲斐翔真
ハロルド・ジドラー:橋本さとし/松村雄基
トゥールーズ=ロートレック:上野哲也/上川一哉
デューク(モンロス公爵):伊礼彼方/K
サンティアゴ:中井智彦/中河内雅貴
ニニ:加賀 楓/藤森蓮華
ラ・ショコラ:菅谷真理恵/鈴木瑛美子
アラビア:磯部杏莉/MARIA-E
ベイビードール:大音智海/シュート・チェン
アンサンブル(E)/スウィング(S) (五十音順表記)
ICHI(E)/乾 直樹 (E)/加島 茜 (E)/加藤さや香 (E)/加藤翔多郎 (E)/酒井 航 (E)/篠本りの (S)/杉原由梨乃 (E)/仙名立宗 (E)高橋伊久磨 (E)/田川景一 (E)/田口恵那 (E)/茶谷健太 (S)/富田亜希 (E)/平井琴望 (E)/堀田健斗 (S)/三岳慎之助 (E)
宮河愛一郎(ダンスキャプテン E)/米島史子 (S)/ロビンソン春輝 (S)/和田真依 (S)
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