池岡亮介×納谷健インタビュー 『クレイジーレイン』「挑戦的にガツガツいきたい」(後編)

2025年3月5日(水)より東京・シアタートップスにて、舞台『クレイジーレイン』が上演されます。劇団「渋谷ニコルソンズ」が上演した舞台『クレイジーレイン』を原作に、ワタナベエンターテインメント所属俳優出演により新たに舞台化。劇団「渋谷ニコルソンズ」主宰の木下半太氏が引き続き脚本と演出を担当します。
本作は、被害者と容疑者の登場がなく、4人の刑事たち以外誰も出演しない、張り込み先のライブハウスで起こる、密室・ワンシチュエーション・サスペンス。張り込み中の些細な会話からえぐり出される男たちの“秘密”。禁じられた恋、容疑者との共謀、汚職、殺人――。刑事たちによる命懸けの駆け引き……どのように事件が暴かれていくのか、驚きのストーリー展開に注目です。
そんな欲におぼれし刑事たち4人を、ワタナベエンターテインメントに所属する俳優たちが“四者四様”に熱演します。
THEATER GIRLは、無気力な女好き関西弁刑事の今江役を演じる池岡亮介さん、最年長で落ちこぼれ刑事の井口を演じる納谷健さんにインタビュー。後編では、会話劇の面白さや本作にちなみ、“雨の日の好きな過ごし方”について語っていただきました。
「こういう人いるよな」と思ってもらえるような役作りが必要
――本作の面白さをどんなところに感じていらっしゃいますか。
池岡:これだけコンプライアンスというものが話題になっている中、僕たちをこの作品に挑戦させるという判断がそもそも面白いなと思いました(笑)。
納谷:新宿という欲にまみれた街で、汚れていきたいですね(笑)。風刺の要素も入れられる作品だと思っているので、ためらいなく生きているキャラクターに対してお客様が「それはだめでしょ」とツッコめるような作品になるのかなと思います。
池岡:ツッコむ境目も難しい時代なので、そのボーダーラインを稽古場で探っていくことになると思います。その作業は今後、この時代の中でどれだけ攻めた演劇ができるのかということも考えられるきっかけになるのかなと。『クレイジーレイン』というタイトルにもあるように、できるだけ挑戦的にガツガツいきたいです。
納谷:観ている側が嫌悪感を抱くのももったいないし。昨今の作品を見ていても「コンプラ的にどうなんだろう」と思うと、雑音になってしまうこともよくあるので……。いい塩梅や振り切っても大丈夫な世界観とツッコんで誰かが回収する流れにすることで、お客様にとってもクリアになっていく構造や振り幅であることが重要だと思います。
池岡:それぞれのキャラクターに対して「こういう人いるよな」と思ってもらえるような役作りが必要なのかなと。
納谷:愛らしさだよね。
池岡:そうそう。「仕方がないな」と思えるくらいがいいのかなと。役作りとしてはけっこう生々しくて「これが人間だ」と思わせられるくらいの詰め方をしていかないといけないと思いますね。

――本作は会話劇になりますが、どんなところに面白さを感じていらっしゃいますか。
納谷:今までも会話劇に出演したことはありますが、やりがいを感じられて面白いです。日々のコンディションやお客様の空気感も毎回違う中で、音楽をセッションするような感覚で毎公演ブラッシュアップできるところが好きですね。
――少人数なので、会話量も多そうですね。
納谷:僕以外の3人はずっと出ていますね。僕は2回くらい退場するので、みんなに比べたら出番は少し減るかなと思います。
池岡:ずっと舞台上に居続ける作品をやっていると、だんだん舞台上という感覚がなくなっていくんですよね。もちろんお客様がいるという意識はありますし、見えてもいるんですけどね。目の前にいる人と自分の生活の中の何時間という感覚になっていくのが好きです。
今回は距離感も近いし、その日のそれぞれの体調などでも変わっていくのかなと。その日のその公演でしか生まれなかったものが如実に出るものですし。すべての公演が違うものになると思うので、楽しみにしていただきたいです。

――アドリブも多くなりそうでしょうか。
納谷:あると思いますね。台本を読んでいて、一人だけ分かりやすくアイコンとして“おじさん”というものがあるので。稽古段階で遊びながらやっていくことになりそうだなと。そのフリーダムさを許してもらえるなら、本番も遊ぼうかな。回収はみんなに任せます(笑)。
池岡:それが一番大変なんだよ(笑)。
――同じ事務所ならではのチームワークも見られそうですね。
納谷:もっとセリフを詰め込んでもいいくらい。ご時世を考慮したものとか、ハラスメントについて盛り込むのもありかなと思っています。
池岡:今いただいている台本は、初演を元にしていて、さらにドラマ化されたものを書き直していると聞いています。現代に寄せてはいるのですが、もっと時代を反映させてもいいのかなと思いますね。
納谷:ドラマ版だと、コロナ禍でマスクをしていたりして。今回も「リメイクもする」と演出の(木下)半太さんもおっしゃっていたので、何が入るのかな。「これこそが現代劇」というものになったらいいですね。
池岡:TwitterもXに書き換えられていたしね。
納谷:そうそう、そういうことだよね。緩急も出せるのでいいと思います。

2人の共通点は「ホラー好き」!?
――作品名の“レイン”にちなんで、雨の日の好きな過ごし方を教えてください。
池岡:雨の日は、ずっと家にいます。去年、テレビを捨ててプロジェクターを買ったんです。家は狭いのですが壁に投影できるので、映画や海外ドラマを垂れ流して観ています。特にホラーが好きですね。
納谷:僕もホラー好き! 一番好きなのは『貞子 VS 伽椰子』だよ。
池岡:それ、前にも言ってたね!
――納谷さんはいかがでしょうか。
納谷:僕は天邪鬼なので、雨が降ると外に出たくなって、カフェに行っちゃいます。「みんなは雨でテンション下がって嫌がっているんだろうな」と思うと、ウキウキしてくるんです(笑)。みんなの逆を行くという変な癖に突き動かされて、台本を持ってカフェに行きます。「みんな、お店に逃げてきたんだろうな。でも、俺は攻めに来たんだぞ」と思いながら、黙々と台本を読んでいます(笑)。その後、スーパー行って買い物して、家で自炊して「今日は、雨だけど果敢に攻めた1日だったぞ」と。
池岡:無理だ。絶対にUber Eats使っちゃう(笑)。

――最後に、本作を楽しみにしている皆様へメッセージをお願いします。
納谷:作品のビジュアルに「どいつが一番、狂ってる?」と書かれていますが、みんな狂っていることは感じていただけると思います。シリアスコメディという枠組みの中で「どう狂っているのか、どうおもしろくなるのか」が見どころです。ぜひ会場に来て笑っていただきたいです。分かりやすい作品ですし、ワタナベエンターテインメントの俳優がどう自分を魅せるのかなど、いろんな要素が入っています。ファンの方はもちろん、気になっている方も新宿はアクセスもいいので、ぜひお越しいただけたらうれしいです。
池岡:分かりやすい作品なので、狂っている4人を見て推しを見つけていただいてもいいですし、今までお芝居に触れてこなかった方も親しめる作品です。生身の人間が話している様子を面白いと思っていただけるはずなので、ぜひ気軽な気持ちで観に来ていただきたいです。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:野田涼
公演概要
舞台『クレイジーレイン』
脚本・演出:木下半太
【出演】中尾暢樹、池岡亮介、納⾕健、中山翔貴(Wキャスト)、真弓 (Wキャスト)
日程・会場:
2025年3月5日(水)~9日(日) 東京・新宿シアタートップ
チケット料金:7,800円 (全席指定・税込)
主催・企画・製作:ワタナベエンターテインメント
■舞台『クレイジーレイン』公式ホームページ https://crazyrain.westage.jp/
[公式X:ワタナベ演劇公式]@watanabe_engeki