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酒井大成インタビュー 『狂人なおもて往生をとぐ―昔、僕達は愛した』「この舞台を経てどう変わっていくのか楽しみ」(後編)

INTERVIEW

2025年10月11日より東京・IMM THEATERにて、『狂人なおもて往生をとぐ―昔、僕達は愛した』が上演されます。

挑発的、熱狂的でありながらも、美しい詩的なセリフが印象的な数多くの伝説的戯曲を生み出した劇作家・清水邦夫氏が、新しい世代の作家としての地位を確立した戯曲「狂人なおもて往生をとぐ―昔、僕達は愛した」が、今最も注目を集める演出家・稲葉賀恵さんの演出で上演されます。

娼家の女主人のヒモで、逃れたくてもその優しさから逃れられずにいる主人公・出を演じるのは、ドラマ、ミュージカル、ストレートプレイと様々な分野で活躍する木村達成さん。

共演に、岡本玲さん、酒井大成さん、橘花梨さん、伊勢志摩さん、堀部圭亮さんと、確かな実力を持つ俳優陣が集結しました。

THEATER GIRLは、酒井大成さんにインタビュー。後編では、本作にちなみ酒井さんの人には言えないような、“狂気を見せる瞬間”や舞台作品の魅力、主演を務めた際に座長として意識されたことなど、たっぷりとお聞きしました。

インタビュー前編はこちら

酒井さんが“狂気を見せる瞬間”とは……!?

人には言えないような一面ですか?……これは、けっこう誰にでもあると思うのですが、例えばシャワーを浴びている時、目をつぶって髪を洗ったりしていると、自然と一日の出来事を振り返る瞬間があるんです。その時に「なんであんなこと言っちゃったんだろう」と、悔しさがふっと蘇ってきて、思わず「うわ~!」みたいな声が出てしまったりして(笑)。

客観的に見たらちょっと怖いかもしれないですけど、自分の中では割と普通のことなんです。そういう意味では、ほんの少し狂気じみている瞬間かもしれませんね。

舞台は「みんなで一緒に作り上げていく感覚」

かなり前のことになりますが、当時はまだフリーランスで、21歳くらいの時でした。1ヶ月ほど稽古期間があって、その時に感じたのは、一つの作品に対して長い時間をかけて向き合えること、そしてみんなで一緒に作り上げていく感覚です。

舞台では全員が同じ空間に強制的に存在するので、一人も置いていけないんですよね。全員で作り上げるという空気感があって、それは舞台ならではの魅力だと思いました。

当時はAチームとBチームのような形でキャストが分かれていたのですが、それぞれのチームで全く違う色になるんです。同じ台本でも演じる人が変わると全く違うものになる。その違いを目の当たりにできたのも面白い経験でした。

あとはやはりお客様の存在ですね。舞台ならではの“直のリアクション”は大きな魅力だと思います。当時は必死すぎて余裕がなく、正直そこまで見ることはできなかったのですが(笑)。でもやっぱりお客様の反応を直接感じられるのは舞台の醍醐味だと思います。

そうですね。あの頃とは違う、自分の成長を体感できる場所になると思いますし、そこが楽しみです。

影響を受けた方を一人に絞るのは難しいのですが、本当に全員から刺激を受けていると思います。出会う人それぞれで芝居の仕方も考え方も違いますし、そのたびに学ぶことがあります。なので「この人」というよりは、これまで関わってきた作品のキャストの方全員から影響を受けていると感じていますね。

どんな立場であっても作品にしっかり向き合うこと

僕自身はみんなを引っ張っていくタイプではなく、まずは作品に真摯に向き合うことで手一杯でした。今もまだまだだと思っていますが、当時はキャリアもなかったので。ただ、その姿勢を見て「大成が頑張っているから自分も頑張れた」と言ってもらえたのは本当にありがたかったです。今振り返ると、もっといろいろなことに気を配れたんじゃないかという反省もありますが、当時はあれが精一杯でした。

そうですね。作品は違えど、座長を務める方が背負っているものを少しは体感できたと思います。その経験があるからこそ、他のポジションになった時に「自分には何ができるか」を考えられるようになってきたんじゃないかと感じます。とにかく大事なのは、どんな立場であっても作品にしっかり向き合うこと。それが最優先だと思っています。

欠かせないものといえば、水ですね。すごく喉が乾きやすい体質なのか、常に水分をとっている気がします。

ストレッチはよくやります。緊張しそうなときや気持ちが高ぶったときに、体をほぐしてリラックスするようにしています。叩いたりコロコロしたりして、柔軟を大切にしていますね。今はアクションの稽古をしていることもあり、普段からストレッチは欠かせない習慣になっています。

「観に来て良かった」と必ず思っていただける作品になると思います。僕自身も役としっかり向き合い、皆さんに充実した時間をお届けできるよう努めますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらうれしいです。お待ちしています。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:Jumpei Yamada

スタイリスト:藤谷香子
ヘアメイク:谷口ユリエ

インタビュー前編はこちら

『狂人なおもて往生をとぐ―昔、僕達は愛した』開幕レポートはこちら

演出・稲葉賀恵さん×木村達成さんのインタビューはこちら

公演概要

『狂人なおもて往生をとぐ―昔、僕達は愛した』

作: 清水邦夫
演出: 稲葉賀恵

出演: 木村達成 岡本玲 酒井大成 橘花梨 伊勢志摩 堀部圭亮

2025年10月11日(土)~18日(土)
東京・IMM THEATER

アフタートーク
10月12日(日)17:00開演終演後 登壇者:木村達成、酒井大成、稲葉賀恵(演出)
10月14日(火)18:00開演終演後 登壇者:木村達成、岡本玲、稲葉賀恵(演出)

公式サイト: https://www.kyoujin2025.com
公式X: @kyoujin2025

主催: 「狂人なおもて往生をとぐ」製作委員会

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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