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ミュージカル『SPY×FAMILY』待望の再演! 森崎ウィン×唯月ふうか「わくわく♪」のプレビュー公演の模様をレポート!

REPORT

「少年ジャンプ+」(集英社)で連載中の、遠藤達哉によるシリーズ累計発行部数3,800万部超の大ヒット漫画「SPY×FAMILY」は、赤の他人だった“スパイの男”“殺し屋の女”“超能力者の少女”が、仮初めの家族となりミッションに挑むスパイアクション&ホームコメディ。

ユニークな設定と魅力的なキャラクターにシリアスとアクションとギャグを織り交ぜたスピード感あふれるストーリー展開が読者の圧倒的な支持を受け、2022年にテレビアニメ化、2023年にアニメ映画化、同年3月には帝国劇場で初のミュージカルが上演。

2025年10月からテレビアニメSeason3の放送も始まり、ますます盛り上がるなか、新キャストが加わりさらにパワーアップした2025年版ミュージカルの再演が幕を開けた!

プレビュー公演初日のステージに立ったのは、初演に引き続き西国の凄腕スパイ、ロイド・フォージャー(コードネーム:〈黄昏(たそがれ)〉)役を演じる森崎ウィン。

同じく初演で殺し屋のヨル(コードネーム:〈いばら姫〉)を演じた唯月ふうか。そしてアーニャ役は、新たにオーディションで選ばれた4人の中から月野未羚が先陣を切って登場!

共演には、姉のヨルを溺愛する東国の秘密警察、ユーリ・ブライア役に瀧澤 翼。〈黄昏〉の後輩スパイ、フィオナ・フロスト(コードネーム:〈夜帷(とばり)〉)役に山口乃々華。“鋼鉄の淑女”の異名を持つ〈黄昏〉の上官、シルヴィア・シャーウッド役に朝夏まなと。名門イーデン校の教諭ヘンリー・ヘンダーソン役に鈴木壮麻と、2023年版でも同役を演じたキャストに加え、今作では〈黄昏〉に協力する情報屋フランキー・フランクリン役でシリアスからコメディまで幅広いキャラクターを演じ分ける実力派、鈴木勝吾が参加し、鉄壁の布陣で挑む!

(※以下、レポート内容には多少のネタバレが含まれます)

物語の舞台は、世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げる東西冷戦時代。隣り合う東国「オスタニア」と西国「ウェスタリス」では、十数年間にわたる仮初めの平和が保たれていた。

西国の情報局対東課〈WISE(ワイズ)〉に属するスパイ〈黄昏(たそがれ)〉は、危険人物である東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため極秘任務を命じられるが、その内容は“一週間以内に家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校の懇親会に潜入し、デズモンドに接触せよ”というもの。

バーリント総合病院の精神科医ロイド・フォージャーに扮した〈黄昏〉は早速“家族探し”を始めるが、孤児院から引き取った《娘》候補のアーニャは心を読むことができる超能力者、《妻》候補のヨルは殺し屋という裏の顔を持っていた。

それぞれの思惑を胸に、互いの秘密を隠しながら3人での共同生活が始まるが、変わった素性を持つ《仮初めの家族》の日常はおかしなことだらけ。

時には大事件に巻き込まれながらも、とにかく《普通の家族》を装うために全力を尽くす3人に、世界の平和は託されたのだった――。

舞台は瓦礫の山が積みあがり、爆撃や銃撃の音に交じって子どもの泣き声が響く荒廃した街の風景からスタート。アンサンブルによるダンスと重厚な歌声の中に登場した〈黄昏〉が「よりよき世界のために」スパイとなった自身の決意を語る緊張感あふれるシーンだ。

過去のミッションの回想や、新たなミッション〈オペレーション梟(ストリクス)〉に至るまでを描いた約7分に及ぶ長いオープニングシーンの後は、巨大なセットが滑るように動いて街の風景やフォージャー家のリビングなど、様々な場面がステージ上に現れる。

その風景の中に自然に溶け込み“生きる”登場人物たちは、主要キャストはもちろん、アンサンブルに至るまで全ての人々から原作へのリスペクトとキャラクター愛が伝わって来て、いつしか会場の空気は隅々まで「SPY×FAMILY」の色と染まっていくのだった。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

ターゲットの情報を得るためには女性と恋の駆け引きも利用し、スマートに数々のミッションをこなしてきた〈黄昏〉。合理的で非情な彼が、アーニャの予想外の発言や行動に「理解不能だ」と困惑し、天然なヨルとシスコンが過ぎるユーリのブライア姉弟に振り回されながらも、「ちち」として「夫」として振る舞う心境の変化を、森崎が包容力のある歌声と繊細な芝居で表現。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

アーニャ役の月野は、小さな体を大きく使って全力で歌い踊り、観客の視線を釘付けにする。元気にステージを走り回るアーニャを見ているだけでこちらも自然と笑顔になり、疲れてソファーで眠ってしまったロイドにアーニャが添い寝するシーンでは、多くの観客が母性本能をくすぐられたことだろう。

愛らしさは言わずもがな、歌も芝居もダンスも大人顔負けのクオリティに驚かされた! 歌詞やセリフがスラスラと出てくるだけでなく、シーンごとのステージでの立ち位置や、セリフの掛け合いのタイミングもバッチリな7歳児……将来おそるべし。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

ヨル役の唯月は、よく通る透明感のある歌声にさらに磨きがかかり、胸の奥がくすぐられるような心地よい感覚に陥る。

両親を亡くし、幼かった弟を養うため“殺し屋”になったヨルだが、もともとは素直でちょっぴり(かなり!?)天然な性格ゆえに、ちぐはぐな家族ごっこに多少の疑問を感じつつも、仮とはいえ「家族」になった二人に対しひたむきに愛情を注ぐ姿がなんとも微笑ましい。

また、どこか自信なさげな地味で真面目な公務員の表情から一転、黒いドレスに着替えて殺しの任務を遂行するシーンでは、まとっている空気をガラリと変え迫力に満ちた表情となり、とても刺激的で魅力的なヨルを堪能できた。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

そんな姉を過剰に溺愛するのは、瀧澤 翼が演じるユーリ。シスコンっぷりは、初演からさらにパワーアップし、フォージャー家を訪ねて酔っぱらった勢いで“ウザ絡み”するシーンでは、同じく酔っぱらったヨルの拳をまともに顔面に受け、回転を加えながら盛大に吹っ飛ぶ姿に会場内は大爆笑に包まれた。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

フィオナ役の山口乃々華は、登場からクールな芝居で引っ張って……から、一気に感情を爆発! 歌パートでも、ポーカーフェイスのスパイ〈夜帷(とばり)〉と、尊敬する先輩に恋する乙女フィオナでは表情や声色を巧みに使い分けるなど、丁寧で細かい芝居でキャラクターの魅力を倍増させていたのが印象に残った。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

鈴木勝吾は、アーニャとの息の合ったやりとりで〈黄昏〉を困らせるなど、茶目っ気たっぷりにシーンを盛り上げる。歌っている時の表情も実に楽しそうで、カンパニー初参加ながら飄々とした雰囲気を醸し出し、お調子者で憎めないフランキーを熱く演じていた。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

「こんにちは、あるいはこんばんは」の決めセリフでおなじみ、シルヴィア役の朝夏まなとは、登場シーンからさすがの貫禄! 長い手足を生かしたパワフルで隙のないダンスで観客を魅了する一方で、シリアスな芝居の合間に見せるチャーミングな表情や、真顔で〈黄昏〉に対するツッコミ台詞で笑いを取るなど、緩急使い分けた芝居で場の空気をピリリと引き締める。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

二幕から大活躍するのは、「エレガント」が口癖のイーデン校のハウスマスター、ヘンリー・ヘンダーソン。演じる鈴木壮麻は、立ち姿からセリフ回しまで、原作からそのまま抜け出してきたような完璧なヘンダーソンをエレガントに体現! イーデン校の職員が勢ぞろいする群舞シーンでは、後ろに束ねた白髪をなびかせながらスマートにターン&ステップを決める姿が実にエレガントだった。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

歌、ダンス、アクション、笑いなどエンタメ要素がギュギュっと詰め込まれた約3時間に及ぶ壮大なステージ。

東西冷戦下のスパイの活躍を描いたハードボイルドな作品であると同時に、この物語の根底にあるのは「家族」「愛情」「友情」「平和」といった、人が生きていくうえで基本的かつ大切なテーマ。

「普通の家族」を知らずに育ったスパイ、殺し屋、超能力少女――。戦争によって“普通”とはかけ離れた人生を選ばざるを得なかった3人が「本当の家族」として心から笑い会える日が早く訪れることを願わずにはいられない。

ミュージカル『SPY×FAMILY』は、埼玉・川越でのプレビュー公演を経て、10月7日(火)~28日(火)まで東京・日生劇場にて上演。

11月から12月にかけて大阪・福岡・山形・静岡・愛知にて全国ツアー公演が行われる。日程や登壇キャストの組み合わせなど、詳細は公式サイトをチェックしてほしい。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

文:近藤明子

公演概要

ミュージカル 『SPY×FAMILY』

原作:遠藤達哉(集英社「少年ジャンプ+」連載)
脚本・作詞・演出:G2
作曲・編曲・音楽監督:かみむら周平

出演:森崎ウィン/木内健人、唯月ふうか/和希そら、瀧澤翼/吉高志音、山口乃々華、鈴木勝吾、鈴木壮麻、朝夏まなと ほか

【プレビュー公演】
2025年9月20日(土)~9月28日(日)
ウェスタ川越 大ホール (ウェスタ川越10周年記念事業)

【東京公演】
2025年10月7日(火)~10月28日(火) 日生劇場

【2025年11月~12月 全国ツアー公演】
大阪公演 11月5日(水)~11月10日(月) 梅田芸術劇場 メインホール
福岡公演 11月17日(月)~11月30日(日) 博多座
山形公演 12月12日(金)~12月14日(日) やまぎん県民ホール
静岡公演 12月20日(土)~12月21日(日) 静岡市清水文化会館マリナート
愛知公演 12月26日(金)~12月30日(火) 御園座

ミュージカル「SPY×FAMILY」公式サイト: https://www.tohostage.com/spy-family/
ミュージカル「SPY×FAMILY」公式X:https://x.com/spyfamily_stage

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