東島京インタビュー『チョコレート・アンダーグラウンド』「大人になって忘れてしまったものを呼び起こしてくれる作品」(前編)

2025年6月5日(木)より東京・よみうり大手町ホールを皮切りに大阪、富山にて、ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』が開幕します。
日本でもファンの多いアレックス・シアラーの人気小説『チョコレート・アンダーグラウンド』(金原瑞人訳・求龍堂刊)を脚本・作詞高橋亜子×音楽オレノグラフィティ×演出石丸さち子の3人のトップクリエイターによって世界初のオリジナルミュージカル化。
『チョコレート・アンダーグラウンド』は、国民が選挙に無関心だったために、極端な政党が政権をとってしまい、チョコレートが禁止される物語。
主演を務めるのは、様々なジャンルの舞台で積極的な活動をしている北川拓実さん。共演には、東島京さんと木村来士さんをはじめ、平野綾さん、岡田浩暉さん、土居裕子さんのミュージカル界を代表するキャストたち。そして、浦嶋りんこさん、まりゑさん、小松季輝さん、佐藤匠さん、中川賢さん、陰山泰さんの実力者たちが約40役を演じ、この作品を支えます。
THEATER GIRLは、ハントリー役の東島京さんにインタビュー。前編では、出演が決まった時の思いや役柄の印象、石丸さち子さんの演出や北川拓実さん、木村来士さんなど同世代の方との共演で楽しみにしていることなどをうかがいました。
ワクワク感とプレッシャーがせめぎ合っていた
――本作に出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか。ご自身の演じられるハントリーについての印象についても聞かせてください。
出演が決まった時は、日本初演のオリジナルミュージカルに出演できる喜びと石丸さち子さん演出の舞台に出演できるワクワク感とプレッシャーがせめぎ合っていました。
僕が演じるハントリーは、北川拓実くん演じる親友のスマッジャーと行動を共にするのですが、スマッジャーは「これだ」と決めたらそこだけに突き進む、何があっても曲げない子です。それと比べてハントリーは少し敏感で周りの意見を探ろうとしている、迷いながらも前に進んで成長している男の子という印象があります。
これから稽古を通して、バビおばさんやブレイズさんなど、さまざまな大人たちと対話をしていく中で、ハントリーの迷いを探りながら、成長していく姿を表現したいです。それをスマッジャーにどうやって影響を与えられるかを考えながら演じていきたいと思っています。

――石丸さんの演出を受けられるのは念願だったとのことですが、どんなところを楽しみにしていらっしゃいますか?
本当にドキドキです。出演が決まってから「石丸さん演出の舞台に出演させていただく」という話をすると、いろんな方からとにかく熱い方と伺いました。いろいろとご指導いただきながら、自分も大きく成長できるのではと思っています。
この作品ならではのファンタジーとしてのエンターテインメント性と、リアルさの道を示していただけるのだろうととても楽しみにしています。石丸さんは会話の引き出しや役柄、役者同士の出会いに重きを置く方という印象があるので、この作品を通して、僕の中のいろんな引き出しをこじ開けてくれるのではと思っています。とにかく正面から飛び込んで、ビビらずにすべてを吸収したいです。
――本作の楽曲の印象や音楽面で注目してほしいポイントはありますか?
オレノグラフィティさんの楽曲は、とても真っ直ぐなのですが、感情を一つ違う視点から描いているような印象があります。
「二人を守って」という楽曲があるのですが、ハントリーがいない隙にスマッジャーとバビおばさんが捕まってしまったときに歌われるのですが、心が折れてしまいそうな歌詞と曲なんです。
その悲しさや怒りがわかりやすくエネルギーとなって歌として爆発するように、一つ先のものとしてオレノさんが描いてくださっています。楽曲を読み解きながら、きっと比例して役も深くなっていくと思いますし、シーンに別の視点を与えてくださるのではないかと思っています。 すでに何回か歌っているのですが、これからさらに役とリンクしていったら、どんな化学反応が起きるのか楽しみです。
先日、「Hibiya Festival2025」で歌唱したときにはボロボロと泣いてしまって。本当に歌に助けられるような楽曲たちだと思います。

観る人の年齢によって受け取り方が変わる作品
――原作や台本を読まれてみての印象はいかがでしょうか。
どちらも読んでみて、観る人の年齢によってすごく受け取り方が変わる作品だなと感じました。小学生や中学生の子たちが見ると、楽しくてキラキラしたミュージカルだと思うかもしれませんし、逆にもっと上の大人の方たちが見ると、「これはまずい」と思うかもしれません。
この作品自体が、誰もがまさかあの党が勝つわけがないと思っていた政党が勝ってしまうという話で、他人任せにして自分が行動しないことによる悲劇というか、いろいろな意味で現代に刺さりすぎるお話だと思うんです。
いかにそのメッセージ性を伝えながら、エンターテインメントとしてお客様にお届けするか、その塩梅が難しいと感じたので、しっかりと全員でディスカッションをしながら、緻密に作っていかなければと思っています。
――観る方の年代によっても刺さるポイントが変わってきそうですね。
本当にいろいろな年代の方に観ていただきたいですね。

――コメントでも北川拓実さん、木村来士さんなど「同世代の方とご一緒するのは珍しい」と仰っていましたが、同世代の方とお芝居するにあたって楽しみなことはありますか?
とにかく歳が近くて感性が似ている方たちとお仕事ができるのがすごくうれしくて、ドキドキワクワクしています。おそらく3人とも今までさまざまな現場で最年少というポジションでやってきたからか、頼るのか、お兄ちゃんっぽくするのか、なんとなくみんなで探り合っている感じがしました。
僕自身も、歳が離れていると周りの方に頼ったりもできるのですが、歳が近いとしっかりしないといけないと感じてしまうのかなと。スマッジャーもフランキーも後々行動を共にする深い絆のあるキャラクターになってくるので、早く打ち解けてそれと似たような関係性を作りたいですね。
今までの現場では最年少であることが多かったのですが、今回は自分の中で新しい居場所に辿り着けるのではと思うので、どんなポジションになるのか楽しみです。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:野田涼
公演概要
ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』
原作:アレックス・シアラー
翻訳:金原瑞人(求龍堂刊)
脚本・作詞:高橋亜子
音楽:オレノグラフィティ
演出:石丸さち子
Cast:
スマッジャー・・・北川拓実
ハントリー・・・東島京
フランキー・・・木村来士
モファット・・・平野綾
ジョン・ブレイズ・・・岡田浩暉
バビおばさん・・・土居裕子
様々な役を演じる・・・浦嶋りんこ まりゑ 小松季輝 佐藤匠 中川賢 陰山泰
<様々な役を演じる>
健全健康党の党首、党の男、警官隊、スマッジャーの父と母、ハントリーの父と母、依存症患者、
少年団団員、チョコレート捜査官、警察本部長、語り部、学校の生徒など多数 約40役を演じ分ける
【東京公演】
2025年6月5日(木)~6月15日(日)
会場:よみうり大手町ホール
<アフタートークショー登壇キャスト> 司会:石丸さち子
6/7(土)18:00:北川拓実・木村来士・岡田浩暉・小松季輝
6/11(水)13:30:東島京・土居裕子・佐藤匠・陰山泰
6/13(金)13:30:平野綾・浦嶋りんこ・まりゑ・中川賢
<スペシャルカーテンコール>
6/10㈫13:30
【大阪公演】
2025年6月21日(土)13:00/18:00
会場:森ノ宮ピロティホール
<アフタートーク登壇キャスト>18:00公演終了後
出演:北川拓実・東島京・木村来士・岡田浩暉
【富山公演】
2025年6月28日(土)、29日(日)両日13:00
会場:富山県民会館ホール
<アフタートーク登壇キャスト>
6月28日13:00公演終了後
出演:北川拓実・東島京・木村来士・平野綾・土居裕子
【東京・大阪・富山公演共通】
チケット:全席指定¥11,500(税込)
公式HP/公式X
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