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西川大貴インタビュー 『俳優とクリエイター、両方で自分という感覚』(前編)

INTERVIEW

ミュージカル俳優、クリエイター、演出家などマルチに活動し、YouTube「クロネコチャンネル」のホストも務める西川大貴さん。先日、自らが代表を務める「合同会社黒猫」も設立し、ますます幅広い活躍が期待されます。

THEATER GIRLは、西川大貴さんにインタビュー。前編では、「合同会社黒猫」を設立された経緯、会社を設立したことで今後やってみたいことなど、たっぷりとお話をうかがいました。

インタビュー後編はこちら

――この度は「合同会社黒猫」を設立されたとのことでおめでとうございます。会社を立ち上げた経緯についてうかがえますか。

2020年の4月に、クロネコチャンネルというYouTubeチャンネルを立ち上げたのですが、これは舞台やミュージカルに関わる俳優が舞台を観て感じた率直な思いなどを発信する場として作ったんです。その後、コロナ禍でイベントが止まっていた中、俳優によるイベントができないかと思いフェスの企画もしました。最近では「雨が止まない世界なら」というソングサイクル・ミュージカルを作って発信したりという中で、関わる俳優さんの数や事務所が増えてきたというのも理由の一つです。

また、僕はオリジナルミュージカルの問題点として、短期間の上演のみで再演の見通しが立たないことがとても多いと感じているので、作品を残すことが大事だと思うんです。例えば音源を作って配信するにしても、ちゃんとやるには会社が必要になってくるのではと思いまして、今回の設立にいたりました。

――「雨が止まない世界なら」のサブスク解禁のお話がありましたが、アルバムの発売から約1年というタイミングですよね。

そうですね。昨年の6月30日にCDを発売しているので。劇場に来られない方のためにも、”手元に残す”ということを大事にしたくて作りました。そして皆さんに日常の中で作品の楽曲を聴いてもらうことを考えると、サブスク配信は必須だと思っていたので、このタイミングで配信することになりました。

――サブスク配信だと幅広い方が耳にする機会が増えそうですね。

確実にそうだと思います。ただ、CDとサブスクでは少し目的が違うかもしれません。CDはどちらかというとモノとして残すことが目的で、パンフレットを持っていてもらうような感覚にも近いですかね。サブスク配信は音源を気軽に聴いてもらって、もっと観たい、聴きたい、自分も歌ってみようかなという広がりを生むものだと思っていて。今後の作品の展望を描いて配信することになりました。

僕以外のクリエイターの手助けもできたら

――会社を設立したことで、今後やってみたいことはありますか?

会社を作って全く新しい事業を展開していくというよりは、今までやってきたことがよりやりやすく、幅広くやれたらいいなと考えています。例えばオリジナル作品が上演されていたとして、あの曲を歌ってみたい、演奏してみたいと思っても「どうしたらいいんだろう」と思うことがすごく多いんです。

でも、今後はもしかしたらオリジナル作品の譜面を代行して販売するといったこともできるかもしれませんし、イベントを打つ際も「YouTubeチャンネルが主催です」というよりは、動きやすくなる面もあるかもしれない。俳優としての発信についても、もっと方法があるような気がしていて。そういったことも会社になるとさらにやりやすくなる気がしていますし、僕以外のクリエイターの手助けもできたらいいなと思っています。

――今後は、他のクリエイターの方ともいろいろと関わりを持っていく可能性もあるのでしょうか?

何かできたらいいですよね。日本のミュージカルクリエイターってまだまだ手を携えられる部分がある気がしていて。例えば小劇場で上演されている作品をヘッドハンティングというか…引っ張り上げるような仕組みって、何でないのかなと思っていて。小劇場と大劇場が完全に分断されていると思うんですよね。小劇場のクリエイターの葛藤も真実だし、大劇場で新作を作ってるプロデューサーの意見も間違いなく真実なんだけど、ここが一向に結びつかないですよね。

――西川さんは大作と言われるような大きな作品にも出演される一方、ご自身のオリジナルミュージカルも作っていらっしゃいますよね。そういった仲介の役割も担えるのかなと思いますが、そういった部分はいかがでしょうか?

それも会社になることで出来る役割があるかもしれませんよね。正直、俳優をやっているからこそ、クリエイター活動にも目を向けてもらいやすい面はあると思います。オリジナルミュージカルを作って劇場で上演することって、ものすごく大変なんです。重い岩を前に転がし続けているみたいな感覚なので。「劇場を借りて上演する」、その1回を実現することが目的ならもちろんそれでいいんですけど、「それで終わってしまう」、力尽きてしまうという体感を持っているクリエイターも多いのではないでしょうか。

――何か形に残していきたいですよね。

そうですね。「ミュージカル」だと特に大事な事だと思うんですよね。俳優をやっていて感じることは、SNSで一生懸命発信をしていても、作品が全く知られていなかったんだなと思うことがたくさんあって。やっぱり、知ってもらえる人が少ないと広がり方が変わってきてしまうので、知ってもらうことが大切だと感じます。

取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:MANAMI

インタビュー後編はこちら

出演情報

■こまつ座「連鎖街のひとびと」
http://www.komatsuza.co.jp/program/#more445

■クロネコチャンネル初の公開収録
https://www.kuroneko-ch.com/syuroku-vol1

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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