生田絵梨花インタビュー 『リア王』「セリフだけで勝負する舞台に立つことは大きな挑戦」(後編)
2025年10月9日(木)より東京・THEATER MILANO-Za、11月8日(土)より大阪・SkyシアターMBSにて、Bunkamura Production 2025/DISCOVER WORLD THEATRE vol.15 『リア王』が上演されます。
DISCOVER WORLD THEATREシリーズの第15弾として、シアターコクーン前芸術監督・蜷川幸雄氏の生誕90年を迎えることを記念し、“NINAGAWA MEMORIAL”と題し、 『ハムレット』『マクベス』『オセロー』と並ぶシェイクスピア四大悲劇のひとつである『リア王』が上演。
上演台本・演出は、人間を深く見つめ物語を繊細に紡ぎ出す斬新な演出手法が高く評価されているフィリップ・ブリーン氏が務めます。
リア王を演じるのは、大竹しのぶさん。共演には宮沢りえさん、成田 凌さん、 生田絵梨花さん、鈴鹿央士さん、横田栄司さん、安藤玉恵さん、勝村政信さん、 山崎 一さんと、これ以上ない豪華なキャストが結集しました。
THEATER GIRLは、コーディリア役の生田絵梨花さんにインタビュー。後編では、本作で新たに見せたいと感じる一面や“挑戦してよかった”と感じた大きな出来事、今後、挑戦してみたい表現や分野などについてお聞きしました。
素晴らしい先輩方と向き合う中で生まれるものを大切にしたい
――今回の舞台で「新しい一面を見てもらいたい」と感じる部分はありますか?
この作品ではセリフだけで勝負する舞台に立つということ自体が、私にとって大きな挑戦なので、きっと新しい姿をお見せできるのではと思います。ただ、自分から「新しい自分を見てほしい」と強く意識するよりも、素晴らしい先輩方と向き合う中で自然に生まれるもの、にじみ出てくるものを大切にしたいと考えています。
――生田さんは、困難に直面した時、挑戦したいと思われるタイプでしょうか?
私は「知りたい」という思いがとても強いタイプなんです。できないからといってすぐ諦めるというよりも、「なぜできないのか」「できる人はどんな道のりをたどってきたのか」「どうしたら自分もできるようになるのか」といったことを知りたくなるんです。その積み重ねでここまで来たように思います。
――とはいえ、初めての挑戦がこれほど豪華な座組となると、怖さもあるのではないでしょうか。今回、挑戦しようと決めた決め手はどこにありましたか?
『リア王』は名前こそよく知られた名作ですが、これまで深く内容に触れる機会はありませんでした。ただ、このタイミングで作品と本格的に向き合えることには、とても大きな意味があると感じました。そして、信頼している大竹しのぶさん、演出のフィリップさんとご一緒できるという座組に参加できるなら、挑戦しない理由はないと思いました。

三役に挑戦できたことは、自分の人生にとっても大きな経験
――これまでを振り返って「挑戦してよかった」と感じた大きな出来事を挙げるとしたら、どんなことが思い浮かびますか?
たくさんありますが、今すぐ思い浮かぶのはミュージカル『レ・ミゼラブル』です。コゼット、エポニーヌ、ファンテーヌの三役に挑戦できたことは、自分の人生にとっても大きな経験だったと思います。
――『リア王』は「愛の伝え方」が大きな鍵になる物語ですが、ご自身は普段、周囲の方に愛や感謝を伝える時はどのようにされていますか?
私は普段、なかなか気持ちを伝えられないタイプなんです。ただ、節目の時には「ちゃんと伝えたい」と思うので、急に感謝の言葉を伝えたりすることがあります。相手からは「どうしたの?」「何があったの?」と驚かれてしまうこともありますが、伝えないと気持ちは届かないと思うので、「今だ」と思った時にはその場で伝えるようにしています。
――その時は言葉で直接?
はい。直接伝えることが多いです。ただ、私は器用ではないので、伝え方がぎこちなくなってしまうこともあります。手紙を書くこともあるのですが、ものすごく時間がかかってしまうんです。本当はさらっと書けたら格好いいのに、何日も悩んで「これでいいのかな」と考え続けてしまって。一度書いては「違うかもしれない」と思って破って、また書き直す……そんな繰り返しです。
――それだけ思いが込められているということですよね。
そう言っていただけるとうれしいです。諦めずに、できるだけ自分の気持ちを丁寧に伝えていきたいと思います。

――これまで多くの方とご一緒されてきた中で、特にもらってうれしかった言葉はありますか?
ひとつだけを挙げるというよりは、自分がすごくネガティブになってしまった時に、「だからいいんじゃん」とか「それが生田絵梨花じゃん」と言っていただけた時は、とてもうれしかったです。そう言ってもらえると、ああ、間違っていなかったんだと安心できるんです。
やっぱり「なぜうまく進めないんだろう」「同じところで立ち止まってしまうのはどうしてなんだろう」と悩むこともあるので、そういう自分を肯定して見てくれている人がいると知ると、とても心強いです。ありのままの自分で進んでいっていいんだと感じられる言葉でした。

出会いを大事にしながら、目の前のことに真摯に向き合っていきたい
――生田さんはドラマや音楽活動など、さまざまなジャンルで活躍されていますが、幅広く活動される中で、それぞれの仕事が相乗効果を生んでいると感じることはありますか?
自分では客観的に判断するのは難しいのですが、「いろんなきっかけで知ることができました」と言っていただけるのは本当にうれしいです。もしその分野に取り組んでいなければ出会えなかった方々とつながれるのはありがたいことですし、光栄に思います。その出会いをこれからも大切にしたいですね。
――今後、挑戦してみたい表現や分野はありますか?
まずは求めていただいたことに最大限応えていきたいと思っています。新しいことに手当たり次第取り組むのが正解ではないとも感じていて、丁寧に深掘りしていくことも大切にしていきたいです。そして何よりも、出会いを大事にしながら、目の前のことに真摯に向き合っていきたいと思います。

――お忙しい毎日を過ごされていると思いますが、今ご自身へのご褒美や癒しにしたいことはありますか?
久しぶりに海外旅行に行きたいですね。しばらくは難しそうですが……。旅行は普段なかなかできないからこそ、本当にご褒美として行きたいと思えるものなんです。最近は海外までは行けませんが、一泊二日で友人と国内旅行をすることがあり、それがとても良いリフレッシュになりました。
――最後に、本作を楽しみにされている皆様へメッセージをお願いします。
『リア王』という作品名は知っているけれど、これまで触れる機会がなかった方々にも届くように、丁寧に皆さんと一緒に作品を作り上げていきたいと思っています。すでにご存じの方々にとっても、今回の演出はフィリップさんの新しい視点で描かれますし、さらにリア王を男性ではなく大竹しのぶさんが演じるという点も、新しい切り口になるはずです。どなたにも楽しんでいただける舞台になるよう、その一員として全力を尽くしたいと思います。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:梁瀬玉実
ヘアメイク:富永智子
スタイリスト:有本祐輔
ドレス
¥215,600
VICTORIA BECKHAM / ヴィクトリア ベッカム
(イーストランド)
03-6231-2970
シューズ
¥9,900
CHARLES & KEITH /チャールズ&キース
(CHARLES & KEITH JAPAN /チャールズ&キースジャパン)
https://charleskeith.jp/
イヤリング
¥15,400
TEN.
(TEN.)
092-409-0373
リング(ミックス)
¥22,000
TEN.
(TEN.)
092-409-0373
リング
¥12,100
TEN.
(TEN.)
092-409-0373
公演概要
Bunkamura Production 2025
DISCOVER WORLD THEATRE vol.15
「リア王」
NINAGAWA MEMORIAL
作: ウィリアム・シェイクスピア
上演台本・演出: フィリップ・ブリーン
出演:
大竹しのぶ、宮沢りえ、成田 凌、生田絵梨花、鈴鹿央士、
西尾まり、大場泰正、松田慎也、和田琢磨、井上 尚、吉田久美、比嘉崇貴、青山達三、
横田栄司、安藤玉恵、勝村政信、山崎 一
<ミュージシャン>会田桃子(Vn.)、熊谷太輔(Perc.)、平井麻奈美(Vc.)
【東京公演】
公演期間 2025年10月9日(木)~11月3日(月・祝)
会場 THEATER MILANO-Za(東急歌舞伎町タワー6階)
チケット料金: S席:13,000円 注釈付きS席:13,000円 A席:9,500円(税込・全席指定・未就学児入場不可)
※注釈付きS席は場面によりご覧になりにくい場合がございます。ご了承の上、ご購入ください。
【大阪公演】
公演期間 2025年11月8日(土)~16日(日)
会場 SkyシアターMBS
チケット料金: 13,800円 (税込・全席指定・未就学児入場不可)
公式HP: https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/25_kinglear/
企画・製作: Bunkamura
