木村達成インタビュー ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』 「自分の思うように、がむしゃらに挑戦してみてもいいんだ」(後編)
――本作はミステリーミュージカルとのことですが、木村さんが今までに「震えるような体験をした」というエピソードはありますか?
小学校のときかな? 夏に海に行って、帰り際に「ちょっと砂を落としてくる」と言って、バーッと海を泳いでいたら、離岸流に飲まれてしまって沖の方まで連れ去られたんですよ。
その頃は全然そんな知識もないので、真っ向からその離岸流に向かって泳いで泳いで、泳ぎまくって。体力がなくなっているのも分かってきて、そこで大声を出して「助けて~!」って手を振ったら、沖にいる人たちは、僕に手を振り返すんですよ。「ああ……もう死ぬんだろうな」と思った瞬間に、ライフセーバーの方に助けられて、九死に一生を得て。その瞬間は震えましたね。小学生ながらに、海や自然を甘く見てはいけないなと思った瞬間でもありました。
舞台を観ている間だけでも、辛い状況の世の中を忘れられたら
――では最後に、改めて本作への意気込みを聞かせてください。
お客様が舞台を観ている間だけは、コロナ禍で辛い状況の世の中を忘れられるような作品にしたいと思っています。「どんな展開になるのだろう」と気持ちが前のめりになったり、お芝居とはいえ舞台上で起こる出来事に鳥肌が立ったり……そんな瞬間を数多くこの作品の中で作りながら、お客様にお伝えしていければなと。
まだ9月は暑いと思うので日生劇場に若干の汗をかきながら来ていただき(笑)、僕らのプレイでゾクゾクしていただけたら。「日生劇場のミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』すごかったね」と思っていただけるような夏にしたいので、皆さまぜひ楽しみにしていてください!
取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)
スタイリスト:部坂尚吾(江東衣裳)
ヘアメイク:齊藤沙織
衣裳
ニット¥119,000、トラウザーズ¥69,000、シューズ#79,000 (すべてErmenegildo Zegna / ゼニア カスタマーサービス 03-5114-5300)
撮影場所
KITEN TOKYO
https://kitentokyo.com
公演概要
ミュージカル『ジャック・ザ・リッパー』
<東京公演>
2021年9月9日(木)~9月29日(水)
日生劇場
<大阪公演>
2021年10月8日(金)~10日(日)
フェニーチェ堺 大ホール
キャスト:
ダニエル:木村達成・小野賢章(Wキャスト)
アンダーソン:加藤和樹・松下優也(Wキャスト)
ジャック:加藤和樹・堂珍嘉邦(Wキャスト)
グロリア:May’n
ポリー:エリアンナ
モンロー:田代万里生 他
スタッフ:
作曲:Vaso Patejdl
作詞:Eduard Krecmar
脚本:Ivan Hejna
演出:白井晃
公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/jacktheripper2021/
ストーリー
1888年ロンドン。
刑事のアンダーソン(加藤和樹・松下優也)は娼婦だけを狙う、“ジャック・ザ・リッパー”と呼ばれる殺人鬼(加藤和樹・堂珍嘉邦)を追っていた。残忍な犯行で解決の糸口も見えないため、マスコミを排除し非公開で捜査を進めようとする。 しかしロンドンタイムズ紙の記者、モンロー(田代万里生)はスクープ記事のネタを狙って アンダーソンに近づく。 モンローは、麻薬中毒者で金が必要なアンダーソンの弱みにつけこみ、情報提供の取引に応じさせてしまう。
4度目の殺人現場で、アンダーソンの前に男が現れ「犯人を知っている」と告白する。「そいつの名前はジャックだ」と。 彼は、7年振りにアメリカからロンドンにやってきた外科医ダニエル(木村達成・小野賢章)。 7年前、ダニエルと元娼婦のグロリア(May’n)はジャックと出会っていた。
犯行が重ねられ事件は混迷を極めていく一方。 アンダーソンはダニエルの告発に基づき、おとり捜査を計画するが、ロンドンタイムズ紙は “ジャック・ザ・リッパー”の殺人予告記事の号外を出してしまう。 そして、アンダーソンと彼のかつての恋人だったポリー(エリアンナ)までもが事件に巻き込まれる。
果たして、殺人鬼“ジャック・ザ・リッパー”の正体とは…?
そして、本当の目的とは…?