高杉真宙×藤野涼子×矢部昌暉×新原泰佑×三浦獠太×佐伯大地インタビュー 舞台『ロミオとジュリエット』「比喩や表現の美しさがたくさん詰められている」(後編)
2023年9月13日から、東京・有楽町よみうりホールにて、舞台『ロミオとジュリエット』が開幕しました。
ウィリアム・シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』に、現在最も旬な若手実力派俳優である高杉真宙さんと藤野涼子さんが挑戦。演出は、故蜷川幸雄氏の演出助手・演出補として、多くのシェイクスピア劇に携わってきた井上尊晶さんが務めます。
純粋な愛、悲しみの運命……。縛られた世界の中で、10代の若者が恋に翻弄し、仲間と友情、ほとばしる熱い衝動が、どのように描かれていくのか。次世代を担う若手キャスト陣、個性豊かな俳優らによって生まれ変わる、新しい『ロミオとジュリエット』に期待です。
THEATER GIRLでは、ロミオ役・高杉真宙さん、ジュリエット役・藤野涼子さん、ベンヴォーリオ役・矢部昌暉さん、マキューシオ役・新原泰佑さん、ティボルト役・三浦獠太さん、パリス役・佐伯大地さんにインタビュー。
後編では、皆さんが最近一目惚れしたもの、愛から連想することについて、たっぷりと語っていただきました。真面目な話をするときは真剣に、冗談を言うときは思いっきり笑う。インタビュー中は、仲間とともに切磋琢磨しながら本作に挑むカンパニーの雰囲気の良さが伝わってきました。
最近一目惚れしたものとは? 皆さんついつい服の話に……
――作品にちなんだ質問を伺わせていただきます。ロミオとジュリエットは出会ってすぐに恋に落ちますが、最近皆さんが一目惚れしたものはありますか?
高杉:僕、尋常じゃないくらい服に興味がないんですけど、ただ最近はそろそろちゃんとしなきゃと、服にもちょっと気遣わなきゃいけないかなと思い始めたんです。面倒くさいけど、年齢も年齢だし、なと思って。
6年……もしかしたら10年、同じジーパンとか平気で着続けちゃうんですよ。もう自分でヴィンテージにしちゃうくらい(笑)。
佐伯:いいじゃん!
高杉:それがよくないんだよ。それで服を勉強しようと思って調べていたんですが、最近見た雑誌で「これかわいい」と思うものがあっても売り切れていることが多い。「これもかわいい、あれもかわいい」といろいろと調べていたら、やっと購入できる服を見つけて。ネットショッピングが苦手なので、今まであまりしたことなかったんですけど、かわいいと思ったシャツがあって、それは一目惚れでした。届いたけど、かわいくてまだ一回しか着れてない。シンプルなブルーの、半袖のシャツなんですけど……。
佐伯:明日着てきてよ。
高杉:(間髪入れずに)嫌です(笑)。
佐伯:なんで! 気に入ってるんでしょ!(笑)
高杉:気に入ってるからこそ(笑)! まだ一回しか着てないから!
藤野:特別なときにね(笑)。
佐伯:お前らのときには着ないぞ、ってこと(笑)?
新原:えー、見せてくださいよ! 僕らが特別じゃないみたいじゃないですか(笑)。
高杉:やめて(笑)。違う、違う! 違いますって!
佐伯:なんならマキューシオ(新原さんが演じる役)に着せてあげなきゃいけないんじゃないの?
高杉:一回しか着てないのに、なんで泰ちゃんに着せなきゃいけないんだ(笑)。
新原:いいじゃないですか! 友だちに着させるくらいの心の広さを見せてくださいよ(笑)!
高杉:それが一目惚れ!! 最近の!! (皆さんからのブーイングに、少しかぶせ気味に言い放つ高杉さん)
藤野:私も洋服のことになっちゃうのですが、実は私もあまり服に興味がなくて、頻繁に買うこともなかったんです。でも2年前にジーパンを買いまして、しかもあまり洗っちゃいけないタイプの……。
新原:こないだ履いてたもんね、ジーパン。めっちゃ意外な格好だった! あのジーパン?
藤野:はい、あれです。
新原:一目惚れ、着てきてくれてるじゃん! (高杉さんに目線を送りながら)
一同:(笑)。
藤野:一度お店で見つけたのですが、すぐに買うタイプではないので、いったん家に帰って本当に欲しいか考えてみました。でも一日経ってもやっぱり欲しいと思って、次の日もう一度行ったら無かったんです。「しまった……!」と思いました。そのお店はセレクトショップだったので、ジーパンのブランドの本店に行って、そのときに無事に買えました。服のためにそこまでしたことは今まで無かったんですけど、それくらいの気持ちでした。
新原:お気に入りなんだね。
藤野:はい、お気に入りですね。
矢部:僕も服の話になっちゃうんですけど、今まで僕は服以外のことでも収集癖がなかったんですよ。けっこういろんなことに飽き性だったのですが、最近スニーカーにめちゃくちゃハマって集め出しました。スニーカーに関しては、一目惚れで買ったモノを集めちゃってますね。
新原:一目惚れ……。みんなが服で話してるから、僕も服で話さなきゃと思って、今すごい絞り出していました(笑)。
僕は(矢部)昌暉くんがいるDISH//の『birds (in 2022)』という曲のミュージックビデオに出演させていただいてるんですね。そこで僕が朝ベッドで好きな人と一緒に起きるシーンがあるのですが、そのときに着ていた衣装のTシャツがめちゃくちゃかわいくて。
※Official MVで、2:36あたりからのシーンです。どんなTシャツか気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
スタイリストさんにもずっと「このTシャツのチョイス、めちゃくちゃいいです!」と言っていて。
新原:「どうしよう、めちゃくちゃかわいいです」と言ったら、「これ一点ものなんだよ。よかったらあげるよ」とスタイリストさんがくださったんです。これはもう本当に運命の出会いだなと思いました。
――とても大切にされていらっしゃるんですね。
新原:めちゃくちゃ大切にしています! 自分のインスタライブをするときとか、大事な日に着るようにしています。
三浦:みんな一目惚れが服のことだから、僕も……。
佐伯:いや、縛ってないよ(笑)。
三浦:(笑)。こないだ古着屋の入り口にプーマのTシャツが3000円であって、これはもう本当に一目惚れで絶対に買おうと思って。でも先に別のものを買う用事があったので、あとで戻ってこようと思っていたら、なくなっていたんです。古着屋だから同じものもなくて、結局買えなかった……。
新原:買えなかった話(笑)?
佐伯:靴下も服も全部プーマだよね? めっちゃプーマ好きじゃない?
三浦:はい、好きなんです(笑)。
人と人とのちょっとした気遣い、思いやり……それらが愛につながっていく
――前編では、矢部さんから「この作品は純愛ではないのではと思った」というお話もありましたね。愛はかなり壮大ではありますが、皆さんにとって愛から連想するものを教えてください。
高杉:愛から連想するもの……。僕にとっての愛は、人でもモノでも、そのことについて何かを知った瞬間から生まれるものだと思っています。だからこうやって取材を受けていて、「どうしてこういう質問をするんだろう?」と思った瞬間から、愛が生まれていると思うんですよ。
もちろん、深さの違いはありますよ。それは誰に対してもそうで、家族や友だちなどに対して、それぞれの愛には大きさ、深さの違いがあると僕は思っています。まったく同じとか、平等だとは思っていなくて、だからこそ愛というものは尊くて特別なものだと理解していますね。
こうやってみんなと話すときも、何かを知った瞬間からそこに愛があると思うので、僕は愛していますよ。
新原:言いふらしていい? (高杉さんに)愛されてるって。
高杉:ぜんぜんいい。だから嫌いな人に対しても、「自分はこの人に対して愛を見つける瞬間があるかもしれない」と思っています。
新原:素敵だね。
藤野:私が愛を感じたのは、この前、電車の駅のホームで、タオルが落ちていたんですよ。その近くに男性と女性がいて、すれ違った瞬間、お互いが「この人が落としたのかもしれない」という感じで、今まで他人だった二人の目がぱっと合って、二人とも拾おうとしたんです。
結果、そのタオルはどちらのものでもなくて、そのまま駅のホームの端に二人で置きに行っていたのですが、今まで他人だった人たちが、ちょっとした瞬間にお互い気遣い合った出来事が、私には忘れられなくて。実はあれって、愛とか、そういうものが芽生えた瞬間だったのではないかなと思いました。
一瞬ではあったけれど、人と人とのちょっとした気遣い、思いやり……。そこには愛があったのかもしれないなと、皆さんの話を聞いていく中で思い出して。自分の中では、人との関わり、人に対する思いやりが、愛に繋がっていくのかなと思いました。
矢部:愛は見えないものだから、とても難しいですよね。自分が愛という言葉をどこで一番使っているかを考えると、音楽をやっているときだと思いました。DISH//のメンバーと曲を作っているとき、作る過程で誰を思っているのか、誰に届けたいのかを考えながら、ふと歌詞の内容に優しい言葉が出てくることがあって、そういうときに「愛だね」と使いますね。
新原:自分にとって愛とは何なのか、今ずっと考えていました。愛を感じる瞬間でいえば、応援してくれている人からメッセージをもらったり、家族から連絡が来たり、そういうときでしょうか。
あとは、この『ロミオとジュリエット』の稽古場で、みんなと話しているとき、みんなに助けてもらっている瞬間も愛情を感じる瞬間が多いです。自分が愛を与えているという反対のベクトルでいうと、僕は世界で一番かわいいと思っている猫がいて、それがうちの猫ちゃんです。どの世界の猫よりも、かわいいと思っています、僕は(笑)。こんなに親バカ具合を発揮するくらいにはかわいいし、愛情を注いでいます。
佐伯:僕は両親ですね。やっぱり愛というと、両親を思い浮かべる。とても仲が良いんです。母は編み物にハマっていて、夏なのに。編み物に、夏なのに(笑)。
一同:(笑)。
佐伯:「毛糸の帽子と手袋を作ったよ」って、家族のLINEグループに送ってくる。
高杉:素敵すぎるよ、その話。
佐伯:父も優しくて母ちゃんの言いなりだから(笑)。気温36度くらいあるのに「温かくていいでしょ?」って、それに対して「ありがとう。温かい」って(笑)。
高杉:いい関係! 素晴らしいね。
佐伯:最初は毛糸の帽子だけだったのに、それがどんどん増えて、手袋に、分厚い靴下に。「これ、いつ履くの? 冬でも暑いよ(笑)」みたいな。
高杉:羨ましいよ。三浦くんはどう?
三浦:僕は、先ほどの一目惚れから愛につなげると、プーマ愛があると思います。
高杉:プーマの話になったら、急にイキイキしてるもんね(笑)。
三浦:僕、もともと小さいときからプーマのズボンを履いていたり……。小さい頃からずっと一つを愛し続ける、一途なタイプです。お店も行きつけのところにずっと行くので。これが僕の愛、ですかね。
取材・文:矢内あや
撮影:田中亜紀
ヘアメイク: 堤紗也香(高杉真宙担当)、大岩乃里子、塩澤優花、塚原ひろの
スタイリスト: 荒木大輔(高杉真宙担当)、岩田友裕
衣装協力: EGO TRIPPING
公演概要
「ロミオとジュリエット」
【スタッフ】
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:井上尊晶
出演:
高杉真宙 藤野涼子 矢部昌暉 新原泰佑 三浦獠太 佐伯大地
皇希 田中 亨 皆藤空良 菅 彩美 木村咲哉 牧野彩季 松浦慎太郎 村井友映 井上百合子
冨樫 真 廣田高志 一谷真由美 松澤一之 星田英利 石井愃一
<東京公演>
有楽町よみうりホール × シーエイティプロデュース ステージシリーズ
2023年9月13日(水)~9月24日(日) 有楽町よみうりホール
料金(税込):全席指定 9,800円 / U-20チケット 5,500円(20歳以下対象・枚数限定)
<大阪公演> 2023年9月29日(金)~10月1日(日) 森ノ宮ピロティホール
<富山公演> 2023年10月7日(土)~10月8日(日) 富山県民会館ホール
<愛知公演> 2023年10月14日(土)~10月15日(日) 東海市芸術劇場 大ホール
<福岡公演> 2023年10月21日(土)~10月22日(日) キャナルシティ劇場
<仙台公演> 2023年10月28日(土)~10月29日(日) 仙台電力ホール
【製作】 シーエイティプロデュース
【公式HP】 https://2023-romeoandjuliet.com
【公式Twitter】 @2023RandJ