成河インタビュー 舞台『検察側の証人』 「自分が陪審員として座らされてしまっている、そんな作品になる」
アガサ・クリスティの法廷劇の決定版、『検察側の証人』が、2021年8月28日の世田谷パブリックシアターを皮切りに、東京・兵庫・大阪にて上演されます。
小川絵梨子さんによる新翻訳・演出のもと、検察官のマイアーズ役を務めるのは「成河(そんは)」さん。2008年度文化庁芸術祭演劇部門で新人賞、2011年に読売演劇大賞で優秀男優賞を受賞。ストレートプレイからミュージカルまで幅広い演技で魅了する実力派俳優として知られています。
THEATER GIRL編集部は、成河さんにインタビューを敢行。日本と海外における演劇の違い、役を演じるうえで意識していること、舞台上で喜びを感じる瞬間など、じっくり語っていただきました。
演劇ができるようになって良かった
――まずは『検察側の証人』の出演が決まった際の率直なお気持ちを教えてください。
自粛期間もあったし、コロナの影響でなくなった公演も多かったので、やっぱり演劇ができるようになって良かったというのがあります。率直に感謝の気持ちが大きいですね。
――台本を読んで、ストーリー全体としてはどんな印象を持ちましたか?
すごく良くできてるなぁと思いましたよ。「人間が嘘をつくとはどういうことか」ってことが、終盤に向かって丁寧に描かれていますから。この題材に興味ない人はいないんじゃないかなって思いますね。
日本の演劇は“ちゃんぽん”なんですよ
――今作の共演者は、ジャニーズWESTの小瀧望さん、元宝塚の瀬奈じゅんさん、文学座の大滝寛さん、浅野雅博さん、青年座出身の那須佐代子さん、東京サンシャインボーイズの梶原善さんなど個性派揃いですね。
もちろん顔触れもそうですけど、実際に稽古してみていろんなバックグラウンドの人たちがいるなと。僕は「北区つかこうへい劇団」ですしね(笑)。本当にみんなバラバラなんです。ただ、日本の演劇はどの現場に行ってもそうだったりして、それが面白いところでもあります。
日本の演劇は“ちゃんぽん”なんですよね。しかも今回の作品では、その中心にニューヨークで演劇の勉強をされてきた小川絵梨子さんの方法論がある。そこがとても面白い。日本ではあまり突き詰められていなかった「リアリズム演劇がどこまで具現化できるか」ってことが延々と試されるんですね。
いろんな演劇的バックグラウンドの人間たちで、いろんなトライの仕方をする。それが、小川絵梨子さんの稽古場での醍醐味になっているなと思います。
――現在の稽古場でもっとも刺激を受けている方はいらっしゃいますか?
今は小川絵梨子さんですね。毎日毎日、彼女から刺激をもらっています。本当はね、こっちがプレゼンする側じゃなきゃいけないんですけど。やっぱり絵梨子さんの信念、そのブレなさっていうものに日々引っ張られるというか、力をもらいます。同時に、ちゃんと返していかなきゃとも思いますね。