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新納慎也インタビュー『ショウ・マスト・ゴー・オン』「今の世の中でこの作品を上演することは、とても意義のあること」(後編)

INTERVIEW

2022年11月7日(月)より福岡公演を皮切りに、京都、東京にて『ショウ・マスト・ゴー・オン』が上演されます。

本作は、三谷幸喜氏が主宰する劇団東京サンシャインボーイズで1991年に初演され、最後の上演(1994年)から28年の時を経て、 三谷幸喜自らが手がけたリニュ―アル版として上演されます。

出演は、鈴木京香さん、尾上松也さん、ウエンツ瑛士さん、シルビア・グラブさん、小林隆さん、新納慎也さん、今井朋彦さん、藤本隆宏さん、小澤雄太さん、峯村リエさん、秋元才加さん、井上小百合さん、中島亜梨沙さん、大野泰広さん、荻野清子さん、浅野和之さんと豪華キャストが集結しました。

THEATER GIRLは、小道具作りの七右衛門役の新納慎也さんにインタビュー。後編では、リニューアル版としての見どころや新納さんが日常の中で楽しさを感じる瞬間などについてうかがいました。

インタビュー前編はこちら

瞬きもできないぐらい豪華なメンバーが一瞬一瞬出てくる

――本作は、開幕して 3 分で笑いが沸点に達するとのことですが、 今回リニューアル版としては、どのような部分が見どころになりそうでしょうか。

3分で笑いが沸点に達するかは微妙なところですが(笑)。とにかく僕も、稽古場で毎日ゲラゲラ笑っています。3分は言い過ぎかもしれませんが、10分後ぐらいにはゲラゲラ笑っていると思います。

ご覧のように豪華な出演者なんですけど、出演者が多い分、普段主役をやられているような役者さんたちも「えっ、尾上松也くんこれだけでいいの!? シルビア・グラブさんも浅野和之さんもこれだけでいいの!?」という感じの出かたなので、他の舞台と比べるとすごく贅沢だなと思います。ただその分、豪華なメンバーが、瞬きもできないぐらいその一瞬一瞬に全力で挑んでくるのでとても贅沢だと思いますね。

――過去にご覧になった舞台に出るというのは、どんな感覚なのでしょうか。

プレッシャーでしかないですね。僕もブロードウェイで観た作品が何年後かに日本人キャストで上演されることになったら、ブロードウェイの記憶を塗り替えたくないなと思うタイプなので。今回は、それに近いプレッシャーです。劇団東京サンシャインボーイズの記憶を塗り替えたくないと思うお客様が多いのではと思ってしまうくらい、プレッシャーを感じています。

三谷さんの現場は「穏やかで和気藹々としている」

――今回、鈴木京香さんをはじめとした多彩で豪華な出演者の方々が揃っていますが、 稽古場の雰囲気や皆様の印象はいかがでしょうか。

三谷さんの作品っていつもそうなんですけど、 稽古場の雰囲気が和気藹々としていて穏やかなんです。一般的に演劇の稽古場って、演出家から「バカ野郎!」と怒号が飛んだりする印象が強いと思うんですけど、 三谷さんの現場は本当に和気藹々と笑いながら進んでいくような感じなんですよね。多分、三谷さんご本人と、三谷さんが選ぶ俳優さんたちの性格がいいんだと思います(笑)。

――新納さんは、演出家の顔も持たれていますが、 三谷さんの演出から何か影響を受けた部分はありますか。

知らず知らずのうちにですが、多かったと思います。僕自身は三谷さんみたいに穏やかな人ではなくて、どちらかというと蜷川幸雄的なパッションの人なので、そういう演出家になりそうかなと思っていたんですけど、実際に稽古が始まると、意外にもとても穏やかな稽古場作りをしていました。声を荒げて怒ることもなかったですし。

当時は必死でそんなことを思っていなかったですが、役者の役への誘導の仕方とかも、今思えば三谷幸喜のDNAがそうさせたんだろうなって。でも三谷さんだけではなくて、僕は誰か一人の演出家の元で演出助手として勉強した訳ではないので、 役者としていろんな演出家の方と一緒に仕事をしてきたことが武器だと思っているんです。もちろん、その中でも三谷さんの分量は多いと思いますが、いろんな演出家の方々のDNAが少しずつ混ざった演出家だと思っています。

新納さんの遭遇した現場はまさかの……!?

――新納さんが役を演じる上での信念や大切にしていることはありますか。

月並みですけど、リアリティですかね。すごく難しいんですけど……日常会話のように、セリフを喋るという意味のリアリティではなくて、作品の世界観におけるリアリティ。だから突拍子もないセリフを言ったり、むちゃくちゃなことをしたりする役も、その作品の世界観の中では、「あっ、居そう!」と、観ている方が思えるような役作りをしようと思っています。

――本作はコメディですが、新納さんが日常の中で楽しさを感じる瞬間はどんなときでしょうか。

すごく暗いですよ(笑)。海外ドラマを観ている時が楽しいんです。

――海外ドラマだとどんな作品をよくご覧になるのでしょうか?

サスペンスを観ることが多いですね。大体、人が殺されたり復讐したり(笑)。僕、『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』というドラマがすごく好きで、18年間20周ぐらいずっと見続けているんです。医療もので外科医の話なんですけど、これだけ観ているとものすごく医学に詳しくなるんです。だから18年医学に携わっていると言っても、過言じゃないくらい(笑)。

以前、美容院でパーマをかけていて、頭をロットに巻かれて待っている時に、向かいのビルで女の子が地べたに這いつくばって「誰か助けて!」と叫んでいて、横に倒れている男の子が見えたんです。それで、医学に詳しい僕が助けにいかなきゃと思って、頭にロットを盛り盛りに巻いたままそのビルに駆け込んだら、その2人を若い子たちが取り囲んでいて。どうやらそこは、演劇の稽古場だったようで。その芝居中に、頭にロットを巻いたまま「大丈夫ですか?」と飛び込んで行ってしまったんです(笑)。

――稽古場にいた方々には、新納さんだということはバレなかったのでしょうか?

いや、バレていないと思います。ロットを巻いていたので(笑)。でも、ロットを巻いたまま救命処置をすることを想像しながら走っていたんですけど、そうするとパーマがクリンクリンになっちゃうじゃないですか。なので、処置をしながら頭のロットを外してもらう準備もちゃんとしていました(笑)。

取材・文:THEATER GIRL編集部
撮影:加藤孝
ヘアメイク :田中エミ(Rapport81)
スタイリスト:津野真吾(impiger)

ジャケット¥49,800、パンツ¥30,800(ともにroom.13/Sian PR)、その他/スタイリスト私物

インタビュー前編はこちら

公演概要

「ショウ・マスト・ゴー・オン」

【福岡公演】
2022年11月 7日(月)~11月13日(日)
キャナルシティ劇場

【京都公演】
2022年11月17日(木)~11月20日(日)
京都劇場

【東京公演】
2022年11月25日(金)~12月27日(火)
世田谷パブリックシアター

【作•演出】 三谷幸喜

【出 演】 鈴木京香 尾上松也 ウエンツ瑛士 シルビア・グラブ 小林隆 新納慎也 今井朋彦 藤本隆宏小澤雄太 峯村リエ 秋元才加 井上小百合 中島亜梨沙 大野泰広 荻野清子 浅野和之

【企画•製作•お問合せ】 シス・カンパニー TEL:03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)

シス・カンパニーHP・プロデュースページ:https://www.siscompany.com/showmust/

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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