京本大我(SixTONES)、咲妃みゆ、松岡広大、加藤清史郎ら出演。ミュージカル『ニュージーズ』開幕! ゲネプロ&初日カーテンコールレポート
2021年10月9日(土)より東京・日生劇場で、日本初演となるミュージカル『ニュージーズ』が開幕した。昨年5月に公演が予定されていた本作だが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となっていた。今回約1年半の時を越え、トニー賞8部門にノミネートされ、2部門に輝いたディズニーミュージカルの日本版に満を持して挑む。
音楽はアカデミー賞8度の受賞を誇るアラン・メンケン、作詞はジャック・フェルドマン、脚本はトニー賞を4度受賞しているハーヴェイ・ファイアスタインが担当。美しい楽曲とエネルギーあふれるダンスナンバーが詰まった珠玉のミュージカルとなっている。
日本版初演として、演出・日本語訳・訳詞を手がけるのは、『エリザベート』、『モーツァルト!』、『レディ・ベス』、『1789 -バスティーユの恋人たち-』、『ロミオ&ジュリエット』など、多くの大ヒットミュージカルをこの世に送り出してきた小池修一郎(宝塚歌劇団)。ミュージカル界の巨匠として、どのようにこの最新作を彩るのか期待も大きい。
今回は先立って行われたゲネプロの様子と、初日のカーテンコールのコメントをお届けする。
ゲネプロレポート
舞台は1899年のニューヨーク。京本大我(SixTONES)演じるジャックをはじめ、新聞を路上で販売する少年たち“ニュージーズ“は、日々新聞社から新聞を仕入れ、路上で販売していた。
自分が売った新聞がそのまま収入となる“ニュージーズ”の仕事。ただし仕入れた新聞は買い戻しができないため、売れ残った分の損失は自分で背負わなければいけなかった。
「小さな町で、でっかく暮らす」ため、いつかニューヨークを出てサンタフェに行くことを夢見るジャック。同じ“ニュージーズ”であり、弟的存在のクラッチー(松岡広大)に伸びやかな歌声で夢を語る。公演中止を経て、さらに歌声に磨きがかかった京本。美しくも力強いロングトーンは印象的で心に響くものがある。
毎日毎日必死に新聞を売るも、現実は厳しくジャックたちの暮らしは貧しいままだった。
ジャックは“ニュージーズ”の中でもリーダー的存在。京本の力強くしなやかなダンスは観客を沸かせる。
ジャックの合図を掛け声に、「今日も新聞をたくさん売るぞ」とそれぞれが意気込んでいく。この約一年半、それぞれがスキルを高めてきたということで、“ニュージーズ”そろってのダンスナンバーはエネルギッシュさが爆発。公演中止の悔しさをバネに圧巻のシーンとなっていた。
ある日、販売価格は据え置きのまま新聞の卸値が値上がりすることを“ニュージーズ”は知らされる。自分たちの権利を訴えるため、“ニュージーズ”は組合を結成し、ストライキをしようと決意。
ヒロインであるキャサリン役は、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役の咲妃みゆが演じた。女性記者として特ダネを狙っていたキャサリンは、“ニュージーズ”がストライキを計画していることを知り、新聞の見出しになるよう取材することを決意。だんだんジャックに心を動かされ、“ニュージーズ”を応援する立場として堂々たるヒロインを見事に演じ切った。
バーレスクのスター・メッダ役の霧矢大夢は、ジャックの絵の才能を認め、ジャックや“ニュージーズ”たちを見守る頼もしい存在。ショーのシーンでは、パワフルな歌声で客席を華やかに魅了した。
ピュリツァー役を演じる松平健は、”ワールド”紙のオーナーとしてベテラン俳優ならではの圧倒的な存在感を放つ。儲けのため新聞の卸値を引き上げを企てる権力者として、“ニュージーズ”の前に立ちはだかる。大勢の少年たちと対峙しても負けないパワーはさすがだ。
クラッチーを演じる松岡広大は、足の不自由な役ということで松葉杖姿で舞台に立つ。ジャックを兄貴のように慕いながらも、相棒のような、親友のような特別な関係性を繊細に表現した。
父親が怪我で失業し、“ニュージーズ”に新しく入ることになったデイヴィ役は加藤清史郎が演じる。弟レスとの抜群なコンビネーションも微笑ましい。最初は戸惑いを見せながらも、“ニュージーズ”に自然と溶け込み、ジャックを支える一人となっていく。
全編を通して、京本をはじめキャスト全員の上演に懸ける思いや情熱がひしひしと伝わってくる公演であった。
自由、権利を勝ち取るため、仲間たちと懸命に闘う少年たちの物語がここに始まる。