宮崎秋人インタビュー 舞台『ザ・ドクター』「ここで成長できなければ、今後未来はないかもしれない」(前編)
舞台、パルコ・プロデュース2021『ザ・ドクター』が、10月30日(土)・31日(日)埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールを皮切りに、11月4日(木)から東京・PARCO劇場、その後兵庫、豊橋、松本、北九州にて開幕します。
本作はロンドン・アルメイダ劇場のアソシエイトディレクターであるロバート・アイクが、シュニッツラーの「Professor Bernhardi(ベルンハルディ教授)」を翻案し、自ら台本を手がけて演出した作品。イギリスで最も権威あるローレンス・オリヴィエ賞「Best New Play(作品賞)」、「Best Actress(女優賞)」のノミネートをはじめ、イギリス演劇賞各賞に輝いた注目作です。
物語の主人公は医療研究所の所長であり、エリート医師のルース。ある少女の死をきっかけに、宗教、人種、ジェンダー、階級差など、さまざまな社会問題がルースを襲います。そんな中でも医師としての自分を見つめ直し、信念を貫くことを決意していくというストーリー。
今回は日本初演として、演出に栗山民也さん、主演のルース役に大竹しのぶさんを迎え、強力なタッグが実現しました。この複雑な社会派現代劇がいかに表現されるのか、期待が膨らみます。そのほか、橋本さとしさん、村川絵梨さん、橋本淳さん、宮崎秋人さん、那須凜さん、天野はなさん、久保酎吉さん、明星真由美さん、床嶋佳子さん、益岡徹さんといった実力と人気を兼ね備えるキャストが集結しました。
THEATER GIRLではマイケル・コプリー役を演じる宮崎秋人さんにインタビューを敢行。前編となる今回は、本作への出演が決まったときの気持ちや、宮崎さんが現場で受けている刺激、コプリー役を演じるにあたって意識していることなど、たっぷりお話をうかがってきました。
ここで成長できなければ、今後未来はないかもしれない
――まず本作への出演が決まったときのお気持ちからお聞かせください。
いつかご一緒したい方ばかりだったので、素直に嬉しかったですね。2018年に舞台『PHOTOGRAPH 51』でご一緒した橋本淳さんの名前もありましたし。栗山民也さん演出で、大竹しのぶさん主演という強いカンパニーの中に飛び込んでも、淳さんがいたら「自分は何とかなるだろう」と安心感を与えてくださる先輩なので、本当に嬉しかったです。
ここで成長しなければ……成長できなければ、今後未来はないなと思うくらい、本作を通じて絶対に成長しなければいけないなと思っています。
「作品の中で答えを出していない」のが本作の面白さ
――宮崎さんが実際に脚本を読んでみて、印象に残ったのはどんなところですか?
作品自体が持つ答えがないところですかね? 昨日栗山さんも稽古中におっしゃっていたのですが、問いかけで終わるのが本作のポイントかなと。
ある程度「これはよくないよね」という正解はあっても、「マイノリティの人たちの見方が間違っている」とか、「マジョリティが合っている」とか、そういうものはないですし、現代の問題を描いている作品として何も答えを出していないのが面白いなと思いました。
あとイギリスの作品はとにかく皮肉な言い合いが多くて。「ありがとう」の一つでも間接的に相手のことをチクっと攻めていて、そういうやりあいも面白いなと。『PHOTOGRAPH 51』のときも同じことを感じました。そのときはイギリスの作品で、演出家がアメリカ人の方 、 その方から見ても「イギリス人って難しいよね」とおっしゃっていて。今回も「あぁ、イギリスの作品だな」と(笑)。そういう楽しさは今回の『ザ・ドクター』も感じましたね。