荒牧慶彦、瀬戸祐介、糸川耀士郎インタビュー舞台『憂国のモリアーティ』case 2 「今の空間を支配する機微みたいなものを伝えたい」

2021.07.22

INTERVIEW

2021年7月23日より、新国立劇場中劇場にて「舞台『憂国のモリアーティ』case 2」が上演されます。

漫画原作「憂国のモリアーティ」を舞台化した本シリーズは、第1弾が昨年2020年1月に上演され、大盛況のうちに幕を閉じました。今作は満を持しての第2弾。時代背景やモリアーティ3兄弟の絆を描いた前回公演に対して、ウィリアム・ジェームズ・モリアーティとシャーロック・ホームズとの関係性を丁寧に紡ぎ出します。

前作から引き続き、モリアーティ3兄弟のウィリアムを「荒牧慶彦（あらまき・よしひこ）」さん、アルバートを「瀬戸祐介（せと・ゆうすけ）」さん、ルイスを「糸川耀士郎（いとかわ・ようじろう）」さんが演じます。前作を踏まえて、どんな思いで稽古に励んでいるのでしょうか。

THEATER GIRL編集部は、3人にインタビューを敢行。今作に対する思い、舞台版ならではの見どころ、絶妙な3兄弟の関係性など、たっぷり語っていただきました。

推理合戦する列車のシーンがやりたかった

――前作から引き続きモリアーティ3兄弟を演じられますが、続編が決まったときの心境はいかがですか？　

荒牧：全メンバーが揃ったわけではないんですけれども、前作とほぼほぼ同じ形でこうやって上演できることが嬉しいです。「憂国のモリアーティ」というお話自体が面白いので、その続編を描けるというのは自分的にも楽しみでしたし、お客さん的にも待っていただけていたのかなと思うので本番がすごく楽しみです。

瀬戸：前回、大好評いただきまして（笑）。僕らの熱も高まっていたところで、アニメ化もされてすごく人気も出て、「憂国のモリアーティ」自体がすごく盛り上がっているところでの続編。また、この3兄弟で集まれて僕もすごく嬉しかったですし、やる気に満ち溢れています。

糸川：僕も原作がすごく好きな世界観だったので、率直に続編が決まって嬉しいなと思いました。とくにウィリアム兄さんとシャーロックが推理合戦をする列車のシーンがやりたかったので、今回それが叶ってすごくワクワクしています。

やっぱりここが居心地いいなって感覚

――今回が2作目となりますが、前作を経てチームワークが深まった部分はありますか？

荒牧：今回のお話がわりと兄弟の絆というよりは、シャーロック・ホームズとの宿命の対決を描いているので、あまりこの兄弟でいる時間はないんです。だけど、3兄弟揃ったときはやっぱり前作を踏まえての思い、演技とかを乗せて、やっぱりここが居心地いいなって感覚はすごくあります。

糸川：この稽古が始まって、いざモリアーティ側の稽古をするってなったその日は、楽しみすぎて稽古場に4時間前くらいに来ましたね。

瀬戸：時間間違えただけじゃない？　4時間前には来ないでしょ？（笑）

糸川：本当に、本当の話！（笑）稽古場が空く前から、近所の喫茶店で時間つぶして（笑）。

荒牧・瀬戸：仕事あったろ？（笑）

糸川：ありましたね……（笑）。でも、本当に稽古場でみんなに会えるのがすごく楽しみで。ちなみにその日は、2人がいなくて。僕の把握ミスで、2人が来ないのにめっちゃ早く来ちゃった（笑）。

瀬戸：可愛いなあ。兄弟のチームワークはもちろんのこと、カンパニーの空気っていうのは、前回ですごく出来上がってましたね。今回は稽古期間がけっこう短くて、かなり時間がない中で励んでいます。ただ、演出の西田（大輔）さんとやったことのある方ばかりなので、すごく的確に無駄なく動いてますね。そういうところはすごくいいカンパニーだし、いいチームワークだなと思います。

――前作からのいい雰囲気を引き継いでいるんですね。それぞれリスペクトしている部分は？

荒牧：セティ（瀬戸さん）は、けっこう現場でムードメーカーというか、すごく場を和ませてくれるんです。そんな一面を持ちつつも、芝居でアルバートになった瞬間に、グッと周囲を引き込む要素とか気品もある。そういう「一瞬で自分の空気に変えられる」って部分をリスペクトしていますね。

耀士郎はルイスと一緒で、本当に真っ直ぐなんです。役に対してもそうですし、現場一つひとつに対してもそうですし。「見た目」的に寡黙なのかなと思いつつも、全然そうではなくて、すごい愛着が湧く子だし、ちゃんとしてる子。リスペクトしてるのは、そういうところですね。

瀬戸：まっきー（荒牧さん）は僕より年下なんですけど、なんか頼れるところがあるんです。稽古前にセリフもちゃんと覚えてくるし、演技にしてもすごく信頼できる。そこは年下ながらリスペクトできる数少ない俳優ですね。耀士郎に関しては……どんな雑な球を投げようが、すぐ飛びついてくれます（笑）。もう無理だって球も、泥んこになってまで絶対に取りにいきますからね。

糸川：いやいや、そんな球投げてほしくないんですよ（笑）。まっきーさんは、もう言わずもがなみたいなところがあると思うんですけど、今回の役に限らずキャラクターになりきる力がすごい。演目ごとに本当に違うキャラクターに染まれるのが、やっぱり2.5次元を牽引しているところなんじゃないかなって思います。

セティさんは、とりあえず何か困ったことがあったら相談するというか。頼れる兄貴って感じで、お芝居のことでもいろいろとセティさんに相談している自分がいますね。この舞台でお二人とも初めましてだったんですけど、本当にすごくいい方々に恵まれて幸せだなって思います。