大貫勇輔×小野田龍之介インタビュー ミュージカル『メリー・ポピンズ』「観ているだけで幸せすぎて泣ける時間に」（前編）
――本作は、歌にダンスにと動きのあるシーンが多いかと思いますが、一番大変な部分はどういったところになりますでしょうか。
大貫：「Step in Time」というタップのナンバーと「Jolly Holiday」という公園のシーンは楽しそうにラクにやらないといけないのですが、久しぶりにやってみるとやはりしんどかったです（苦笑）。だけど本当に素敵で、すごくハッピーなお話なので、演じていて幸せすぎて泣きそうになります。全ての曲が良い曲ばかりなので、本当に楽しいです。
小野田：まっさらなものを覚えているので、全部大変ですね。僕は子供の頃にダンスをやっていて、そこからミュージカルの世界に入ったのですが、最近は歌う役が非常に多くて全然踊っていなかったので。こんなに動き回る役は久しぶりで「久々に踊っているな」という気持ちです。
僕はもともとディズニーが大好きで、音楽・言葉・ダンスすべてが心に寄り添ってくれる『メリー・ポピンズ』の世界も大好きなんです。ただ、ダンスナンバーが多いとはいえ、ただ派手に踊るショーというわけではないので。役としての動き、踊りは大貫さんと僕では違うものがあると思いますが、バート役という軸を大切に、作り上げていきたいと思っています。
どの曲もテンポが早くて本当に大変ですが、やり切った時の俳優としての達成感と、自分がお客さんとして観た時に”楽しくてワクワクして涙が出る”という体験をしたので。それが待っていると思えば頑張れます。今頑張れば、あとはどれだけ役を楽しめるかというところなので。今はまだ苦しみを、正面から受け止めようと思っています。
大貫：龍ちゃんは必死だと仰っていますけど、ぜんぜん必死に見えないんです。たぶん、天才は努力を努力だと思っていないんだと思います。気付くと朝早く来て、夜遅くまで練習をしていて。でも、全然苦しそうに見えないですし、ササッと楽しそうにやり遂げているんですよね。
小野田：たしかに、無意識にいろんなことをやっているとは思います（笑)。
大貫：初演の時の濱田さんも平原さんも、今は笹本さんもずっと練習していますね。初演の時から、それぞれが1人で壁に向かって黙々と練習している感じでした。そうしないと身についていかない部分が多いので。
黙々とやって、身体がオートマチックに動けるようにしておかないと他のことができないんです。歌って踊って、さらにそこから自分の色のバートを出すという作業が本当に大変なので。
小野田：振付をある程度覚えて動けるようになって、いざ踊ってみると歌と踊りが全然合わなくて2人で爆笑しました（笑）。擦り合わせの作業がなかなか大変ですね。
大貫：僕は初演の時に散々やったので、細胞が覚えていて意外とすんなりできました。
小野田：やっぱり、俳優は、一度やった役は細胞に埋め込まれていると思うんです。ミュージカル『メリー・ポピンズ』は稽古時間も公演期間も長かったですし。なのに、大貫さんは「全然覚えてないんだよ」と言いながらも、僕のことは置いてきぼりですよ。もう先にシアターオーブに行こうとしてますもんね（笑）。
取材・文：THEATER GIRL編集部
公演概要
ミュージカル『メリー・ポピンズ』
【東京公演】
プレビュー公演：2022/3/24(木)～3/30(水)
本公演：2022/3/31(木)～5/8(日)
東急シアターオーブ（渋谷ヒカリエ11F）
【大阪公演】
2022/5/20(金)～6/6(月)
梅田芸術劇場メインホール
キャスト：
メリー・ポピンズ：濱田めぐみ／笹本玲奈（Wキャスト）
バート：大貫勇輔／小野田龍之介（Wキャスト）
ジョージ・バンクス：駒田一／山路和弘（Wキャスト）
ウィニフレッド・バンクス：木村花代／知念里奈 （Wキャスト）
バードウーマン／ミス・アンドリュー：島田歌穂／鈴木ほのか（Wキャスト）
ブーム提督／頭取：コング桑田／ブラザートム（Wキャスト）
ミセス・ブリル：浦嶋りんこ／久保田磨希（Wキャスト）
ロバートソン・アイ：内藤大希／石川新太（Wキャスト）
ジェーン・バンクス：大廣アンナ、西光里咲、弘山真菜、深町ようこ(五十音順)
マイケル・バンクス：井伊 巧、髙橋 輝、田中誠人 、中込佑協(五十音順)
石川 剛、エリアンナ、小島亜莉沙、丹宗立峰、長澤風海、般若愛実、樋口祥久、
青山郁代、五十嵐耕司、石井亜早実、大井新生、岡本華奈、風間無限、工藤 彩、熊澤沙穂、今野晶乃、斎藤准一郎、白山博基、高瀬育海、髙田実那、照井裕隆、東間一貴、長澤仙明、花岡麻里名、藤岡義樹、藤咲みどり、MAOTO、武藤 寛 (五十音順)
スタッフ：
原作：パメラ・トラバース
オリジナル音楽：
リチャード・M・シャーマン
ロバート・B・シャーマン
追加歌詞＆音楽：
ジョージ・スタイルズ
アンソニー・ドリュー
訳詞：高橋亜子
脚本：ジュリアン・フェローズ
翻訳：常田景子
オリジナル演出：リチャード・エア
