北川尚弥が辿る役者の軌跡「作品との出会いで自分が変われた」【シアダン vol.10】(前編)
――役者としてこれまで仕事をしてきた中で、悔しかったことや、苦労したことはどんなことでしたか?
ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン青学vs山吹で役者デビューをさせていただいたんですが、本当に右も左もわからずの状態でのスタートだったので大変でした。ダンスも芝居もやったことがなかったですし、「上手(かみて)、下手(しもて)」のような業界用語もわからずで……当時は悩みっぱなしでしたね。何をしたらいいかわからず、こんな状態でお客様の前に立っていいのかな、とも思いましたし。
――共演者の方も初舞台という方が多かったのでしょうか?
僕以外にも初めてという人もいたんですけど、映像の撮影など、舞台以外のお仕事をしたことはあったみたいなので、僕だけ何もかも初めての状態で投げ出された感じで……。ダンスについても稽古場でいろいろ指摘されたりしたので、結構悩みましたね。家に帰ってからもダンスの練習をしたり、公園でラケットを振ったりしていました。
暗記とかは得意なんですけど、ダンスって頭で覚えるより体で覚えた方が身に付くと思うのでとにかくひたすら練習していましたね。そのときはなんでこんなにできないんだろうって、本当に悔しかったです。
――初舞台だと何もかもがわからない状態ですし、不安が大きいですよね。本番中に成長したなと感じたことはありましたか?
はい。今もなんですけど、やっぱり稽古場では見えないものが本番になると見えてきたりするんですよね。
――次に、役者をしていて嬉しさを感じるのはどんなときですか?
稽古中は、基本大変だしつらいことも多いです。でも、本番が開けるとやっぱり楽しいですね。お客様の反応もダイレクトに伝わってくるので、それが嬉しいですし、達成感が大きいです。
それこそ、稽古が大変であればあるほど達成感もありますし、カンパニーの仲が良いとプライベートでも仲良くなったりするので、仲間との絆が生まれたときにも嬉しさはあります。でも、それ以上にイベントでファンの皆さんと触れ合っている時間が、一番嬉しいかもしれないですね。