岡山天音インタビュー パルコ・プロデュース2022『VAMP SHOW ヴァンプショウ』「夏の思い出になるような作品になれば」（後編）
2022年8月8日（月）より東京・PARCO劇場を皮切りに、愛知、大阪、福岡にてパルコ・プロデュース2022『VAMP SHOW ヴァンプショウ』が上演されます。
本作は、1992年サードステージのプロデュース公演として初めて上演された三谷幸喜さん作の異色のホラー・コメディ。2001年にはパルコ＆サードステージ提携プロデュースとしてPARCO劇場にてキャストを一新し、池田成志さん演出で上演されました。
1992年は西村雅彦さん、古田新太さん、池田成志さんら、2001年は佐々木蔵之介さん、堺雅人さん、河原雅彦さん、橋本じゅんさん、伊藤俊人さんら当時の若手実力派俳優が出演し、上演されてきた幻の作品がついにPARCO劇場へ帰ってきます。今回は、 2001年版に出演していた河原雅彦さんが演出のバトンを受け継ぎます。
2022年版の注目のキャストには、ドラマ『最愛』や『ミステリと言う勿れ』などに出演し癖のある役も難なくこなし高い演技力を持つ岡山天音さん、映画『今日から俺は!!』や連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』にも出演した平埜生成さん、映画『銀魂』やドラマ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』などに出演しコメディセンスを発揮している戸塚純貴さん、獣電戦隊キョウリュウジャーで注目を集め、バンド女王蜂のMV出演や連続ドラマ『探偵が早すぎる〜春のトリック返し祭り〜』の出演も話題となった塩野瑛久さん、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』の頼もしい兄からドラマ『アンナチュラル』『シグナル』の連続殺人犯役と、どんな役柄でも自分のものにしてしまう個性派俳優尾上寛之さんほか、今後益々期待される若手演技派俳優たちが結集しました。
今回、THEATER GIRLでは5人の旅する吸血鬼の1人・島 寿男を演じる岡山天音さんにインタビュー。後編では、地方公演への意気込みや日々の原動力となっているものについて語っていただきました。
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PARCO劇場は他の劇場とはまた違う雰囲気
――今回共演者には同世代の方が多いですが、共演者の印象やカンパニーの雰囲気などはいかがでしょうか。
菅原（永二）さんと塩野（瑛久）くん以外はご一緒させていただいたことがあるのと、（戸塚）純貴くんや（平埜）生成くんは10代の頃から現場でご一緒させていただいていたので、思い切って飛び込める安心感みたいなものはありますね。
稽古中でも既にそうなのですが、突発的にいろんなことが巻き起こっていく舞台になると思っています。とは言え、稽古は始まったばかりなので（取材時）、みんなでたくさんコミュニケーションを取るというよりも、それぞれの役割を全うするためには、というところを各々が突き詰めている段階な気がしています。これから関係性や現場の空気も変わっていくんじゃないかなと。今は始まったなという感じで、立ち稽古も途中までなので。でも、すでに楽しい雰囲気はあります！
――かなり印象的なビジュアルとコンセプトムービーが公開されていますが、撮影時の印象的なエピソードがあれば教えていただけますでしょうか。
頭にコウモリの羽をつけているのですが、とても動きのある撮影で折れたり落ちたりで本当に大変でした。夜中に閉店後の渋谷PARCOでの撮影だったので、2時くらいにみんなで踊ったりして、よく分からないトランス状態みたいになっていましたね（笑）。PARCOの前で撮影していたら、時間も時間だったのでクラブ帰りのお兄さんに「これ、あれじゃん」と言われたりして「分かるのかな？ あの人、初演見ていたのかな？」なんて話をみんなで笑いながらしていた思い出があります。
――そんなことがあったのですね。初共演の方たちとも、早々に打ち解けられた感じでしょうか。
いや、その時は全然でしたね（笑）。５人で短時間かついろんな場所で撮ったので落ち着くこともできなくて。塩野くんとはその時はまだ全然お話できていなかったです。最近ちょっとずつ稽古場でお話しするようになりました。
――PARCO劇場で印象に残っていることがありましたら、教えていただけますでしょうか。
立地的に面白いな、と。渋谷の真ん中にあるPARCOの中の劇場っていう作りがとても面白いなと思います。劇場に来るお客さんの層も、他の劇場とちょっと違うんじゃないかなと思いますし。僕がお客さんとして観に行く時も、渋谷の街中を歩いて、ポケモンショップなどもあるPARCOのエスカレーターを上がってという。
観てくださる方からも、ちょっと他の劇場とは違う捉えられ方をしてる場所なんじゃないかなという気がしていて、そこはとても素敵だと思います。あとは、ポップな作品や観やすい作品をたくさんやられていると思いますが、客席からステージが見やすいとも感じているので、お客さんとして観に行くのも好きな劇場です。
――今回は東京と続いて愛知・大阪・福岡と巡演されますが、地方公演に対する印象はいかがでしょうか？
東京公演だけだとどうしても来られない方もいらっしゃると思うので、そういう方にも観てもらえる機会をいただけたことはとても嬉しく思います。ただ、どんな場所・形なのかを知らない劇場もあるので、独特な緊張感がありますね。 前回の公演でも地方に行かせていただきましたが、一番回数の多い東京公演の劇場に慣れてしまっている感じがありました。地方公演の劇場だと、お客さんが発するエネルギーの濃度や視線の伝わり方も違う感じがします。でも、大阪には親戚がいるので、先日の舞台の大阪公演を観に来てもらえたのは嬉しかったです。
アドリブは新鮮で楽しみ
――テレビ・映画などの映像作品と舞台とで岡山さんが違いを感じる部分や演じる際に心がけていることなどはありますか？
発声や挙動ですかね。どう動いていくか、どう体で表現していくかみたいなところはもちろんですが、どちらかというと作品ごとの違いが大きいと感じています。舞台と映像の差というよりも、同じドラマでも作品によって違いますし。初のコメディ作品という点では、違う乗り物に乗って操縦しているような感覚です。乗用車からガンダムに乗り換えているくらいの（笑）。でも、公演が始まる頃にはスポーツカーになっているかもしれないです。今は、ちょっと試しにガンダム乗っているという感じで（笑）。
――今はガンダムに乗っている感じなんですね（笑）。作品によって、その乗り物は変わってくるのでしょうか？
そうですね、今年の年始にやらせていただいた『hana-1970、コザが燃えた日-』という舞台が事実に基づいたシリアスなもので、演じていて苦しい時間が多い作品だったこともあって、より違いを感じられて新鮮なのかもしれないです。映像作品ではコメディがあったり、シリアスな悲しい役もあったりするので、そこのギャップにいちいちビックリはしないのですが、表現という部分でジャンルが変わっている感覚はあります。
――作品によって変わってくるとのことですが、その中でも特に今回はリミットを外した作品になりそうでしょうか？
そうですね。僕は、舞台でアドリブとかもやったことがなかったですし。やっぱりシリアスなものでアドリブってなかなかないので、今回は非常に新鮮です。
何気なく見えた景色から生を実感する
――吸血鬼は血がないと生きていけないように、岡山さんにとってこれがないと生きていけないというものはありますでしょうか。
これがないと生きていけないもの……。パッと思い浮かばないんですけど、でも、外を歩くのはすごく好きです。ただの散歩だけじゃなくて、家から稽古場に向かうまでの道とかも。陽に照らされる街とか「死んじゃったら見られないんだな」と思います。天気が良かったりすると特に、もしこれが最後だとしたら、途方もなく尊い景色だなと。何気なく見えた電車からの景色とか、そういうところで生を実感しているのかもしれないですね。
――日常の1つ1つのふとした瞬間に、生きていることを実感されていらっしゃるんですね。その他に充実していると感じる瞬間はありますでしょうか。
YouTubeを見ている時ですかね。
――最近よく見ていらっしゃるお気に入りなどはありますか？
エンタメ系はもう一通り全部見ていると思います。あとは、ミュージックビデオをめっちゃ見ます。アイドルとラップと他にも幅広いジャンルのお気に入りのもので再生リストを作ったり。最近は梅田サイファーさんの『THE FIRST TAKE』にハマっています。20分くらいの動画で、すごくカッコいいんです。
「今が楽しい」ことが原動力
――岡山さんが俳優のお仕事を続けていく上で、原動力となっているものは何でしょうか？
この瞬間が面白いとか、楽しいっていう気持ちですかね。今が楽しいからやっている、みたいな。何かのためにとか、どこかを目指してというのは全くないです。だから、今日でお芝居できるのが最後になっても「まぁいっか」と思えるようにプレイしたいなとは思っています。
――1つ1つの現場で「今回の現場で終わってもいい」という気持ちで、全力でやられているんですね。
そうですね。逆に、今が楽しいということが原動力なので、面白くないことはすごく苦手ですね。でも、面白くなかったら、何が原因で面白くないんだろうと考えます。「今、こんなことが自分に起きているから、どう改造したら面白くなるんだろう」と考えて、常に今がちゃんと楽しくなることを心がけるようにしています。
――お仕事の選択においても、岡山さんご自身が面白いと感じるかどうかを大事にされていらっしゃるのでしょうか？
はい、単純に台本が面白いとか共演者の方が面白いとかもありますし、作品のコンセプトや作品の中に自分が入った時の見え方が面白いのではとか、いろんなジャンルの面白さを考えますね。
――幅広い役柄・ジャンルに出られている印象がありますが、一貫して、ご自身が興味を持てるかという部分を大事にされているんですね。
そうですね、でも、基本的にジャンル問わず何にでも興味はあります！（笑）
――では最後に、この作品を楽しみにされていらっしゃる方に、この作品を通してどんな時間を過ごしていただきたいでしょうか。
ひたすら非日常を味わいに来ていただきたいです。僕ら吸血鬼とヒロインの香ちゃんと謎の駅長さんたちで、夏の思い出になるようなエンターテインメントを皆さんにぶつけられたらと思っています。夏休みのイベントのような、テーマパークに来たような感覚になってほしいです。
取材・文：THEATER GIRL編集部
Photo：野村雄治
スタイリスト：鹿野巧真
ヘアメイク：SUGANAKATA(GLEAM)
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公演概要
パルコ・プロデュース2022 『VAMP SHOW ヴァンプショウ』
東京公演: 8月 8 日（月）～8月28日（日）＠PARCO劇場
※8/8(月)～15(月)公演中止
愛知公演： 9月 1 日(木)～9月 2 日(金)＠穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
大阪公演： 9月10日(土)～9月11日(日)＠森ノ宮ピロティホール
福岡公演： 9月17日(土)～9月18日(日)＠キャナルシティ劇場
作＝三谷幸喜
演出＝河原雅彦
出演＝岡山天音 平埜生成 戸塚純貴 塩野瑛久 尾上寛之 久保田紗友 菅原永二
公式HP：https://stage.parco.jp/program/vampshow
後援（東京公演）＝TOKYO FM
企画・製作＝株式会社パルコ
