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中川大輔×八木莉可子インタビュー 『鴨川ホルモー、ワンスモア』「頭を空っぽにして笑いに来ていただけたら」(前編)

INTERVIEW

2024年4月12日(金)より東京・サンシャイン劇場、5月3日(金・祝)より大阪・サンケイホールブリーゼにて、ニッポン放送開局70周年記念公演『鴨川ホルモー、ワンスモア』が上演されます。

本作は、ニッポン放送と「ヨーロッパ企画」上田誠氏のタッグでお贈りするエンタメ舞台シリーズ第4弾。

第170回直木賞を受賞した万城目学氏のデビュー作にしてベストセラーとなった小説「鴨川ホルモー」とその外伝的続編「ホルモー六景」を、“ワンスモア”とタイトルを新たに、京都を代表する劇団「ヨーロッパ企画」の上田誠氏が舞台化。

本作で舞台初主演の中川大輔さんをはじめ、八木莉可子さん、鳥越裕貴さん、清宮レイさん、佐藤寛太さんなど次世代を担うアップカミングなキャストや、演劇界でも注目を集めるお笑いコンビ、かもめんたる・岩崎う大さんと槙尾ユウスケさん、さらに2021年キングオブコント準優勝、2022年M-1グランプリファイナリストの人気お笑いコンビ、男性ブランコ・浦井のりひろさんと平井まさあきさんなど総勢18名のキャストで青春群像喜劇が届けられます。

THEATER GIRLは、本作で舞台初主演を務める中川大輔さんと今回が初の舞台出演となる八木莉可子さんにインタビュー。前編では、それぞれ舞台初主演と初の舞台出演に挑むお気持ちや役への取り組み方、稽古場で挑戦だと感じていることなど、たっぷりとお聞きしました。

インタビュー後編はこちら

稽古が始まったら全くそういう緊張感はなくなりました

――中川さんは以前からヨーロッパ企画の舞台に出演されたかったとのことですが、本作で舞台初主演に挑むにあたり、どのようなお気持ちでしょうか?

中川:最初は主演ということを少し気にしていたのですが、稽古が始まったら全くそういう緊張感はなくなりました。カンパニーの皆さんが素晴らしいので、僕はただそこにいるだけです。「ここで座長から一言」と言われて、ふと「自分が座長だったんだ」と思い出すくらい、周りの方たちがしっかりされているので。ただただ作品に集中できる状況を作っていただいています。

――頼れる方がたくさんいらっしゃるカンパニーなんですね。

中川:年上の方も多いですし、頼らせていただいています。年下で言うと、八木さんと清宮(レイ)さんだけなんですが、お二人ともしっかりされているので。なんなら自分が一番しっかりしなくちゃいけないなと(苦笑)。周りの皆さんに支えられながらやっています。

八木:座長がふんわり包んでくれて、いつもフラットでいてくださるので、和気藹々とした現場になっています。本当に稽古場をいい雰囲気にしてくださっていると思います。

中川:ありがとうございます(照れ笑い)。

――八木さんは本作で初舞台に挑む訳ですが、今回、座長が中川さんでホッとされた感じでしょうか。

八木:ホッとしましたね。やっぱり座長って舞台を作る一つの大きな柱じゃないですか。その中川さんがいつも優しくふんわりいてくださるので、それが稽古場に広がって温かい雰囲気になっているので本当にありがたいです。

――実際に稽古場に入ってみたら意外とリラックスできたんですね。

八木:「上手くできなかった」と思うこともありますが、皆さん本当に優しくて、アドリブも面白すぎて毎回笑ってしまいそうになるくらい。楽しくお芝居をさせていただいています。

――稽古中から、アドリブが飛び交っているんですね。

中川:なんなら最初は全部アドリブでした。演出の上田さんは台本があってもアドリブ感を求められる方なので、台本を元にした稽古でも緊張感を持つために劇団員の方がかなりアドリブを入れてくるんです。なので、全く気が抜けなかったですね。皆さん本番でもたくさんアドリブを入れてくると思うのでいい緊張感になりそうです。

――最初から全部アドリブだと、今回が初舞台の八木さんとしては、かなりハードルが高かったのでは?

八木:私は他の舞台と比べることができないので、逆に「こういう感じなんだ」と思ってやっていました。ただ、後からヨーロッパ企画さんならではのことだと聞いてびっくりしましたね。

中川:すごく特殊だと思います。僕もまだ一度しか舞台を経験したことがないのですが、一週間丸々エチュードをするのは、なかなかない気がします。

八木:そうなんですね!

中川:でも、エチュードで生まれた感覚をそのまま台本に落とし込めますし。初めて気づくこともあるので、台本を元に演じる時にもためになりますよね。

――エチュードで生まれたものを、そのまま台本に落とし込んでいくんですね。

中川:まず準備稿を元にエチュードをするのですが、第1稿、第2稿になるとエチュードで膨らんだ部分が台本に落とし込まれているんです。ヨーロッパ企画さんの舞台を観ていると「どうやって書いたんだろう」と思うシーンがよくあるのですが、多分エチュードで生まれた生の芝居を台本化してるから、あんなに自然なシーンになるんだなと思いました。

少し大袈裟に大きくお芝居をした方が面白い

――本作で、中川さんは安倍役、八木さんは早良京子役を演じられますが、役柄については、どのように取り組んでいらっしゃいますか?

八木:役作りとは少し違うんですけど、稽古に入る前に京都に行ったんです。中川さんもこの舞台に入る前に京都に行かれたらしいんですけど。作品に吉田神社が出てくるので、実際に吉田神社に行ってこの舞台のことをお参りしてきました。近くに京都大学もあるので、大学の中にも少し入らせてもらって。

今回、早良京子役を演じさせてもらうのですが、「ある意味、“いか京”」って言葉もあるくらい、いかにも京大生っぽいファッションも出てくるんです。ただ上田さんからは、京子はあまり“いか京”ではないとお聞きしていて。上田さんと稽古でお話ししていく中で、自分の想像していた京子と変わってくる部分もあったので、今は自分が思っていた京子と上田さんが思っている京子、さらに観客にどう見られているかをすり合わせているところです。

私は今回が初舞台なのですが、少し大袈裟に大きくお芝居をした方が面白いかもしれないと感じています。映像の場合はカメラに寄ってもらえるので、今までは大きくお芝居をするという考え方がなかったので。

中川:確かに早良京子って京大生らしくないんですよね。 一人だけ、けっこうイケイケな大学生なので。そのイケイケな大学生に、あまり恋愛経験もなくファッションにも興味がない、いわゆる“いか京”たちが振り回されていく青春ものです(笑)。

それで言うと、安倍はけっこう京大生っぽいというか、二浪していて多分恋愛経験もそんなになくて。そんな人物が明るくてイケイケな早良京子に振り回されていきます。

――中川さんは安倍役について、稽古ではどのように取り組まれていらっしゃいますか?

中川:最初は自分の思う安倍をやってみたつもりなんですけど、それだとけっこう原作と離れてしまうかもしれないと上田さんとお話ししていて。原作のちょっとドライでひねくれた感じをもう少し出せたらいいなと思っています。原作の安倍はけっこうひねくれているしクレバーなんです。そこらへんが今はあまり見えないのでもっと出していきたいなと。

お客さまに向けて演技をすることはすごく挑戦

――現在絶賛稽古中とのことですが(取材時)、現在大変だと感じていることやご自身の中で今回挑戦だと思っていることはありますか?

八木:たくさんありますね。

中川:今回、18人全員がほぼ出ずっぱりで動き回るし、ホルモーもスポーツみたいなものなので、かなり体力勝負だと思います。 それから舞台美術がけっこう特殊で、そこを駆け回るので稽古終わりは毎日どっと疲れますね。

八木:わかります。家に帰って毎日「ああっ」ってなってます(苦笑)。

中川:みんな出ずっぱりだから、あまり休んで見ている時間がなくて。僕も映像作品に出ることが多いので、やっぱり今回お客さまに向けて演技をすることもすごく挑戦ですね。

八木:めちゃくちゃ挑戦です。上手と下手も今まであまり言うことがなかったので、どちらか分からなくなってしまうし。舞台袖にはけていくことも考えないといけないですし。映像ではないので、とにかく大きく芝居をして、見せるお芝居をするのが今回の課題だと思っています。

中川:僕も全く同じですね。どうしても相手とのお芝居に集中しすぎて、客席に背中を向けてしまうこともあるので。これからの稽古でちゃんと舞台としてのお芝居を完成させたいなと思っています。

映像作品で感じてきた、「お芝居にちゃんと向き合う」ことは大切にしつつ、でも、やっぱりお客さまに向けてというのが難しいですね。

取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:梁瀬玉実

インタビュー後編はこちら

公演概要

ニッポン放送開局70周年記念公演
『鴨川ホルモー、ワンスモア』

原作:万城目 学(「鴨川ホルモー」「ホルモー六景」/角川文庫刊)
脚本・演出:上田 誠(ヨーロッパ企画)

<キャスト>
中川大輔 八木莉可子 鳥越裕貴 清宮レイ(乃木坂46) 佐藤寛太/
石田剛太 酒井善史 角田貴志 土佐和成 中川晴樹(ヨーロッパ企画)
藤松祥子 片桐美穂 日下七海 ヒロシエリ/
浦井のりひろ(男性ブランコ) 平井まさあき(男性ブランコ) 槙尾ユウスケ(かもめんたる) 岩崎う大(かもめんたる)

<公演日程>
■東京公演:2024年4月12日(金)〜29日(月・祝)
会場:サンシャイン劇場

チケット料金(全席指定・税込)
一般チケット:平日8,500円 土日祝9,800円
U25シート:4,500円 ※U25シートは全日程同一金額、枚数限定、当日引換券、一般発売のみ取扱、要身分証提示
※未就学児童入場不可

■大阪公演:2024年5月3日(金・祝)、4日(土)
会場:サンケイホールブリーゼ 

チケット料金(全席指定・税込)
一般チケット:9,800円
U25シート:4,500円 ※U25シートは枚数限定、当日引換券、一般発売のみ取扱、要身分証提示
※未就学児童入場不可

公式ホームページ:https://event.1242.com/events/kh_oncemore/
舞台公式X:@2024kh_oncemore

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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