海宝直人インタビュー ミュージカル『アリージャンス〜忠誠〜』「今この時代に上演することに大きな意味を感じます」
――サミー役としての今作のみどころや、注目して欲しいポイントを聞かせてください。
先ほどお話ししたこととも繋がるんですが、この作品は社会的な物語でありながら、やはり家族の物語でもあるので、そこにある人間ドラマを懇切丁寧に描かなければ成立しないものだと思うんです。父への思い、姉への思い、おじいちゃんとの関係性、それぞれを繊細に描写して物語を積み重ねて行った先にあるのが、あの結末だと思うので。
その根底にある愛や、でもそれがすれ違ってしまう瞬間、サミーの繊細な心の移り変わりや彼の思いなどを感じてもらえるよう、頑張って掘り下げていこうと思っているので、そういったところを観ていただけたら嬉しいです。
――キャストのみなさんの一挙手一投足、表情の変化から目が離せなくなりそうですね。
それから、音楽も僕はすごく好きです。分かりやすくビッグナンバーがバーン!拍手!という感じではあまりないんですけど、物語やキャラクターの心情に寄り添ったメロディの曲が多いので、そんなところも楽しんでいただけたらと思いますね。中にはダンスナンバーもあったりと、ミュージカル作品として純粋に楽しんでいただける作りでもあるので、あまり構えずに観に来ていただけたらと思います。
実力派揃いの座組み「建設的でクリエイティブな稽古ができそう」
――今回演出を担当するスタフォード・アリマ氏は、2015年にブロードウェイで『アリージャンス』の初演が上演された際にも演出を務めていますね。すでに少しお話をされたとのことですが、アリマ氏の印象はいかがですか?
直接はお会いできてはいないんですけども、とても優しいですし、相手を尊重してくださる方なんだなと感じました。かなり建設的でクリエイティブな稽古ができそうな予感がしています。
――本格的な稽古のスタートが楽しみになりますね。
本当に楽しみです! 共演する俳優さんたちも尊敬する素晴らしい方々ばかりで、いつかご一緒できたらと思っていたので、それもすごく楽しみですね。
――共演者の方々は錚々たる面々ですが、もう実際にお会いされましたか?
渡辺徹さん(タツオ役)とは写真撮影の時に初めてお会いしまして、あまりお話はできませんでしたが、僕のほうから一方的にドラマやバラエティで拝見させていただいているので存じ上げていますし。めぐさん(濱田めぐみさん・ケイ役)は、子どもの頃から僕のことをよく知ってくださっていて。
小南満佑子さん(ハナ・キャンベル役)とはミュージカル『レ・ミゼラブル』で初共演したあと、ほかの作品でもガッツリ一緒に芝居をしたことがあるんです。中河内雅貴さん(フランキー・スズキ役)とはミュージカル『ジャージー・ボーイズ』の再演、再々演でけっこう深く芝居のやりとりができていたので、それをまた今作でもできるのは嬉しいですね。
――共演経験のある方々と共に今作に挑めるのは、心強そうです。
今井朋彦さん(マイク・マサオカ役)とはラジオドラマで一度ご一緒した時に、素敵な俳優さんだなという思いが新たになりました。短い共演時間でしたが、たくさんのことを勉強させていただいたので、またいつか共演できたらと強く思っていたんです。だから今回それが叶って本当に嬉しいですし、今回もいろんなことを学ばせていただこうと思います。
上條恒彦さん(カイト“おじいちゃん”役)は、僕がまだ小さかった頃に姉が出ていたミュージカル『アニー』で、ウォーバックスさんを演じられていたんです。身近でお芝居を目にすることができて大好きな俳優さんになりましたし、以前一度だけミュージカル映画でご一緒するご縁もあって。その時にはまったく絡みのない役だったので、こうしてまた共演できる機会が得られて嬉しいです。