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前川優希の秘めたる熱意「悔しさを感じたからこそ、芝居の面白さに気づいた」【シアダン vol.02】(前編)

INTERVIEW

春組単独公演でさらに深まった、春組の絆と皆木綴観

――次にMANKAI STAGE『A3!』(通称:エーステ)についてお話を聞かせてください。前川さんが演じる皆木 綴はシリーズ皆勤賞ということですが、これまでを振り返って特に印象に残っているエピソードはありますか?

エピソードと言うには弱いかもしれないですが、エーステ・カンパニーの全員とお会いしている僕が常々思うのは、キャストの方自身にもそれぞれの組らしさが滲み出ているなぁということです。みんなそれぞれ春組は春組っぽいし、夏組は夏組っぽいし……。それは僕らがおのおの作品を愛しているからなんでしょうけど、やっぱりそれぞれ雰囲気に合った人たちが集まったのかなって思って。例えば春組は、みんなぽわぽわしてます(笑)。

――では「MANKAI STAGE『A3!』~SPRING & SUMMER 2018~」と、先日まで公演されていた春組単独公演「MANKAI STAGE『A3!』~SPRING 2019~」では、綴役を演じる上で、役作りや心境の変化などはありましたか?

「SPRING & SUMMER 2018」はエーステ・カンパニーの旗揚げ公演だったので、僕もお芝居の経験が浅くて探り探りなことが多かったですね。それに原作がすごく人気のあるすばらしい作品なので、応援している方々や、キャラクターに熱意のある方々の期待を裏切れないなと思って、線から外れないよう、細心の注意を払っていたところがありました。

でもこの前の春組単独公演では、シリーズ出演3作目ということで、初日の時点で80公演以上に出ていたことになるんです。だから、お芝居の最中にふと出てくるものが、素の自分じゃなく綴くんで出てくるような感覚があったりと、自分の中に生まれた皆木 綴のキャパがどんどん広がっていったような感じがありましたね。だから、線を意識するというより「綴くんならこうもできるな」という、広げていく作業になっていたと思います。それは僕だけじゃなく、春組のみんながそうでした。

――役が馴染むにつれて、お芝居の上での自由度が上がったような感覚があったんですね。

そうなっていけたのは僕自身が公演数を重ねてきたからでもあるんですけど、それに加えて春組の仲が深まったのもあると思います 。SPRING & SUMMER 2018公演が終わって、AUTUMN & WINTER 2019公演の間なんて一度も会ってないのに、久々に会ったらめちゃくちゃ仲よくワイワイしてて(笑)。お互いに背中を預け合えたり、春組以外のキャストの方々が支えてくれたりと安心できる空気だったので、そういうのびのびした状態で演れたのが大きかったかもしれないです。

――春組の仲が深まったことが、お芝居にもいい形で現れたと。

SPRING & SUMMER 2018公演の時には、探り探りの関係性でしたけどね。いかんせん、みんな人見知りなので(笑)。一番ひどいのは牧島 輝くん(碓氷真澄役)ですね。でも最初に破ったのも輝くんなんですけど。トシくん(=立石俊樹さん/茅ヶ崎 至役)とか輝くんがこう、「あっ……(人見知り全開の作り笑いをして会釈)」みたいな空気感を醸し出し、(横田)龍儀くん(佐久間咲也役)もそんな感じで。その空気を感じて大和くんがそっちに合わせたので、僕もそれにならったんですけど。そうしたら輝くんが、状況を変えようと(その空気を)破ってくれました。

――そこで壁がなくなったんですね。AUTUMN & WINTER 2019公演の間にはみなさんと会っていなかったということですが、春組単独公演までの間に、何か仲が深まるきっかけはあったんでしょうか?

トシくんと僕はAUTUMN & WINTER 2019公演にも出ていたんですけど、秋組と冬組の結束感を間近で見るうちに、すっごく淋しくなって「春組に会いたい」「春組単独公演が待ち遠しい」ってぼやきながら、「ちょっとみんなで会おうよ」って連絡はとっていたんです。それで、いざみんなで再会したら「めちゃくちゃ楽しいやんけ!」と。

――会えない時間がお互いを思う気持ちを育ててくれたのでしょうか。

そうっすね! 恋かな、コレ!? 恋してるわ、俺(笑)。

――それでは、春組単独公演でのチームワークはばっちりだったでしょうね(笑)。

もう、ずっといっしょにいましたもん。本番中もアタマから終わりまで5人とも出ずっぱりで、ずっと5人についてのストーリーが描かれるので「もう僕らでなんとかしないといけない」と。通し稽古であまり上手くいかなかったりした時には「5人で話し合おう」ってみんなでごはんを食べに行きましたね。最初の20分くらいはちゃんと話し合いをして、後の2時間くらいはどうでもいい話ばっかりしてゲラゲラ笑って。そういう時間が楽しかったです。

――春組のみなさんがいい関係を築かれているのが、お話を伺っているだけでも伝わってきます。前川さんは次回作「MANKAI STAGE『A3!』~SUMMER 2019~」にも出演されるということで、そこへ向けての意気込みを聞かせてください。

サポート役と言ってしまえば一言で済んでしまうんですけど、サポートの仕方にもいろいろあるなと思って。僕ら春組が単独公演のスタートを切ったわけですが、やることが格段に増えたり、体力的にも追い込まれることがあったりと、大変さもすごくあったんです。そんな中でもどうにかやり遂げられたのは、僕らの頑張りだけでなく、春組以外のキャストのみなさんやスタッフの方々の気遣いがあったお陰なんですよね。 そういう部分を経験した身としてのサポートの仕方ができたらいいなと思っています。役どころや立ち位置的に、そして技術的にも“引っ張っていく”のは難しいかもしれませんが、何かひとつでも自分のアクションで夏組の人たちが「よしやるぞ!」という気持ちになれるきっかけを作れるようになれたら嬉しいですね。

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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