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井之脇海、上川周作、窪塚愛流、篠原悠伸インタビュー「ボクの穴、彼の穴。W」「Wキャストはライバルであると同時に自分と違う感性に刺激を受けるチャンス」(後編)

INTERVIEW

2024年9月17日(火)より東京・スパイラルホール、10月4日(金)より大阪・近鉄アート館にて、「モチロンプロデュース『ボクの穴、彼の穴。W』」が、上演されます。

本作は、松尾スズキ氏が初めて翻訳を手がけたフランスの人気作家デビッド・カリ(著)とセルジュ・ブロック(絵)の絵本を原作とする二人芝居で、ノゾエ征爾氏が翻案・脚本・演出を担当。2016年に塚田僚一さん(A.B.C-Z)×渡部秀さんで初演が上演され、2020年には宮沢氷魚さん×大鶴佐助さんで再演。4年ぶりの再演となる今回は、『ボクの穴、彼の穴。W』のタイトルで、2チーム・ダブルキャストにより上演されます。

「ボクチーム」は、子役からスタート後に着実にキャリアを重ね、映像作品だけでなく舞台でも存在感のある役を演じ注目を集める井之脇海さんと、NHK連続テレビ小説『まんぷく』『虎に翼』などに出演し作品に真摯に向かう姿勢やストイックな役作りに定評がある上川周作さん。

「彼チーム」は、2018年のデビュー後は話題のドラマや映画に次々出演。今春に『ハピネス』で映画初主演を務め本作が舞台デビューとなる窪塚愛流さんと、主演映画『米国音楽』、大河ドラマ『西郷どん』、ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』などでインパクトのある役柄を演じた篠原悠伸さんがキャスティング。

4人の若手実力派俳優たちが挑む、戦場にとり残された2人の兵士の“恐怖”と“疑心暗鬼”と“未来への希望”を描いた物語――。

THEATER GIRLは、井之脇海さん、上川周作さん、窪塚愛流さん、篠原悠伸さんにインタビュー。後編では、脚本を読んで感じた本作の魅力や稽古への期待や意気込みなど、たっぷりと語っていただきました。

インタビュー前編はこちら

兵士A・Bは現代に生きる僕ら自身――自分の中の孤独を感じながらキャラクターを作っていく

――台本を読んで役についてイメージしていること、試してみようと考えていることがあれば教えてください。

上川 さっき篠原さんも言っていましたけど、この台本は読み始めたら止まらなくなってしまうので、読むことに夢中になり視野が狭くならないように、ちょっとブレーキをかけながらやっていかないと、自分はどんどんのめり込み過ぎてしまうなと感じました。戦争をテーマにした物語だけど、なぜか自分のことが描かれているような感覚になってしまうくらい身近に感じられる話なので、だからこそ台本と一定の距離をとりながら丁寧に役作りをしていきたいですね。

――「自分のことが描かれているような感覚」というお話ですけど、上川さんと兵士Aの似ている点はどんなところですか?

上川 「僕が」というよりは、誰にでも共通する部分があると思います。僕らは今、平和な日本に暮らしていますが、今の世界情勢に目を向けると“いつ”“誰”が兵士A・Bのような状況になってもおかしくないのかもしれないという怖さも感じていて……。戦場に行けば僕たちの常識は通じないでしょうし、「ご飯が美味しい」といった当たり前の幸せもすべて失われてしまう。そんな登場人物の葛藤や孤独に近づくために僕自身の気持ちにもグラデーションを作っていかないといけないと考えています。

井之脇 僕も“孤独”をどこまで探求できるかが、この役を演じるうえで必要なのだと考えていますが、インターネットなどで誰かとすぐに繋がれる環境にある僕らが“孤独”を味わう瞬間は少ないと思うんですよね。大事なのは台本を何度も読み込んで、ちょこちょこ出てくるヒントからキャラクターを組み立てて行くこと。あと様々な映画を参考に研究をして……例えばトム・ハンクス主演の映画『キャスト・アウェイ』は飛行機事故で無人島に漂着した男のサバイバル・ストーリーですが、“孤独”という点ではすごく参考になるものがあると思うので、改めて見返したいなと思っています。それと僕の場合だったらソロで山登りするなど、あえてそういう環境に身を置くことも時間があればやってみたいと考えています。

――窪塚さんは、いかがですか?

窪塚 まだ台本を深く読み込めていないのですが、この作品はそれほど時代を遡らないというか、今の時代にも充分置き換えられる物語だと感じています。上川さんがおっしゃっていたように、自分の日常をきちんと振り返って、それをどうお芝居に生かせるかが大事なんだと思います。兵士Aと兵士Bは敵対する関係だけど置かれている立場は一緒なので、2人で会話しているように見えるかもしれませんが、お互いに自分自身と対話しているというか…自分も稽古を通じて悠伸が演じる“僕自身”と会話する気持ちになれたらいいなと考えています。実際に稽古が始まったら考え方も変わっていくと思いますが、今はとにかく真摯に作品に向き合うことだけを考えて台本を何度も読み返したいです。

――舞台初挑戦の窪塚さんを篠原さんがどう引っ張っていくのかも「彼チーム」の見どころになるかと思います。経験豊富な篠原さんが役を作り上げていく過程を目の前で見せてもらえるのは、窪塚さんも映像での役作りとはまた違った新鮮さがあって楽しみなのでは?

窪塚 そうですね。す~っごく楽しみです!!

篠原 あまりプレッシャーかけないで(苦笑)。

窪塚 期待しています。

篠原 僕も愛流との稽古が楽しみだし、いっぱい話をしたい。とりあえず稽古終わりにサウナに連れて行って語り合おうかな。

――こっちのコンビはサウナなんですね(笑)。

篠原 そしていっぱいダメ出しします!(笑)

窪塚 (笑)。受け取るものがいっぱいあると思うので、皆さんの経験とかいっぱいお話を聞きたいです。

篠原 僕も皆さんのお芝居を目の当たりにしたらいっぱい影響を受けると思うから、誰が引っ張るとかじゃなく一緒に高め合えたらいいよね。とりあえずこの作品はとてつもないカロリーを消費する舞台になると思うから、稽古前に体力を付けるところから始めようと考えています(笑)。

井之脇 ってことは、やっぱり稽古前にはみんなで山登りだな!

上川 さっきの話とつながったね(笑)。

窪塚 山登りもですけど、一緒にご飯も食べに行きましょう。

――ご飯と言えば、二人の兵士は極限状態の中で空腹に苦しむ場面があります。もしも自分がそんな状態に置かれた時に食べたいメニューは何ですか?

窪塚 お腹ペッコペコなんですよね? だったら大好きなお寿司かな。いくらでも食べられそう。

篠原 若いって良いなぁ(笑)。僕はまず最初に味噌汁で胃袋をちょっと落ち着かせてから生姜焼きかな。あ、でも「これが最後の食事」ってことになったらグラタンです。

上川 僕は空腹の時はペペロンチーノ一択! パスタが大好きっていうのもあるけど、パスタは食べた後にお腹の中で膨れて満足感があるから普段から選びがちなんですよね(笑)。

井之脇 空腹だったらラーメン。特に魚介系のつけ麺が好きです。でも最後の晩餐ってことならポテトチップス。一緒にコーラもあったら最高!

取材・文:近藤明子
撮影:梁瀬玉実

ヘアメイク:大和田一美(APREA)

スタイリスト:
井之脇海: SHINICHI SAKAGAMI(ShirayamaOffice)

窪塚愛流:KENTARO UENO

上川周作、篠原悠伸:チヨ

インタビュー前編はこちら

公演概要

モチロンプロデュース『ボクの穴、彼の穴。W』

【東京公演】
2024年9月17日(火)〜9月29日(日) スパイラルホール (スパイラル3F)

【大阪公演】
2024年10月4日(金)~10月6日(日) 近鉄アート館

翻案・脚本・演出:ノゾエ征爾
訳:松尾スズキ
原作:デビッド・カリ/セルジュ・ブロック

出演:
「ボクチーム」井之脇海×上川周作
「彼チーム」窪塚愛流×篠原悠伸

公式サイト https://otonakeikaku.net/2024_bokukarew/

Davide CALI et Serge BLOCH : “L’ENNEMI”
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THEATER GIRL編集部

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