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和田雅成インタビュー 『月農』「肩の力を抜いて生きる方が、周りのこともよく見える」(後編)

INTERVIEW

2024年10月、東京・シアターサンモールにて宮下貴浩×私オム プロデュース 第8回公演「月農」が上演。主演を務めるのは、私オム作品には今回が初出演となる和田雅成さんです。

舞台「月農」は、畑が広がる地方の村が舞台。そこに暮らすある男性の心の変化を、水が泥にまみれていく様子になぞらえて描き出します。前作「愚れノ群れ」が公演前に完売したこともあり、今回の公演への期待も高まっています。

今回、THEATER GIRLは主演の和田雅成さんにインタビューを実施。舞台のみならず、映像作品でも活躍。10月には主演ドラマ「神様のサイコロ」の放送を控える和田さんは、この独特な世界観をどのように解釈し、役に向き合おうとしているのでしょうか。

後編では、俳優としての現在地点をキーワードに、33歳を迎える今の心境や挑戦したいこと、作品にちなんでの“渇望しているもの”エピソードなどをお聞きしました。

インタビュー前編はこちら

もうすぐ33歳。「肩の力を抜いていつも通りやるだけ」

――本作は33歳の誕生日を迎えて最初の舞台となります。どんな心境で臨みたいですか。

昔は本当にギラギラしていて、絶対売れてやると尖っていました。今ももちろん売れたいという気持ちは変わらないですが、大人になってきて、やるべきことをちゃんとやっていれば、ちゃんとした人が寄ってきてくれる。自分がブレなければちゃんと仕事も繋がっていく。そういうことが分かってきた気がします。

今回の作品に関しては、序盤に「満を持して」という言葉を使ってしまったのですが、オムくんや宮下くんとは、気合いを入れすぎないでおこうと話しています。やっと一緒にできたという喜びから気合いを入れすぎると空回りしちゃうし、しっかり肩の力を抜いていこうと。どうせいつも真面目で全力で向き合うんだから、いつも通りの1本でいこう。そうしたら、きっと先に繋がる1本になるから、という話をしました。

肩の力を抜いて生きる方が、周りのこともよく見えるということを、最近すごく感じるんです。だから、今回も“33歳の和田雅成”を意識しすぎず、いつも通りやろうと思います。そうしたら生まれてくるものがあるはずなので。

――舞台はもちろん、近年は映像作品でも活躍されていて、いろいろな方と仕事をする機会も増えていると思います。そうしたキャリアを積んできたなかで、“33歳の和田雅成”の現在地点をどう捉えていますか。

まだまだだなと思っています。でも、芝居の難しいところが、芝居の上手い下手って結局は好みじゃないですか。僕にとってイマイチだと感じる芝居をする人でも、引っ張りだこなこともあるし、その逆もある。そもそも、自分の芝居が上手いかどうかも分からない。ただ、ちゃんと役と向き合って生きていれば、ベテランの方でも、年下の後輩でも認めてくれるんだなということを、最近ようやく感じてきました。

昔は、上手い下手を意識したり、気に入ってもらおうと考えていたりしましたけれど(笑)。最近はある意味、自分に素直に生きているかもしれない。その方が、好きになってもらったときに嘘がないですしね。だから、立ち位置というものを考えすぎず、誰が来ても自分の色を変えないでおこうと思っています。

――そんな今の和田さんが思う、理想の芝居とは?

えー、なんだろう。難しい。でも、何気ない瞬間を演じたいなとは思っています。今こうしてお話ししてるときも、お互いに次にどういう質問が来て、どう返すだろうなとか予想していないじゃないですか。僕は芝居の中でもそういうものがやりたいです。

――作り込むというよりも、自然体で演じていきたい。

そうですね。もちろん、台本があって、稽古を重ねて作り上げていくものなので、作り込む作業は必要だと思います。その中でも、本当に生き生きとしながら、役の思いやいろいろなものに寄り添いながら、役者として立っていたいなと思います。

主演ドラマの主題歌で歌手デビュー! 今のタイミングだからできた決断

――では、33歳になって挑戦したいことはなんでしょうか。

今年はありがたいことに9月にアーティストデビューが控えています。ギターや乗馬など、これまで始めたことをちゃんと形にしていきたいなという思いがずっとあって。その中で、今は音楽を形にしていくタイミングなんだろうなと思っています。音楽活動での経験もきっと役者に活かせることがあると思うので、そういう機会を逃さずに、でも肩の力は抜きながら挑戦していきたいです。

――俳優を始めた頃、アーティストデビューする未来は想像していましたか?

まったくしていなかったですね! むしろ、やりたくないとすら思っていました(笑)。言い方はアレなのですが、少し売れたら歌を出すという風潮がどうも肌には合わなくて……。今回のお話も、最初はお断りしようと思っていたんです。

でも、ありがたいことに僕の主演ドラマの主題歌になるという話で。主演ドラマの主題歌を自分で歌う。こんな機会を人生でもらえることって、そうそうないなと。これを断るのは簡単だけど、挑戦した方が得るものがすごく多いんじゃないかなと思って決断しました。

――昔の尖っていたという時代だったら、もしかしたら断っていたかもしれない?

やっていなかったと思います。5〜6年前だったら断っていたんじゃないかな。本当にいろんなタイミングが重なったからこそ、やろうと思えましたね。

和田雅成を満たすものは「仕事」、その先に見据えるのは理想の環境

――本作では「心の渇き」「渇望」などがキーワードとなります。それにちなみ、和田さんが渇望しているものや、「これがあったら満たされるのに」と感じているものはなんでしょうか。

なんやろな。でも、やっぱり仕事だなぁ。

――わりと即答でしたね。

休みは欲しいのですが、仕事人間なので、仕事をしていないと不安になる。究極のこと言うと、本当にお金って大切だと思うんですよ。そして、お金は仕事をしないと生まれないですし。

大人になってきた今でも、将来が不安になる瞬間がめちゃくちゃあるんです。なんなら20代より今の方があるかもしれない。20代は、2.5次元舞台のいい波に乗れたこともあって、ガムシャラにやっていれば仕事がどんどん来た。でも今は、ステージを違うところに移す段階というか。若い子たちのためにも、僕たち世代がどかないといけないと思いますし。

絶対大丈夫だと自分に言い聞かせているし、そう思ってはいるのですが、どうしても不安は捨てきれない。だから、渇望しているものって言われると「仕事」になっちゃいます。全然おもしろくない答えですみません(笑)。

――いえいえ。役者というお仕事が好きという気持ちがすごく伝わってきました。

好きなんだと思います。それに、仕事をして、その先で素敵な人たちとお芝居をしたい。そこに行くためには、当然、自分自身もちゃんとした素敵な人にならないといけない。だから、僕がこういうことを言うのは、自分へのプレッシャーでもあるんです。

――最後に公演を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。

僕と出会ってくれたからこそ、この「月農」という作品に触れるという人もきっとたくさんいると思います。そんな人たちに、渇きというよりも、人生にお水をあげるように潤いを与えられたらいいし、僕も与えてもらいたい。お互いにそういう瞬間になればいいなと思っています。この作品に対して僕たちはもう全力で挑んでいくだけなので、劇場でお待ちしています!

取材・文:双海しお
撮影:野田涼

インタビュー前編はこちら

公演概要

宮下貴浩×私オム プロデュース 第 8 回公演
舞台『月農』

【脚本・演出】私オム

【キャスト】
和田雅成
入来茉里
武子直輝
長谷川かすみ
横山涼
福室莉音
宮下貴浩
植木祥平

【公演期間】2024 年 10 月 9 日(水)~10 月 19 日(土)
【劇場】
シアターサンモール
住所:東京都新宿区新宿 1-19-10 サンモールクレスト B1F

【チケット料金】
一般発売(先着) 10 月 2 日(水)20:00~
http://confetti-web.com/@/miyaomu8

【公式 HP】https://www.ruby-parade.com/lp/miyaomu8/
【公式 X(旧 Twitter)】https://twitter.com/miyaomu

【お問い合わせ】miyaomu.info@gmail.com
【宣伝】キョードーメディアス
【企画協力】株式会社ルビーパレード
【主催】宮下貴浩×私オム プロデュース

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