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葵わかな、木村達成ら出演、白井晃演出。『セツアンの善人』開幕!「すごく挑戦的なものが詰まった作品」

REPORT

2024 年10 月16 日(水)より東京・世田谷パブリックシアターにて『セツアンの善人』が開幕する。

『セツアンの善人』は、第二次世界大戦中、ナチスにより市民権を剥奪されたドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトが亡命先で執筆し、1943 年に スイスのチューリッヒで初演された。神様が地上に降りてきて善人を探すという本作は、ブレヒト作品を代表する寓意劇として、今も多くの 人々に愛され、世界各地で上演を重ねている。

この度、世田谷パブリックシアターの芸術監督、白井晃が満を持して本作を手がける。 「人はどこまで善人でいられるのか」「人はお金で幸せになれるのか」という現代社会に生きる我々にも通じる痛切な問いかけが、葵わかな が一人二役で演じ分ける、心優しき女性シェン・テと、ビジネスに徹する冷酷な青年シュイ・タという真逆な人物を通して描き出されていく。

この葵わかな扮するシェン・テを中心に、アジアの都市とおぼしき「セツアン」に棲息する人々の息遣いを、演出の白井晃が今日的な視点からすくい取り、繊細にしてダイナミックな舞台を構築していく。

シェン・テと、シェン・テの分身である架空の従兄シュイ・タを演じるのは、葵わかな。シェン・テが恋に落ちる失職中のパイロット、ヤン・スンに は、木村達成。また、神様と交信する水売りのワンには、渡部豪太。息子を溺愛するヤン・スンの母親のヤン夫人には七瀬なつみ、シェ ン・テが買い取ったタバコ屋の元オーナーである未亡人のシンをあめくみちこ。シェン・テのタバコ屋に居座る大家族の祖父を小林勝也、そ して下界で善人探しをする人間臭い 3 人の神様を、ラサール石井・小宮孝泰・松澤一之が演じる。

このほか栗田桃子・粟野史浩・ 枝元萌・斉藤悠・小柳友・大場みなみ・小日向春平・佐々木春香という、若手からベテランまで、実力派の総勢 17 名の個性豊かな 出演者が集結し、百年近く前に書かれた本作を現代社会にも深く通ずる普遍的な作品として立ち上げていく。 

今回は、葵わかな、木村達成、上演台本・演出の白井晃が登壇した初日前会見の様子とプレスコールの舞台写真をお届けする。

初日を迎える今の気持ちについて、本作の上演台本、演出を手掛ける白井晃は「この世田谷パブリックシアターでのブレヒト作品は二本目になるのですが、この作品は今に通じるいい作品だと思いますので、力を込めて皆さんにお送りしたいです」と

シェン・テと、シェン・テの分身である架空の従兄シュイ・タを演じる葵わかなは「ついに明日が初日ということで、すごく挑戦的なものが詰まった作品になっていると思うので、 お客様に観ていただいてどんなリアクションや感想を抱いていただけるのかすごく楽しみです。 稽古の段階から、きっとお客様が入って完成する作品になるのではと考えていたので、明日は一生懸命頑張りたいと思います」と

シェン・テが恋に落ちる失職中のパイロット、ヤン・スンを演じる木村達成は「明日、初日を迎えられることを、本当に嬉しく思っています。この『セツアンの善人』が持つ独特な不気味さみたいなものを伝えていけたらと思います」とそれぞれ意気込みを語った。

本作で演じる役柄について葵は「私が演じるシェン・テは、 神様から善人認定をしてもらう役なんですが、お金がなくて生き抜くために娼婦をしていたり、いい人で周りに流されるように見えるのですが、その実、1つ1つ決断があって、ある意味善人という信念が通っているキャラクターです。その自分の信念であったり、譲れない部分のせいで、生きづらくなっていく、そんなキャラクターだと感じています。

もう1人、シェン・テが作った架空のいとこ、それがシュイ・タというキャラクターなんですが、逆にシュイ・タはシェン・テが善人であるという信念上、絶対にできないようなことを、シェン・テの代わりに仮面をつけて別の人格になることで、生きるために突き通していくようなキャラクターです。シュイ・タはすごく冷酷な人間と周りから評価されるのですが、自分的にはすごく合理的な部分もあって、嫌いになりきれないキャラクターだと思います」と

木村は「僕は失業中のパイロット、ヤン・スンを演じます。ヤン・スンはパイロットになることを目指して、この『セツアンの善人』の中で唯一と言っていいほど、自分の目の前に置かれたものに走っていく男です。でも、やっぱりお金というものが必要で、シェン・テを利用したのかはわからないですが、シュイ・タ、シェン・テを介して自分の目標に走っていく素直な男だと思っています」とそれぞれの役柄について語った。

今回、初めて白井の演出を受ける葵と、3度目となる木村の印象について白井は「葵さんとは今回初めてご一緒させていただくのですが、本当に真面目ですよね。役を獲得するのに 1つずつ積み重ねていって、私がノートの時にチェックしたことを、全部メモして、忘れずに次の日までに全部消化してきてくれる、俳優の鏡のような方。演技に対してすごく真摯に向き合ってくれる方だなと思います。本当に難しい役だったのですが、葵さんならできるだろうということで、かなり負荷をかけた部分があるのですが、それを本当に消化してきてくださった感じがします」と

木村の印象については「木村くんとは3度目で、偉そうですが、最初に会った時から本当に成長しているなと感じさせる俳優になってきたと思っています。相変わらずの部分もありますが、確実に役者として大きくなっているなと感じます」とそれぞれ印象を語った。

それを受けて葵は「今回は本当にやることがたくさんあったので、もし他の作品で白井さんとご一緒していたら、こんなに色々と話す機会がなかったかもしれないです。

最初の頃に『一緒に作り上げていきたい』とおっしゃってくださった言葉が忘れられないのですが、その言葉があったので『これは飛び込むしかない』と心を決めました」と

木村は「僕は3作目なのですが、白井さんと初めて一緒に舞台を作らせていただいた時に言われたことを、白井さんの演出ではない舞台でも、自分の中で言い聞かせてやってきていたつもりだったので、またその時のダメ出しをもらわないように今回の稽古に挑みました。でも、やはりふとした瞬間に出てしまうこともあったと思いますが、できるだけ役者としてもう1つ次のステージに行けるようなダメ出しをいただくために今回稽古を頑張りました」と白井の言葉を受けて、それぞれ答えた。

最後に葵より上演を楽しみにしている方々へ「ついに明日、初日を迎えることになりました。 この『セツアンの善人』は80年前に書かれた作品ですが、現代の社会、そして日本で生活している皆さんにとても届く作品になっていると思います。80年前から変わらず流れ続けている人々の願いであったり、悩み、問いというものがふんだんに詰め込まれていますが、それを軽快なキャラクターたちや音楽というものの力を借りて、より皆様のそばにお届けできるように頑張りたいと思いますので、ぜひ楽しんで帰っていただけたらと思います」とメッセージが語られ、初日前会見は終了した。

文・撮影:THEATER GIRL編集部

ヤン・スン役 木村達成さんのインタビューはこちら

公演概要

『セツアンの善人』

【作】ベルトルト・ブレヒト 【音楽】パウル・デッサウ 【翻訳】酒寄進一
【上演台本・演出】白井晃 【訳詞・音楽監督】国広和毅

【美術】松井るみ 【照明】齋藤茂男 【音響】井上正弘 【衣装】伊藤佐智子
【ヘアメイク】川端富生 【振付・ステージング】山田うん 【演出助手】豊田めぐみ 【舞台監督】田中直明

【宣伝美術】秋澤一彰 【宣伝写真】山崎伸康
【宣伝衣装】伊藤佐智子 【宣伝ヘアメイク】川端富生

【出演】
葵わかな 木村達成 渡部豪太 七瀬なつみ あめくみちこ

栗田桃子 粟野史浩 枝元萌 斉藤悠 小柳友
大場みなみ 小日向春平 佐々木春香

小林勝也 松澤一之 小宮孝泰 ラサール石井

【演奏】
磯部舞子(バイオリン・東京公演) 加藤優美(バイオリン・兵庫公演)
島津由美(チェロ) 熊谷太輔(パーカッション)

【日程】2024 年 10 月 16 日(水)―11 月 4 日(月・休)
【会場】世田谷パブリックシアター

【チケット料金】
一般:S 席(1 階席)9,500 円 A 席(2 階席)8,500 円 B 席(3 階席)5,000 円
高校生以下・U24:各一般料金の半額
※劇場友の会、アーツカード割引あり ※未就学のお子様はご入場いただけません

【お問合せ】世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515(10:00~19:00)

【主催】公益財団法人せたがや文化財団 【企画制作】世田谷パブリックシアター
【後援】世田谷区

【世田谷パブリックシアターHP】https://setagaya-pt.jp/
【『セツアンの善人』公演ページ】https://setagaya-pt.jp/stage/16042/

<兵庫公演>
【日程】2024 年 11 月 9 日(土)13:00、11 月 10 日(日)13:00
【会場】兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【主催】兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
【お問合せ】芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255(10:00~17:00 月曜休/祝日の場合翌日)

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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