百名ヒロキ×DION×山﨑玲奈インタビュー 「翼の創世記」「とんでもない爆発力を見せたいと思います」(後編)
2024年11月29日(金)よりBLUE SQUARE YOTSUYAにて、Theatre Polyphonic 第7回公演 ミュージカル「翼の創世記」Genesis of Wingsが上演されます。
本作は、演出家の石丸さち子さんが立ち上げたTheatre Polyphonicの第7回公演作品。
3人の登場人物で、世界初の動力有人飛行を成し遂げたライト兄弟とその妹の物語を描く本作。舞台『鋼の錬金術師 それぞれの戦場(いくさば)』でも多くの観客の心をわしづかみにしたクリエイターの作・演出:石丸さち子さん×音楽:森大輔さんによる、オリジナルミュージカルです。
兄ウィルバー・ライトを演じるのは、上口耕平さん、上川一哉さん、鈴木勝吾さん、百名ヒロキさん。弟オーヴィル・ライトを工藤広夢さん、鈴木勝吾さん(ウィルバー・ライトと2役)、DIONさんが演じ、妹キャサリン・ライトを門田奈菜さん、福室莉音さん、山﨑玲奈さんが演じます。
THEATER GIRLは、百名ヒロキさん、DIONさん、山﨑玲奈さんにインタビュー。後編では、石丸さち子さんの演出の印象やそれぞれが感じるミュージカルの魅力などについて語っていただきました。
オーディションがすでにワークショップみたいだった
――今、絶賛稽古中とのことですが(取材時)、ご自身の中での課題やこれからチャレンジしていこうと思っていることはありますか?
百名:やっぱり歌が多くてソロ曲もあるので、今までにない表現や魅力を出せたらいいなと思って 毎日朝練をしています。でも曲が多すぎて毎日全曲あたれないんですよね。こんなことは初めてです。
DION:もちろん技術的な面もたくさんあるのですが、自分としては石丸さんとオーディションをしている最中に、自分がいかに浅はかだったかと思い知らされる場面がたくさんあったんです。なので、膨大なセリフや歌の中に、一つ一つ深さのようなものを見出せたらと思っています。 多分これから先もそういう場面があると思うのですが、全部吸収してその上で自分の色も足して爆発できたらなと思いますね。
山﨑:私が今一番課題としているのは、自分との性格の違いです。 台本を読んでいく中で、自分と違う部分がキャサリンに多くて、理解するのにかなり時間をかけています。「何でここでこういう行動をするんだろう」と思う部分がけっこうあって。もっともっとキャサリンに歩み寄って稽古ができたらなと思います。
――DIONさんは今回石丸さんの演出を受けられるのは初めてとのことですが、印象はいかがでしょうか?
DION:オーディションがすでにワークショップみたいだったんです。稽古はまた全く違うものになると思うのですが、僕個人としては、それがすごく楽しかったんですよね。普通のオーディションって、自分が考えてやったものを一回やってそれで終わりということが多いんですけど、そうではなくて、「もっとこうやってみて」とその場で試すことができたのでありがたかったです。その場で成長しているのも実感できましたし、すごくいい経験になったと思います。
百名:DIONくんが言っていたように導いてくださる方なので。それって本当にありがたいことで、言ってくれない現場もあったりしますし。やっと理解できたとしても、自分の引き出しにそれを表現する技術がなくて悔しい思いをすることもあると思うのですが、それでも導いてくださるので信じて稽古に臨めば大丈夫だと思います。
山﨑:石丸さんはとても的確に指摘をしてくださるので、「ああ、なるほど」とストンと理解することができますし、自分のできていない部分をわかりやすく導いてくださるので、クリアできる楽しさもあるなと思います。
――ライト兄弟は世界初の有人飛行を成し遂げましたが、 皆さんが今後成し遂げたいと思っていることはありますか?
DION:とりあえず今はこの作品を成し遂げることしか考えられないですね。でも、僕は元々ミュージカルが大好きで、ミュージカルに携わっていきたいと思ってこの世界に入ったので、この先もずっとミュージカルをやっていきたいなと思います。なので、何かを成し遂げたいというよりは、ただただこの世界に居続けたいなと思いますね。
山﨑:この流れで、すごく大きい目標を言わせていただくんですが、私の目標で憧れの先輩が高畑充希さんなんです。高畑充希さんみたいに、 舞台、ミュージカルはもちろん、ドラマや映画など、幅広く活躍できる俳優になりたいです。小6の頃からずっと目標にしています。
百名:やっぱり今はこの作品にしか集中できない状態ではあるのですが、将来のことを考えると、自分にしか出せない表現ができるように、いろいろ吸収していきたいですし、ライト兄弟を見ていると誰でも本気でやれば何にでもなれるんだろうなと勇気をもらえるので、素敵な百名ヒロキになっていきたいですね。
――先ほどDIONさんからミュージカルの世界にずっといたいというお話がありましたが、ミュージカル作品のどんなところに魅力を感じていらっしゃいますか?
DION:ブロードウェイでももちろん観ましたし、元々はウィーンミュージカルやフランスミュージカルからハマったタイプなんです。人それぞれミュージカルの好きなところは違うと思うのですが、僕は本当に音楽が好きで。もちろん、ポップスや他のジャンルの音楽全般も好きなのですが、 ミュージカルの歌って、お芝居の中で感情を入れて歌うじゃないですか。しかもそれを生の声で聞くことができる。それに圧倒されることが多くて。
印象的だったのが、高校を卒業したての時に韓国で『ジキル&ハイド』を観たんです。 ホン・グァンホさんという韓国版のミュージカル「デスノート」で夜神月役もやられている方なのですが、その方がハイドに豹変した時の『Alive 2』という曲があるんです。その音圧と迫力が凄すぎて音の壁に席に押し付けられたような、とてつもない体験をして。 音楽の力ってもちろんそれだけでも強いけど、芝居が乗った時のさらなる音楽の力はすごいなと。改めてミュージカルっていいなと思ったんですよね。なので、何が好きかと言われると、やっぱり芝居が乗った歌が好きですね。
百名:僕はお芝居が元々好きなので。お芝居だけではなく、音楽が乗ることでミュージカル特有の芸術になると思うので、普通の歌とは違うジャンルだなと思っています。役として説得力のある歌い方って相当技術がないとできないですし、毎回役によって歌い方を変えていらっしゃる方もいたりするので。いろんな異種格闘技で勝ち残った人がやっているのがミュージカルだと思うので、出演している方々をすごく尊敬しています。
山﨑:私はディズニー映画から入ったのですが、最初はただただディズニーが大好きで、それを真似てよくお風呂で歌っている少女だったんです。とにかく1日中ずっと歌っている子供で、それを見かねた母親がミュージカルを勧めてくれて、スクールに行ったのがきっかけでミュージカルと出会いました。初めてミュージカルに出たときは今まで観ていたものをやれることが嬉しくて、とても衝撃を受けました。私、お芝居で別の人になれることがすごく好きで。自分ではない人生を歩むことができるのは俳優だけですし。なおかつ自分の大好きな歌が加わったミュージカルって最高だなと思います。
――では、最後に本作を楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。
山﨑:この3人でやる作品だからこそ伝わる迫力や熱を、39曲の歌にのせてライト兄弟という一つの家族のお話がぎゅっと詰まった作品ですので、ぜひいろんな方に楽しんでいただけたらなと思います。
DION:3人で39曲もあるので、すごく内容の濃いミュージカルになると思います。さらにお客様との距離が近い会場なので、僕らの熱量をこんなにも間近で感じられる舞台はそうないと思うので、楽しみにしていただきたいです。
百名:今回の作品で3人それぞれが自分のベストを出してくると思うので、楽しみにしていただけたら。この作品自体も勇気や活力をもらえる作品だと思うのでぜひ、劇場に観にきていただけたらうれしいです。
取材・文:THEATER GIRL編集部
公演概要
Theatre Polyphonic 第7回公演ミュージカル『翼の創世記』 Genesis of Wings
11/29(金)~12/25(水)
東京・ブルースクエア四谷
企画・脚本・作詞・演出:石丸さち子
作曲・音楽監督・演奏:森大輔
出演:
上口耕平、門田奈菜、上川一哉、工藤広夢、鈴木勝吾、DION、百名ヒロキ、福室莉音、山﨑玲奈