井上瑞稀主演。『W3 ワンダースリー』開幕!「少しでも地球の未来について考えるきっかけになれば」
2025年6月7日(土)よりでTHEATER MILANO-Zaにて、7月4日(金)より兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて、『W3 ワンダースリー』が上演される。
原作「W3(ワンダースリー)」は、1965年~1966年まで「週刊少年サンデー」に連載された漫画で、テレビアニメ版は全52回を放送し、当時の子どもたちはみな夢中になった。この日本が世界に誇るマンガの神様・手塚治虫の名作を、若手ながらも数々の演出家から絶大な信頼を得ている福田響志の脚本、 ミュージカル、ストレートプレイ、ノンバーバルパフォーマンスまで幅広く演出を手掛け東京2020 パラリンピック開会式の演出でも世界的 に注目を集めたウォーリー木下の演出、ストレートプレイの音楽からミュージカルの作曲まで多彩な活動で知られる和田俊輔の音楽で舞台化。
主人公・星真一役は井上瑞稀、主人公の兄・星光一役には平間壮一、地球の調査にきたワンダースリーのプッコ役に永田崇人、 ボッコ役に松田るか、ノッコ役に相葉裕樹、星兄弟の母役に彩吹真央、星商店の土地を買収しようとするハム・エッグ役に中村まこと、 そしてランプ少佐役に成河といった作品の世界観に深みを与える実力派キャストの他に、冨永竜、石井雅登、早川一矢、手代木花野、 石井千賀、大倉杏菜が舞台に華を添え、さらに人形操演として人形劇団ひとみ座の中村孝男、高橋奈巳と松本美里(東京公演のみ)、 人形劇団クラルテの奥洞昇(兵庫公演のみ)の参加も決定した。
世界のどこかで戦争が起き、温暖化や食糧危機、地震、エネルギー不足など、自然との共存の課題も多く抱えた地球。“豊かさ”とは、 “悪”とは、“正義”とは—。手塚治虫が提示する今私たちが直面している、考えなければいけない問題の数々を、豪華キャスト&スタッフとともに、ウォーリー木下がステージ上に描き出す。
今回は、井上瑞稀、平間壮一、永田崇人、松田るか、相葉裕樹、彩吹真央、中村まこと、成河、ウォーリー木下(演出・上演台本)が登壇した囲み取材の様子をお届けする。
まずは初日を迎えるにあたっての意気込みが、演出のウォーリー木下とキャスト陣から語られた。
ウォーリー木下:稽古場では何もない中から作ったものが、スタッフや役者の力でどんどん見たこともない世界になりつつあります。『W3 ワンダースリー』という作品は、7年前から関わり始めましたが、夢のあるモチーフがたくさん入っていて、それを演劇で作る難しさを感じつつ、高い山だからこそ登りたいという思いで挑んでいます。なんとか頂上が見えそうな気がしますので、ぜひ楽しみにしていてください。

井上瑞稀「僕が演じる真一はなかなか自分の気持ちや夢を発信するのが得意ではありませんが、さまざまな人との出会いを通して成長していきます。その姿をぜひ楽しんでいただけたらと思います。よろしくお願いいたします」

平間壮一「ウォーリーさんが「子供から大人まで楽しめる作品にしたい」とおっしゃっていましたが、僕も同じ思いです。動物たちも登場する舞台なので、もし彼らが言葉を理解できたら、全ての命あるものが楽しめる舞台になったら素敵だなと思いながら取り組んでいます。頑張ります」

永田崇人「僕の役は、宇宙から地球に派遣され、地球を救うべきか滅ぼすべきかを調査するキャラクターです。最初は地球や地球人にあまり好意を持っていませんが、だんだん魅了されていきます。みんなで一丸となって作っている作品なので、無事に開幕できるよう頑張ります」

松田るか「地球の皆様、よろしくお願いいたします。宇宙人のボッコを演じます。地球を調査する中で、その素晴らしさや人類のもろくも美しい部分を発見していきます。今回、大きな爆弾を持って地球にやってくるのですが、そのボタンの行方は私たちが握っているので、多くの方に観に来ていただかないとどうなるか……(笑)。ぜひ楽しんでいただければと思います」

相葉裕樹「僕は宇宙人3人の中で少しおっとりしたバランサー的な役どころです。僕自身、こういう作品は初めてなので新鮮ですし、お客様にも新しい表現の仕方を楽しんでいただけると思います。劇場でお待ちしております」

彩吹真央「家族や住民との交流を通して、今私たちが住んでいる地球がどれほどかけがえのないものかを感じていただけたら嬉しいです。また、複数の役も演じているので、役者としても楽しんでいます。手塚先生とウォーリーさんの世界観の化学反応がとても刺激的で、私自身も楽しみながらお届けしたいと思います。ぜひ劇場へいらしてください」

中村まこと「僕自身、子供の頃に『W3』をテレビで観て夢中になった思い出があります。今回、原作ではわずかしか登場しないハム・エッグに奥行きを与えてくださっていて、単なるヒールではない役どころになっています。全体としても、手塚ワールドとウォーリーさんの演出がすごくて、僕自身も楽しんで観ています。ぜひ多くの方にご覧いただきたいです」

成河「ランプは手塚作品に昔から登場するバイプレイヤー的な存在ですが、今回は独裁国家エーグニの幹部という新しい視点で描かれています。星兄弟と対峙し、正義や平和の真意を問う存在として演じています。手塚作品らしく幅広い年齢層の方が楽しめる作品になっているので、ぜひご覧いただきたいです」と、それぞれ本作への意気込みを語った。

プロジェクションマッピングなど、多彩な演出に定評のあるウォーリーだが、本作での演出について「作品のテーマは「戦争をどうやったらなくせるか」という重いものですが、手塚作品にも常に戦争への問いかけがあります。今回はこのテーマを「子供の遊び」のような感覚で描こうと決めました。美しい芸術的なアプローチも取り入れつつ、観客が楽しく一緒に考えられる仕組みにしています。プロジェクションマッピングやオブジェクト・シアターなどさまざまな技法を取り入れていますが、根底にあるのはテーマへの真摯な向き合い方です。ぜひその部分も楽しんでいただきたいです」と、演出のこだわりについて語った。

その後、井上からウォーリーへ、ある疑問点についての話に。
井上は「ウォーリーさんとご一緒させていただくのは青春 POP ROCK『ルーザーヴィル』以来の2度目です。今回、真一という役が原作とはまた違うベクトルの問題児というか、今の時代に合わせて内側にこもるような役柄になっているんです。そういう真一を描くとなった時に、割と早い段階でウォーリーさんが「井上瑞稀がいいんじゃないか」と提案してくれたみたいで。だから今回、令和の”問題児”としてキャスティングされているんですよね。だから喜んでいいのか(苦笑)」と、真一役のキャスティングについて触れた。

それに対してウォーリーは「2年前に一緒にやった時はほとんど喋らなくて、ずっと何かを書いていたんです。それで「何を考えているんだろう」と逆に興味が湧いて、僕の方から話しかけるくらいでした。でも劇場に入ってから急に焦ったのか、めちゃくちゃ声出しを始めて。その時に「この子、こんな二面性があるんだな」と感じて。普段はほとんど喋らないけれど、実はいろんなことを考えていて、そういういろんなことを爆発させる瞬間を、舞台上まで待っていたんだなと。なので、今回の役を考える時のモチーフになっているくらい。瑞稀が真一をやるなら、こういうふうに言ったらどうだろう、という話を(福田)響志くんと一緒に相談しながら作業していました」と経緯が語られた。
今回は歌のパフォーマンスもあるということで、ミュージカルの出演経験が豊富な共演者たちから何かアドバイスを受けたか?という問いに、井上は「たくさんいただきました。テンポの取り方や、想像を膨らませ方など。いろいろなお話を聞いて、楽しく学んでいます」と充実ぶりを語った。

本作での井上の座長ぶりについて、カンパニーのメンバーたちは、「本当にすごいです」と絶賛。
平間は「黙っている姿がすごくどっしりと構えているようにも見えるんです。いろんなことを考えているんだろうなって。だからちょっと恐れております(笑)」と井上の座長ぶりに太鼓判を押した。

成河も「稽古の最終日は本当にかっこよかったですよ。ずっと黙々とやっていたのですが、最終日、カーテンコールの位置決めをして、最後にお辞儀をする場面で。稽古の最後だったからか、「スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。皆さんでこのまま頑張っていきましょう」と、初めてそんなことを言っていたんです。もうここしかないと思って話したんでしょうね。でも、そうやってしっかり構築して考えながら、狙いを定めているような座長ぶりが素晴らしいと思います」と井上の座長ぶりを絶賛した。

最後に主演の井上から本作を楽しみにしている方々へ「60年前の作品ですが、描かれている問題は今も我々の現実なのだと感じています。この作品を通して、少しでも地球の未来について考えるきっかけになればうれしいです。皆さん、ぜひTHEATER MILANO-Zaでお待ちしています」とメッセージが述べられ、囲み取材は終了した。

撮影:近藤明子
井上瑞稀(KEY TO LIT)インタビュー 『W3 ワンダースリー 』「未来について考えるきっかけになれば」
公演概要

『W3 ワンダースリー』
原作: 手塚治虫 「W3(ワンダースリー)」
脚本・作詞: 福田響志
演出・上演台本・作詞: ウォーリー木下
音楽・作詞: 和田俊輔
出演:
井上瑞稀 平間壮一/永田崇人 松田るか 相葉裕樹
彩吹真央 中村まこと/成河 ほか
公演時期:
[東京] 2025年6月7日(土)~29日(日) THEATER MILANO-Za
[兵庫]2025年7月4日(金)~6日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
主催: [東京] フジテレビジョン、ミックスゾーン、キューブ、シーエイティプロデュース
[兵庫] 兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
制作協力: 手塚プロダクション
製作: フジテレビジョン、ミックスゾーン、キューブ、シーエイティプロデュース
企画: シーエイティプロデュース
公式サイト: https://w3-stage.com/
公式X: @w3_stage
