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輝馬が持つ役者としてのまなざし「日常すべてが役作りのヒント」【シアダン vol.04】(前編)

INTERVIEW

THEATER GIRLが注目する“今知りたい若手俳優”へのインタビュー企画「シアダン」。第4回にお迎えしたのは舞台「文豪ストレイドッグス」国木田独歩役や、ミュージカル『薄桜鬼』山南敬助役、舞台『メサイア』ガラ役などを演じる「輝馬(てるま)」さん。9月の舞台『メサイア―黎明乃刻―』、10月のライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」~暁の調べ~(ペイン役)と話題作への出演が続きます。

そんな輝馬さんに、前編では30歳を迎えての思いや、役者としての喜び、思い入れの深い役柄などについてじっくり語っていただきました。日常生活や共演者への、理知的でいて温かい眼差しが感じられるインタビューをどうぞ。

インタビュー後編はコチラ

恩師の言葉に背中を押され、役者の道へ

――まずは、役者の仕事をしようと思ったきっかけを聞かせてください。

大学生の頃に舞台のオーディションを受け、そこでご縁があって初めて出演させていただいたのがミュージカル『テニスの王子様』で、それが役者を始めたきっかけですね。それとは別に、役者の道を選ぶことを決めた“もうひとつのきっかけ”は、お世話になっていた大学教授の「人生一度きりだから、やれる時にやっておいたら?」という言葉です。

当時、役者と社会人という二足のわらじを履いていて、どちらを選ぼうかとなった時に「今しかできないことというのはある。就職したら、役者の道は選べなくなるよ」と。それで役者をやろうと決めました。役者は安定する仕事ではないですし、普通だったら社会的に保証があるほうを勧めるべきなんでしょうけど、先生も昔やらなかったことがあって後悔をされていたので……。そうやって背中を押してくださったことで、こちらの世界に一気に飛び出すきっかけになりました。

――その先生は輝馬さんにとって、いろいろと相談に乗ってくださっていた方だったのでしょうか?

そうですね。壁がなく、固くない考え方をされる方だったので。僕がお仕事をしながら大学生をしていて、出なきゃいけない講義に出られなかったりした時にも、融通を利かせてくださったりしたんです。「お前の人生のやりたいことをジャマするのは、教師としてというより、人間として嫌だから」と。僕のやりたいことの幅を狭めずにいてくださったのが、本当にありがたかったです。先生は数年前に亡くなられてしまったんですが、人と関わることの大切さを教えてくれた方でした。僕にとっての恩師ですね。

30代を迎えての意識の変化

――先頃、30歳の誕生日を迎えられましたが、これまでを振り返って、お芝居へのアプローチや役作りの面などで、20代の頃と変わったと感じるところはありますか?

「できない」とは言えないという思いが強くなりました。20代後半くらいからその意識はあったんですけど、30代ともなると、できないことがあるのは(役者としての)生命の危機なので(笑)。「できない」と言ってしまうことで周りの人にも「この人はこれができないんだ」と思われますし、自分ができることの幅やいろんなものが狭まってくると思うんです。20代の頃にはずっと「できることを増やそう」と思っていたんですけど、30代に入ってから「できないことをなくそう」という考え方になりました。まぁ、両方とも結果は同じかもしれないんですが、意識の上では変化がありましたね。それから、人間関係でも変化があって、年下の子との壁をちょっと感じるように……(笑)。

――ジェネレーション・ギャップですか(笑)。

いや、自分にもそういう気持ちはあるので分かるんですよ!(笑) もし自分が20歳で、30歳の人と共演するとなったら、気も遣うし、敬語も使いますけど……自分が後輩や年下の役者さんにそうしてもらう側になると、前の自分を見ているようで「分かるよ!」って気持ちになって。だから、それに対して遠慮をしたり「いいよ、いいよ」って言うんじゃなく、ちゃんと30歳らしい振る舞いを考えるようになりました。心は子どものままなのに、大人って大変だなって(笑)。

20代前半くらいの子たちと、時にはイコールでいてもいいと思うんですけど、常にそうあるわけにはいかないなと。周りから見たら、年下が生意気ってニュアンスになってしまうし、僕も精神が子どもで頼りない人だということになっちゃう。それはお互いにwin-winではないと思うので、ある程度しっかりした関係性を周りにも見せ、お互いそれを理解した上で関係を持つようになりました。

――たしかに……。大人って難しいですね。

本当に(苦笑)。僕も本当は、若い子たちとワッショーイってやりたいんですけど、自重してます。それでも、ご飯に行ったりするとけっこう語ったりするんですよ。僕も前に、いろんなことを聞いてもらってアドバイスをいただいたりした分、同じようにできたらと思うので。話し方や聞き方が変わったなと思います。

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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