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原田優一×太田基裕インタビュー ミュージカル『ダブル・トラブル』「お客様が入ってやっと、この作品の醍醐味が分かった」(前編)

INTERVIEW

9月5日(月)より東京・自由劇場にて、ミュージカル『ダブル・トラブル』~2022夏 Season C~が上演されます。

本作は、ボブ&ジムのウォルトン兄弟によって書かれた抱腹絶倒のミュージカルコメディ。作詞家のボビー・マーティンと、作曲家のジミー・マーティンの兄弟2人が、ハリウッドのメジャームービーの曲を書くという大チャンスを掴むが、与えられた時間はたったの数時間、気に入ってもらえなければ即クビ! 恋に仕事に大奮闘! 果たして兄弟の運命はいかに……。

2021年にはダブルチーム編成で、異なる劇場で同じ作品を同時期に上演するという意欲的な挑戦をし、大好評のうちに幕を閉じました。そして、早くもこの夏に、新たなキャストを迎えパワーアップして上演されます。今回も出演者は2名のみ、演奏はピアノだけ。歌って踊って曲を書くボビー&ジミー兄弟を演じながら、映画会社の社長や秘書・演出家・司会者・スター女優など……次から次へと現れる登場人物、およそ10人もの人物をたった2人で演じます。

2022夏Season Cのメンバーは、数々のミュージカルや舞台に出演する林翔太さん、グランドミュージカルだけでなく映像の分野でも活躍する寺西拓人さん。さらに、前回公演で見事に演じ切り大盛況だった、伸びやかな歌声と自由自在な表現力が持ち前の原田優一さん、舞台を中心に多彩なジャンルで活躍する太田基裕さんのペアが今回も暴れ回ります。

今回THEATER GIRLは、原田優一さんと太田基裕さんにインタビュー。前編では、再演が決まったときの印象、お互いの素敵なところなどについて語っていただきました。

インタビュー後編はこちら

「お客さまが入ってやっと、この作品の醍醐味が分かった」

――再演が決まったときの、心境はいかがでしたか?

太田:素直に嬉しかったです。前回の公演のときに、楽屋で「もっくん、再演があるってなったら、どう思う?」と、原田さんに聞かれて。そのときにもうすでに楽しかったので、「やりたいですね!」という話はしていたんです。なので、それが現実となって、とても嬉しいなと思います。

原田:前回、稽古中はお互い顔面蒼白になるくらい大変だったんです。やることも多かったし、我々が初演だったこともあって。ふぉ~ゆ~の二人がいたハリウッドチームと我々がブロードウェイチームだったのですが、二つの部屋で別々に稽古していました。なので、お互いにどんな稽古をしているのか分からないまま、「こっちはこっちで大変だね」と言いながらも、向こうのチームに「どう? 大変だよね?」「お互いに頑張ろうね」と励まし合いながらやっていました。

前任者がいない中で、手探り状態だったといいますか、体力的に持つかも含めて、やることが多すぎて客観的に見られなかったんです。「どういう反応をしてくれるんだろうね」「これ面白いのかな?」というところから分からなくて。でもお客様が客席に入って初めて、盛り上がっているのを確認できたところから楽しくなってきました。

太田:お客様が入ってやっと、この作品の醍醐味が分かった感じがありましたよね。

原田:そうだね。

太田:こういうことか! と、合点がいったといいますか、いろんなことが確信に変わってきて。こんなに楽しんでもらえるなら、僕たちが一生懸命やるほど達成感があるし、「これ、またやりたいね」という感覚になりました。

原田:最後に駄目押しのように、二人がタキシードを着て歌い踊るんですけど、最初稽古場では「ここまでいる? もういいよね」「これだけやって、ここからまた歌って踊るの?」みたいな感じでした。でも、本番でそれをやって、お客様がスタンディングオベーションをしてくれて。稽古場でやっていたときは、頂上に辿り着くのか分からない山登りをしている感覚だったのですが、お客様が入ってから頂上に行ったときの設計が見えたので、そのときにようやく「もう1回やりたいね」となった感じですね。

アトラクションのように進む舞台「お客さまも観ているだけで、息が上がってくると思う」

――再演ということは、前回を超えなければいけないプレッシャーもあるかと思いますが、その点はいかがでしょうか?

原田:前回は、二人の息とお客様との一体感が、やっぱり劇場に出てから分かったところがあるので、今回はあの空気を知った上でもう一度練り直せるな、と。

太田:確かに。どこをどう丁寧に紡ぎ上げれば、さらに楽しんでもらえるかを分かっているというか。

原田:それを含めてもう一度洗い直しができればいいなと思いますね。

――どんなところがポイントになりそうですか?

原田:前回も元々もっくんのことは知っている状態で作ったけれど、今回はもっと知っているじゃない? お互いのこと。だからその状態でできるのが嬉しいです。

太田:この作品で難しいと思うのは、あざとくやってもおかしくなっちゃうところ。お互い知った仲だけれど、「どや!」となるのもまた違って。そのバランスみたいなものは、それこそ原田さんはとても上手なんですよね。だからその度合いは、ある意味、再演をやるときには難しいかもしれないですが、そのあたりは稽古でさじ加減を感じながらやれたらいいなという気はしますね。

「面白いでしょ?」というものを見せられても、面白くないときは面白くないじゃないですか。そのバランスが結構難しい。何だろうな、保守的になるのも嫌だしっていうのはあって。

原田:先日改めて前回の動画を見たとき、置きに行っているところがあるな、と思ってしまって。表でもバタバタでやっていいところを、あえてすごく丁寧にやっていたり。特に僕なんですけど、キャラクターがいっぱい出てくる舞台なので、「こうだよ」と伝えようとしすぎて、あまりにも丁寧にしすぎたところもあったと反省しました。

だからある程度、お客様を信じるといいますか。バタバタしながら進んでいっても、お客様は付いてきてくれるんだという確信ができました。むしろお客様はそれを求めているんだ、と。アトラクションのような感じですけど。

太田:不思議ですよね。表に出ているものが全てじゃないというのを感じるといいますか。一人がいなくなったら「裏で着替えたりしているんだろうな」と、お客様が重ね合わせながら観られるので、また一つ、この作品の面白さが分かるんですよね。

原田:お客様も観ているだけで、息が上がってくると思うんですよね(笑)。

太田:そうそう。「今日間に合う? ちょっと出てくるの、遅くない?」みたいな(笑)。

原田:なので、お客様にはぜひ体力をつけて観に来てほしいです。

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THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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