佐藤信長が語る役作りへの思い「実際に演じてみて新しく芽生えた感情がある」【シアダン vol.05】(前編)
THEATER GIRLが注目する“今知りたい若手俳優”へのインタビュー企画「シアダン」。第5回にお招きしたのは、舞台「レイルウェイ」滑川達也役や、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」白布賢二郎役などを演じている「佐藤 信長(さとう・のぶなが)」さん。
俳優業のほか、今年からは新感覚アーティストグループ・TFGのメンバーとして音楽活動もスタート。前編では、役者をはじめたきっかけや稽古中のエピソード、また、TFGメンバーとの関係性などについて、たっぷりとお話をうかがいました。
コンテストに落ちて火がついた
――まずは役者の仕事をはじめたきっかけについて聞かせてください。
大学のときに「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に参加して、最終審査直前くらいまで残ったんです。正直、自信もあったんですけど、落ちてしまって。それから逆に火がついたというか。
中学生のとき、黒板に「ギネスに載ること」「芸能人になる」って将来の夢を書いていたから、少しは意識してたのかもしれないですね。ただ、俳優っていう明確なものじゃなくて、そのときはチヤホヤされたかっただけだと思うんですけど(笑)。
とにかく、「この世界に入るためにはどうしたらいいんだ?」っていろいろ調べて、まずは養成所に入りました。それから今の事務所にお世話になった感じです。
――幼少期から役者を意識していたわけではなかったと。
実家が宮崎なんですけど、実は小学校低学年くらいの頃、母親と福岡に行ったときにスカウトされたんです。でも、そのときは「やらない」って拒否したらしくて。
たぶん、まだ友だちと一緒に遊びたいって気持ちが強かったんだと思います。そのときの後悔もあって、中学の頃の夢につながった気がしますね。
――すると、小学生の頃は活発な少年だったのでしょうか?
めちゃめちゃ外で遊んでました。小4からサッカーをはじめたんですけど、少しして友だちにバレーボールをやろうって誘われて掛け持ちすることになったんです。そんな状態で1、2か月した頃に、バレーの監督から「サッカーいつ辞めるんだ」って言われて(苦笑)。
それからはずっとバレーざんまいです。単純にバレーが楽しかったからですけど、結局12年続けました。
舞台の本番前は、絶対に共演者全員とハグ
――稽古場や舞台の本番前に行っているルーティーンはありますか?
当たり前のことではあるんですけど、稽古前にできるだけ早くセリフを頭に入れておくこと。稽古中は、先輩方のお芝居を見てプラスになるところを吸収させてもらってます。現場ごとに人が違うので、そのたびに新しい発見があるし勉強になりますね。
あと本番前は、絶対に共演者全員とハグします。緊張しちゃって落ち着かないので(苦笑)。「レイルウェイ」のときには、18歳の宇佐卓真くんにもハグして。「もういいよ~」とか言われながら(苦笑)。
――これまでの俳優人生のなかで、自分を変えてくれた体験や役どころはありますか?
一番刺激になったのは、僕の初舞台になった『露出狂』ですね。トリプルキャストだったんですけど、自分と同じ役なのに、ぜんぜん違う演技をする先輩2人がいたので、めちゃめちゃ真似しました。そのときは、まだ正直自分の演技プランとかはなかったですし(苦笑)。
それともう1つ、陳内将さんとの共演も大きかったですね。演出にはないのに、どんどん脱いでいってパンイチになったり、とても振り切った演技をされていて(笑)。初舞台で僕はすごく縮こまってたから、あんなふうにやってみたいなって。殻を破るって意味では、すごい刺激になりました。