加治将樹×竹内將人インタビュー『守銭奴ザ・マネー・クレイジー』「難しいと思わずに気軽に劇場に来ていただけたら」（前編）

2022.11.23

INTERVIEW

2022年11月23日より東京芸術劇場　プレイハウスを皮切りに『守銭奴ザ・マネー・クレイジー』が上演されます。

今年生誕400年を迎えるフランスを代表する劇作家、モリエールが生み出した傑作喜劇『守銭奴』を、ルーマニアの鬼才、シルヴィウ・プルカレーテ氏演出×佐々木蔵之介さん主演で届けられます。プルカレーテ演出×蔵之介主演は、2017年上演の「リチャード三世」以来、5年ぶりとなるベストマッチの最強タッグが実現しました。

主人公アルパゴン役の佐々木蔵之介さんをはじめ、硬軟自在の演技力が魅力でプルカレーテ作品には2度目の出演となる加治将樹さん、ロンドンで演劇を学び、ミュージカル・舞台を中心に活躍する竹内將人さん、しなやかで表現力豊かな大西礼芳さん、若手ながら独特の存在感と演技力をもつ天野はなさん、といったフレッシュな面々に加え、プルカレーテ作品に出演歴のあるベテラン勢、安定感のある演技力を生かして舞台、映画、TVドラマとジャンルを問わず活躍を続ける長谷川朝晴さん、ユーモアあふれる柔らかな雰囲気にするどい刃物のような演技力を秘めている阿南健治さん、変幻自在であらゆる存在になる表現力が魅力の手塚とおるさん、加えて、俳優として活躍しつつ、声優や演劇指導も行い、日本演劇界に欠かせない存在の壤晴彦さんといった、多彩なキャストが揃いました。

THEATER GIRLは、ヴァレール役の加治将樹さんとクレアント役の竹内將人さんにインタビュー。前編では、プルカレーテさんの演出を受けた印象やご自身の役柄について、たっぷりと語っていただきました。

あの空気感をもう一度味わえる

――本作への出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか。

加治：僕はプルカレーテさんの演出を受けるのは2回目なんですが、今回もお声掛けいただけてとても嬉しかったです。プルカレーテさんとまたご一緒できることはもちろん、あの空気感をもう一度味わえると思うと、すごく幸せな気持ちになりましたね。

――竹内さんは、今回オーディションで参加されたとのことですが。

竹内：リモートでのオーディションだったというのもあるのですが、プルカレーテさん自体あまり感情を表に出さない方なので、オーディション中もずっと反応がわからなくて。終わった後にマネージャーに「多分ないと思います」って連絡していたんです（笑）。それからの合格発表だったのでめちゃくちゃ嬉しかったですね。プルカレーテさんが帰国するタイミングで、何で合格したのか聞いてみたいと思います（笑）。

――本作は、モリエールの傑作喜劇『守銭奴』をプルカレーテさんが演出されますが、ストーリーとしての見どころや魅力はどんなところにあると思いますか。

加治：初めて観た時にすごく分かりやすくて、誰もが笑えるコメディだと思いました。これが1668年にできていたのは本当にすごいなと。2022年の今でも面白いので、お客様に対しても、とても分かりやすい作品になるだろうなと思います。ただ、プルカレーテ演出なのでどうなるのかなと。プルカレーテさんの作品は初日までどうなるか分からないんですよね。

竹内：プルカレーテさんもおっしゃられていたのですが、この作品はコメディア・デラルテというイタリアに昔からある喜劇にすごく影響を受けているようなんです。コメディア・デラルテは、今の世界中のコメディの元になっていて、本当にオーソドックスなんですよね。

プルカレーテさんから、「コメディア・デラルテにはこういったおじさんがいて、女の人を2人の男性が取り合って、こういうギャグがあって」と、最初のオリエンテーションで説明していただいて。作品も古典だしお笑いも古典なのに、今でも通じることがすごいなと感じました。でも、プルカレーテさんの演出が入ることによって、古典喜劇ということをすっかり忘れていて（笑）。それくらい魔法がかかっていると思います。

プルカレーテさんの演出は「すごくやりやすい」

――加治さんは、以前『真夏の夜の夢』でもプルカレーテさんの演出を受けられていますが、演出面での特徴や前回と変わったと感じたことはありますか。

加治：前回はリモート稽古だったのですが、今回は来日されて稽古初日からいらっしゃるので、そこが大きな違いだなと思います。プルカレーテさんはリモートだと、細かいニュアンスが伝わらないって、すごくストレスをためていらっしゃったんです。プルカレーテさんは自ら動いて演出する方なので、「今すぐそっちに行きたい」と1日20回ぐらいおっしゃっていました。だから、今回はすごく楽しそうにやってらっしゃいますね。本当はこういう演出をなさる方だというのを初めて体感できているので楽しいです。

――竹内さんは、実際にプルカレーテさんの演出を受けられてみていかがでしょうか。

竹内：すごくやりやすいです。僕は0から1を作り出すのがすごく苦手で、演出家さんによっては俳優を動かしてからいろいろ決める方もいらっしゃるんですけど、プルさんも、加治さんがおっしゃられたように、実際に動きながらやってくださるんです。それを受けて、自主稽古で消化させていく感じなので僕はすごくやりやすくて、効率よく芝居に向き合えています。

とてもチャーミングな人物に演出していただいた

――今回、加治さんはヴァレール役、竹内さんはクレアント役を演じられますが、役柄の印象と注目してほしいポイントはどんなところでしょうか。

加治：僕は、佐々木蔵之介さん演じるアルパゴンの執事になるのですが、アルパゴンの娘、エリーズと結婚するために、お父さんにどうやったら認めてもらえるか太鼓持ちしながら頑張っている役柄です。プルカレーテさんに、とてもチャーミングな人物に演出していただいたので、そこはぜひ注目して観ていただけたら嬉しいです。

竹内：僕は佐々木蔵之介さん演じるアルパゴンの息子クレアントを演じます。2人兄弟で僕が長男で、大西礼芳さんが妹のエリーズを演じられています。僕はドケチモンスターに育てられた青年で、お金はあるのに使えないという葛藤があって。さらにアルパゴンは怒りやすい人で、その圧制の中で育てられているのですが、恋をきっかけに今まで完全に君主だったお父さんに立ち向かっていくんです。そういったクレアントの成長ぶりを見ていただけたら嬉しいです。

取材・文：THEATER GIRL編集部

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