二葉勇・要が舞台の上で追い求めるそれぞれの答え「役者には正解はない」【シアダン vol.18】(前編)
――では次に、役者の仕事をしていて良かったと感じたり、やりがいを感じたりするのはどんな瞬間でしょうか?
要:僕が一番やりがいを感じるのは、カーテンコールでみなさんから拍手をもらう瞬間ですね。言わば正解が分からないお仕事なので、拍手の量でようやく「これで良かったんやな」「良いものが作れたんやな」と確かめられるんですよ。だからそこに至るまでは、やりがいというよりは、苦悩したり考えたりすることのほうが多かったりします。
勇:良かったなと思うことはある?
要:いっぱいあるけどね、仲間とも出会えるし。それに、人に伝えるということはどういうことかっていうのを、改めて考えられたし。それまでも、歌で伝えてきたつもりではいたんですけど、さらに深く理解できるようになったと思います。
勇:自分が良かったなと思うことは、役者って色々な人の考えがあって、正解がないんですよね。そこにプラスして、相手の芝居をしっかり受けて、何かを返していく。それまでは音楽しかやっていなかった上に、ずっとボーカルという立ち位置で、野球をやっていた頃も、ピッチャーでエースみたいな感じだったので、僕の中で「自分の考えが正解だろう」と考えてるところがかなりあったと思うんです。
――ボーカルも野球のエースも、自分で流れを作っていくことが多いですもんね。
勇:でもそうじゃないんだなって。役者をやるようになったことで、考え方が柔軟になったし、色々な人の考えを受け入れられるようになりましたね。前より心が広くなった気はします。それから、やりがいを感じるのは、芝居中に自分の“二葉勇”っていう人格が完全になくなったような感覚になることがたまにあるんですけど、その瞬間がすごく楽しいです。自分が役になり切れている手応えがあって、そういう時に一番やりがいを感じます。