入野自由インタビュー 『ブライトン・ビーチ回顧録』「不器用ながらも家族思いなスタンリーをチャーミングに演じたい」
――カンパニーの印象はどんなふうに感じていらっしゃいますか?
演出の小山さんがおっしゃってくださったのですが、無理した表現をしなくてもそれぞれ役の雰囲気が合っているなと思います。とてもいいチームになりそうな予感がすでにしています。
――よい雰囲気の中で、お稽古ができそうで楽しみですね。
素敵なカンパニーになると思います。こういう状況もあって、なかなか積極的にコミュニケーションを取りづらいのは正直ありますが、舞台のいいところは 1ヶ月くらい毎日顔を合わせられること。その中でどういうコミュニケーションを取っていけるのか、今からとても楽しみです。
面白い言葉選びが魅力の一つ、ニール・サイモンの個性をより近く感じられる
――公式HPで「いつか挑戦してみたいと思っていた、ニール・サイモンの戯曲」とコメントされていましたが、コメディ劇作家ニール・サイモンについてどんな印象を持っていらっしゃいますか?
日本語に訳されるとまたいろいろニュアンスが変わってくることがありますが、登場人物のやりとりや、出てくる言葉のセンスとか、そういうものに常に惹かれます。これをそのまま読めたらどんなに面白いか……。原文を読めない自分を恨んでしまうくらいです。
今回の『ブライトン・ビーチ回顧録』でも、そういった面白い言葉選びがたくさん出てきます。「なぜこういう言い方をしたのだろう?」とか、「それはどういう表現なのかな?」といった感じで、そういうところが魅力の一つだと感じています。
あとは、もう本当に登場人物全員が生き生きとしていて、愛らしくて。それこそスタンリーも、概要だけ見ると、結構ひどい人なんですけど……(笑)。でもきっと作品を観たら愛くるしい部分も見えてくるのではないかなと思っています。本作品を観ていただければ、ニール・サイモンがどういう作家なのか知っていただけるかと。
――一気にニール・サイモンの世界観に引き込まれそうですね。
はい、その通りだと思います。この舞台を観劇していただいて、『おかしな2人』などの有名な作品や、タイトルは知っていても読んでこなかったものなどに触れていくきっかけにもなったらうれしいです。僕もまだ読んだことのない作品がいっぱいありますし。
舞台で作品に携わると、その作家の個性がより近く感じられるので、今回『ブライトン・ビーチ回顧録』をやらせていただくことで、すでに知っている作品もこれからきっと違うふうに見えてくるのかなと思います。だからそういう意味でも楽しみですね。