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宮崎秋人インタビュー 舞台『ザ・ドクター』「ここで成長できなければ、今後未来はないかもしれない」(前編)

INTERVIEW

――台詞のやりとりの中に、裏の意味を含んでいそうな言葉が数々ありますよね。

だからこそ台詞で芝居しなければいけない難しさを今とても感じています。まだ本読みの段階ではありますが、求められていることが非常に高度だと感じています。

昨日美術に関して栗山さんから説明があって、どういう魅せ方で今回の作品を届けていくのか、そういった話も軽くありました。言葉の聞き方、聞いたうえでの言葉の発し方というのを繊細に作り込むのではなくて、毎公演、その瞬間ごとに生でしっかり感じていないとできない作品だなと感じています。今、目の前に立ちはだかっている壁はとても高いです。

分からないことを分かったふうにしない「むしろごまかさなくていい」

――今回の作品に挑むにあたって、稽古場でキャストの方から宮崎さんが受けている刺激があれば教えてください。

やはり大竹さんの凄さですかね。普段はふわっとしていらっしゃる印象なのに、お芝居が始まった瞬間ガラッと別人になられて。第一声喋り出した瞬間に、すっと自然に背筋が伸びました。

想像していたテンポ感ではなかったといいますか……。本番に向けてのものなのか、試しでやられていたのか僕にはまだ分からなかったのですが、考えてもいなかった音とスピードだったので、「そう来るのか……」と。多分僕以外の人も確実に飲まれたと思います。淳さんに対しても「あれ? 淳さん、普段そのスピードで本当に喋ってる……?」となりましたし(笑)。

一言目から「これで私行きます」という確固たるものを大竹さんから感じました。座長に付いて行くとか、引っ張られるとか、支えてもらうとかは今までにもありましたが、今回は気付いたらもう流れの中にいる気がして、それは初めての感覚でしたね。

でも本読みが始まる前は「この作品は分からない、難しいことがいっぱいある」とおっしゃっていて。本読みの後に翻訳の小田島さんに質問する時間があったのですが、質問によって台詞が理解できた後は腑に落ちている言葉と落ちていない言葉が明確になっていました。なので、ごまかせないし、むしろごまかさなくていいんだなと。

稽古の最初は、僕自身もあまり分かっていない台詞があって、それでも分かっているふうにやっていたのですが、それは必要ないと感じました。嘘を付いてはいけないと改めて今回痛感していますね。分からないことは教えてもらって、理解した後でしっかりと自分の言葉で喋る。栗山さんも稽古が始まる前に、一言目でそういうことをおっしゃっていたので、それを体現できる大竹さんとそれを求めている栗山さん。だからこのお二方はよく一緒にやられているのかと納得しました。そこは非常に刺激になりましたね。

以前シェイクスピアの作品をやらせていただいたことがあるのですが、固めな表現が多い古典戯曲は「こういう音でこういう読み方で相手に言ったら、お客さんに伝わる」という一種のテクニックがあります。ですが今回はその真逆で、栗山さんが要求されていることをきちんと自分のものとしてお芝居しないと、ここにいる意味がないなと思っています。でも不思議と焦りはないです。なぜか分からないのですが、もっと緊張すると思ったら意外と緊張していない自分もいるので、なんとか頑張れるのではないかなと。

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THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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