雛形あきこインタビュー ミュージカル『ハウ・トゥー・サクシード』 「今回のヘディは少しお姉さんらしい雰囲気になりそうな予感」(後編)
――本作は『ハウ・トゥー・サクシード』というタイトルですが、それにちなみまして雛形さんが今までの人生の中で「成功したな」と感じる瞬間がありましたら教えてください。
そうですね……。やはり芸能界入りしたときの話ですかね。本当はこの世界に入りたかったのは、私の友達だったんですよ。その友達と一緒に劇団に付いて行って、初めて受けたオーディションでたまたま受かりまして。何がよかったのか未だに分からないですが、今まで演技のレッスンを受けたこともなく、熱意があったわけでもなく、何も考えずに自由にやらせてもらって。「お芝居するのって楽しい!」と感じたのが、この世界に入ったきっかけでした。そんな無鉄砲な中学生の自分がいなかったらきっと今ここにいないと思うので、それが多分私にとって一番成功した瞬間だったと思います。
――自由に演じたそのときの経験が今に繋がっているのですね。
もう少し上の年齢でいろいろ考えちゃうような時期だったら、もしかしたら私はここに居ないかもしれないですね。「楽しい」と感じるところまで行けていなかっただろうし、オーディションにも通っていなかったと思います。 無責任な14歳の中学生だったからよかったのではないかなと。そのときに多分成功したんだと思います(笑)。
感動してくれているのが客席から空気感で伝わってくる
――雛形さんが舞台をやっていて幸せを感じる瞬間はどんなときですか?
直接反応が返ってくるのはやはり舞台ならではだと思います。お客さまが感動してくれている空気感は客席から伝わってくるので、そういうときは生でお芝居をやっているなと実感します。それはドラマでは味わえないことですよね。
あとバラエティー番組も収録でお客さんがいて笑っていても、実際に番組が放送されたときに視聴者の方がどんなふうに見てくれているかは分かりません。でも舞台は毎回、感動や笑いなど直接観てくれた人たちの反応が感じられるので幸せだなと。やっている方としてもやりがいをとても感じます。
――お客さまが感じていることが直に伝わる瞬間があるんですね。
はい、それは多分みんなそうだと思います。楽しんでくれているのはもちろん、感動して、ちょっと涙してくれているのも分かります。
だからゲネプロのときの冷たさといったら(笑)。あのときが一番客席との距離を感じちゃいます! ゲネプロから初日の幕が開いたあとは、「なんてお客さんって温かいんだろう」って(笑)。楽しみにしてくれていたんだなと直に伝わるので本当に嬉しいです。お客さまが声に出していなくても、役者なら誰でも感じていると思います。
――では最後に改めて、本作への意気込みをお願いします。
コロナ禍であるにも関わらず、また再演できることが本当に幸せだなと思います。貴重な時間を割いて観に来てくださる方たちにとって少しでもストレス発散や楽しみな時間になれば。前向きな気持ちになってもらうことで、日々の活力になったらいいなと思います。それを楽しみに私も頑張ろうと思うので、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです。
取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:くさかべまき
公演概要
ミュージカル「ハウ・トゥー・サクシード」
脚本:エイブ・バローズ、ジャック・ウェインストック、ウィリー・ギルバート
作詞・作曲:フランク・レッサー
原作:シェパード・ミード
演出・振付:クリス・ベイリー
翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:荻野清子
演出補:荻田浩一
出演:
増田貴久 唯月ふうか 松下優也 雛形あきこ 黒須洋嗣 林愛夏 ブラザートム
/春野寿美礼 石川禅
青山航士 武藤寛 風間由次郎
大村真佑 工藤広夢 坂元宏旬 柴原直樹 MAOTO 松本和宜 りんたろう
天野朋子 熊澤沙穂 咲良 田口恵那 笘篠ひとみ 米島史子
公式サイト:https://howtosucceed.jp
チケット一般発売:2021年11月6日(土)
【東京公演】
2021年11月20日(土)~12月7日(火)
会場:東急シアターオーブ
【大阪公演】
2021年12月14日(火)~16日(木)
会場:オリックス劇場
企画:シーエイティプロデュース
製作:東京グローブ座/フジテレビジョン/シーエイティプロデュース
ストーリー
ビルの窓ふき清掃員フィンチ(増田貴久)は、ある日「努力しないで出世する方法」という本を読んで感化され、出世を強く意識するようになる。“入るべきは大企業”という本の教えに沿って、ワールドワイド・ウィケット社に飛び込んだフィンチは、偶然出会った社長のビグリー(石川禅)に直談判。そんな彼を一目で気に入った秘書のローズマリー(唯月ふうか)は友人である秘書のスミティ(林愛夏)とともに何かと世話を焼く。人事部長のブラット(黒須洋嗣)に社長の関係者だと勘違いされたフィンチは首尾よく入社、トゥインブル(ブラザートム)が郵便室長を務める郵便室に配属される。そこには社長の甥で出世を狙うバド(松下優也)がいた。本の教えに沿って行動するフィンチは、社長秘書のミス・ジョーンズ(春野寿美礼)にも気に入られ、ヘディ・ラ・ルー(雛形あきこ)という専属秘書も付き、出世はトントン拍子。ローズマリーとの恋も上手く運んで、全てが順調…だったある日、重大なアクシデントが発生。果たして、フィンチの幸運もこれまでなのか…!?