植原卓也、上田堪大インタビュー ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』「今のまま切磋琢磨できれば、いい意味での比較をしてもらえるはず」(前編)
――現在、稽古場で難しいなと感じていることはありますか?
植原:僕が感じるのは、新作ということもあって演出家の石丸さち子さんが、とにかくまずは土台というものを完成させたいのかなと。そういう意味で、稽古が進むのがとても早いんですよ。まだ本稽古が始まって一週間くらいなのですが、一旦今日でほぼ全部終わりそうでして。そこに食らい付いていくのは、なかなかきついので、体力的にはもちろんいろいろな面で大変かもしれません。もちろん石丸さんもとてもハードだと思います。
当たり前ですが、即興で求められるものもすごく大きくて。本作品において、シンは半分原作通り、半分オリジナルのキャラクターなんです。原作は正解がありますが、半分は正解がまだ分からなくて。そこが石丸さんと一緒に作っていく中での課題になっているなと感じます。昨日の稽古も初めてやる場面だったのですが、原作にはないシンのアクションシーンがたくさんありまして。石丸さんが「そのシーンは、そうじゃないでしょう」と都度言ってくださるのですが、ちょっとまだ今は正直分からない……と素直に思ってしまいましたね(笑)。これからディスカッションをしっかりしていかなければいけないと本当に心から思いました。でも、それくらい大変なことをやるんだよなとも感じています。
――お稽古場でもまだ探りながら役を作っている最中ということでしょうか?
植原:そうですね。石丸さんの言うことが理解できないというわけではなくて、石丸さん自身もシンを描いた人ではないので探られている段階だと思うんです。多分稽古場の空気感や、出来上がっていくものに対して「違うな」と思ったことを直感的におっしゃってくださっていて。そこを臨機応変にやっていくのがシンを追求するうえで大事なことかなと思っています。
他のキャストの方はわりと原作通りの部分が多いのですが、シンは舞台のオリジナルキャラクターではないものの、原作にはない要素が結構強くて。そこをどうやって解釈していけばいいか、堪大と話し合いながら挑戦しているところです。
――上田さんはいかがでしょうか。
上田:今はまだ動きを覚えることに手いっぱいでして……。実を言うと、僕は稽古場に行くことですら、まだ緊張しているくらいなんです。初めてグランドミュージカルに出演するので、初めましての方々ばかりですし、僕が普段やっている歌や芝居とは動き一つ取っても全然違うんですよね。
たっくん(植原さん)がやっているシーンや、他の方の芝居を見ていて「こういう動き方をするんだ」と、日々勉強しています。自分が今までやってきたものとグランドミュージカルにおいての芝居の違いをどう自分に落とし込んでいけるかなと考えています。その中で、たっくんが先ほど言ったように本当に進みが早いので大変です。
あとは、やっぱり大事だなと思ったのが鏡ですね。振付や殺陣の確認もそうなのですが、僕は鏡を見て覚えていたので、鏡が使えないときはどうしていこうかなと。いろんなことが自分の中で新鮮であり、斬新でありという感じです。動きに関してはもちろん、毎回何かあれば必ず二人で話し合っています。それができるので今は平常心でいられますが、これがもしシングルキャストだったら……と考えると、本当にどうなっていたのかなという感じです(笑)。
取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)
公演概要
ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』
【東京公演】
2021/12/8(水)〜12/29(水)
日生劇場
【大阪公演】
2022年1月8日(土)・9日(日)
梅田芸術劇場メインホール
【名古屋公演】
2022年1月15日(土)・16日(日)
愛知県芸術劇場 大ホール
※2022年秋中国ツアー公演あり
原作:漫画「北斗の拳」(原作:武論尊 漫画:原 哲夫)
音楽 :フランク・ワイルドホーン
演出 :石丸さち子
脚本・作詞:高橋亜子
キャスト:
ケンシロウ:大貫勇輔
ユリア:平原綾香・May’n(Wキャスト)
トキ:加藤和樹・小野田龍之介(Wキャスト)
シン:植原卓也・上田堪大(Wキャスト)
リュウケン他:川口竜也
トウ・トヨ:白羽ゆり
マミヤ:松原凜子
レイ/ジュウザ:伊礼彼方・上原理生(交互で役替わり)
ラオウ:福井晶一・宮尾俊太郎(Wキャスト)
バット:渡邉 蒼
リン:山﨑玲奈・近藤 華(Wキャスト)
リハク他:中山 昇
青年ラオウ他:一色洋平
ライガ他:後藤晋彦
フドウ他:澄人
フウガ他:田極 翼
青年トキ他:百名ヒロキ
ダグル(※オリジナルキャラクター)他:宮河愛一郎
ミスミ他:安福 毅 他