山本一慶×和合真一インタビュー 『夏の夜の夢』 「皆さんに届けたい思いが詰まっている作品」(前編)
――シェイクスピア作品に参加するのが初めてのキャストも多いと聞いていますが、山本さんご自身はどのような『夏の夜の夢』を創り上げようとイメージしていますか?
山本:舞台装置を動かすなどの大掛かりな演出は考えていなくて、『夏の夜の夢』という作品が本来持っている魅力を、役者の演技の質と芝居の密度でお客様にストレートに伝えられるような作品にしたいと考えています。
――歌って踊れるキャストが揃っていますが、そういった演出が入る予定は?
山本:それはないですね(キッパリ)! さっきも言ったように、今回はお芝居に重点を置いた演出をして、脚本を尊重して創っていく予定です。そういったエンターテインメント的要素を入れていくのは、僕が演出家としてもっと経験を積んでから、様々な引き出しを増やしたうえでいずれ出来たらいいかなとは考えていますが、それは「今」ではない。
――でも、これだけのメンバーがそろっていて、歌もダンスも封印してしまうのはもったいない気がします。
山本:確かにそうですけど、まずは原点回帰でキャストの皆さんにもシンプルにお芝居を楽しんでいただきたいなという想いがあります。その考えに至った理由として、『夏の夜の夢』という作品が書かれた時代は災害が多く、今まさにコロナ禍で僕たちが不安を抱えている状況に近かったという背景があります。シェイクスピアは本作のラストで希望の言葉を残しているのですが、それが今の時代にちょうど合っているなと僕は思ったし、このタイミングだからこそ『夏の夜の夢』を上演する意味があるのではないかとも思いました。コロナで不安な気持ちでいる方たちを、エンターテインメントの力で少しでも笑顔に出来たら・・・・・・。そのメッセージを伝えるためにも芝居をしっかりと構築して、会話劇としての密度、登場人物たちの心のやり取りに重点を置いた作品にしたいです。
カンパニーとしてひとつの方向に向かっていけそう
――本格的な稽古はこれからと伺っていますが、ハーミアを演じる澤田雅也さん、ライサンダーを演じる松本幸大さんとは、もうお会いになりましたか?
(※インタビューは11月末に行われました)
山本:ビジュアル撮影に立ち会った際にご挨拶をさせていただきましたが、その時はバタバタしていてゆっくりお話しする時間がなくて、昨日改めてお会いしてお話をさせていただきました。二人ともすごく真面目で「この作品に全力で取り組もう!」という姿勢が伝わってきました。初のシェイクスピア作品に緊張しているようでしたが、カンパニーとしてひとつの方向に向かっていけそうな前向きなお話も聞けて、充実した時間が持てたと感じましたね。
取材・文:近藤明子
Photo:比留川義一
公演概要
舞台『夏の夜の夢』
【名古屋公演】
2021年12月18日(土)、19日(日)
名古屋市芸術創造センター
【東京公演】
2021年12月22日(水)~26日(日)
東京芸術劇場シアターイースト
原作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:山本一慶
キャスト:
ハーミア:澤田雅也(関西ジャニーズJr.)
ヘレナ:安井一真
ライサンダー:松本幸大(ジャニーズJr.)
ディミートリアス:和合真一
シーシュース&蜘蛛の糸の妖精:深澤大河
ヒポリタ&豆の花の妖精:大崎捺希
パック:谷水力
オーベロン:八神蓮 タイテーニア:KIMERU ほか
公式サイト:https://artistjapan.co.jp/a_midsummer_nights_dream_2021/