高杉真宙インタビュー 「ライフ・イン・ザ・シアター」「緊張感を面白おかしくもきちんと芝居に生かせたら」(後編)
2022年3月3日から新国立劇場 小劇場にて「ライフ・イン・ザ・シアター」が開幕します。
本作は、現代アメリカ演劇界を代表する劇作家、デヴィッド・マメットが 綴る2人芝居。「劇場」を舞台に、芝居に生きる俳優の悲喜こもごもを描いており、1977年、シカゴでの初演以降、ブロードウェイはじめ世界各地で上演され続け、数々の名優によって演じられてきました。日本では16年ぶり3度目の上演となります。
舞台上や楽屋裏、出番直前の舞台袖や衣裳部屋など、劇場の中の様々な場所で繰り広げられる、2人の俳優たちの会話や日常を切り抜き、90分で描くオムニバス風ヒューマンドラマとなっており、時に切なく、時にクスッと笑える、月日の流れと共に変わりゆく「世代もキャリアも違う二人の俳優」の心情を描いています。
ロバートを務めるのは、その確かな演技力でコミカルな役からシリアスな役まで演じ分ける勝村政信さん。また、ロバートを慕い、日々役者として様々なアドバイスを受ける若手俳優のジョンを演じるのは、ドラマや映画、舞台など様々な作品に出演し、着実に急成長を遂げている若手注目株の高杉真宙さん。
THEATER GIRLは、ジョンを演じる高杉真宙さんにインタビューを敢行。インタビュー後編では2人芝居の難しさや面白さ、高杉さんが役者として成長したと感じる瞬間や今後舞台でやってみたい演目など、たっぷり語っていただきました。
2人芝居で難しいと感じるのは「分量が多いところ」
――2人芝居のどんなところに難しさや面白さを感じられますか?
2人芝居で難しいなと感じるのは、純粋に分量が多いところですね。90分間を2人で演じなければいけないので、純粋に割ると45分と45分。ただ、最初に台本を読んで衝撃だったのが、ロバートの方が台詞量はめちゃくちゃ多いんですよ。「勝村さん、ものすごく喋るな」と思って読んでいました。
なので、55分と35分くらいに分量が変わってくるかもしれないです。純粋にそれくらいずっと2人で喋らなきゃいけないので、やっぱりそこは2人芝居で大変な部分だと思います。面白いところは、演者が2人しかいないのでガッツリと濃くお芝居ができるところですね。
いわゆるお芝居ってみんなで作るものなので、キャストだけではなく、スタッフさん、衣裳さん、メイクさん、美術さん、音声さんなど、いろいろな方がいて、それをまとめたのが本番だと思うんです。だからある種、総合芸術という括りになっているんだなと。
でも、今回はキャストが2人しかいないので、演技の面だけでいうと濃密にやりとりできる面白さはあると思います。やっぱり人数が多ければ多いほど、いろんな兼ね合いの中でやっていかなければいけない部分も出てくるので。
今回は、この人の間と自分の間、あの人の間とあの人の間というものがないというか。2人だけの間やテンポを1ヶ月できる面白さが、やっぱり全然違うところかなと思いますね。その分、頼れるのが自分と勝村さんだけの世界になっちゃいますが、だからこそ面白いと思います。
――前半と後半の日程では、違う感情やお芝居になっているかもしれないですしね。
そうですね。僕も未だに何が正解か分からないし、稽古までに出来上がったものが本番で変わっていくのもいいと思うし、完全に出来上がってからずっと変わらないのもすごいと思うし、どちらも素晴らしいと思っています。でも僕は、毎日やっていれば何かしら変わるものなのかなと思いますね。
前作で感じ取ったことを試せることが楽しみ
――この作品に参加することで、個人的に楽しみにしていることや自分なりの課題にしようと思っていることはありますか?
今回、約1年ぶりの舞台になるんですけど、前回が柄本明さんと藤原竜也さんと佐久間由衣さんと僕の4人舞台で。そのときに皆さんのお芝居を見ていて、めちゃくちゃ刺激を受けたんです。
やっぱり皆さんの素晴らしい演技を見るのって楽しいですし、それぶりの舞台という意味では、前作でどんなことを感じ取ったのかが分かると思うので、それを試せることがすごく楽しみです。
――今回、特に課題にしていることはありますか?
課題は今のところはまだ分からないです。2人芝居は本番で何が起こるか分からないので、できるだけ仕上げていきたいなと思っています。特に、今回はどんなことが起きても対応できる能力を身に付けられたらいいなと思いますね。 それは仕事を始めてからずっと思っている部分ではありますが、作品によっては完全に決め打ちでやることもあったりするので。ただ、今回はそれが生きる場面だと思うので、また一つ学んでいきたいなと思います。