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松下洸平、白洲迅、木下晴香ら出演。音楽劇『夜来香ラプソディ』ゲネプロレポート!

REPORT

2022年3月12日(土)より、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、cube 25th presents音楽劇『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』が開幕する。

本作は、租界という治外法権が存在し、“魔都”とも呼ばれた中国・上海を舞台に、繰り広げられる群像劇。『別れのブルース』、『蘇州夜曲』などのヒット曲を世に送り出した新進気鋭の作曲家・服部良一を中心に、人種やイデオロギーの壁を乗り越えてコンサートを開催しようとした人々の“葛藤と夢”を描く。

作は「ハイパープロジェクション演劇ハイキュー!!」シリーズなどを手がける劇作家・入江おろぱ。演出は、2017年公演の音楽劇『魔都夜曲』に続いて上海歴史劇に挑戦する演出家・河原雅彦、音楽は『魔都夜曲』同様、J-POP屈指のプロデューサーであり、作曲家でもある本間昭光が務める。至極の服部メロディーをはじめ、本作のオリジナル曲をくわえた音楽劇として、ドラマティックかつエンターテイメント性豊かな作品となっている。

主人公・服部良一役に松下洸平、中国人の若手作曲家・黎錦光(れいきんこう)役に白洲迅、日中で人気を博した伝説の歌姫・李香蘭(りこうらん)役に木下晴香、そのほか、壮一帆、上山竜治、夢咲ねね、仙名彩世、山内圭哉、山西惇ら豪華メンバーが名を連ねる。

今回は先立って行われたゲネプロの様子をお届けする。

※公演内容に一部触れています。

時は1945年。軍から招集を受け、上海に渡ってきた作曲家・服部良一(松下洸平)が上海グランドシアターで指揮棒を振る。

「このようなご時世の中、コンサート『夜来香ラプソディ』にお越しいただき本当にありがとうございます」

2022年の現在ともリンクさせる服部の挨拶から舞台は始まる。

第二次世界大戦末期の厳しい時代。

それでも人々が芸術を求める気持ちは止められない。音楽はいつだってそばにある。

そんな服部の熱い思いから、本作のオリジナル曲『希望の音』が響き渡る。李香蘭(木下晴香)の透き通った歌声から始まり、キャストらが勢揃いする。

どうしてこの音楽会『夜来香ラプソディ』が開催されることになったのか。

彼らがどんな思いで、この舞台に取り組んでいるのか。

そこに至るまでの道のりを振り返りながら、同時にコンサートが進んでいく。

租界と呼ばれる治外法権の社交場では、戦時下とは思えないほど、夜な夜な音楽が演奏され人々が楽しんでいた。

そこで、『夜来香』を作曲した中国人作曲家・黎錦光(白洲迅)、日中で大人気の歌手・李香蘭と服部は知り合う。

音楽を愛する気持ちは国が違えど共通。彼ら三人は意気投合し、屋台で酒を酌み交わしながら、語り合い歌い合った。

そこに、憲兵隊隊長・長谷部弘一(山西惇)が立ちはだかる。「国民が我慢を強いられている中、音楽という嗜好品を楽しむなんてくだらない」と言い切るのだ。それでも服部は音楽の必要性を信じてやまなかった。

そんな折、服部を上海に呼んだ人物、山内圭哉演じる陸軍報道班少佐・山家(やまが)亨が、彼らを中心に大規模なコンサートを開こうと企画する。日本人も中国人もそれ以外の国の人々も集うことができる、人種、イデオロギーの壁を越えたコンサートだ。

最初は山家の思惑が見えてどうも納得できなかった服部だが、皆がどんな思いでこのコンサートに懸けているかを知り、絶対に成功させようと決意する。

だが、それは一筋縄では行かない挑戦だった。日本軍、中国国内の政治思想、上海の裏社会など、さまざまな勢力が絡み合い、多くの困難が待ち受けていたのだ。

それでも音楽への情熱を強く持ち続け、東洋一と称されたダンサー・マヌエラ(夢咲ねね)、上海陸軍報道班中尉・中川牧三(上山竜治)らと共に、コンサートの実現へと向かっていく。

それぞれの信念を持って、音楽と人生に向き合っていく服部良一、黎錦光、李香蘭。互いをリスペクトしあいながら友情を深めていく、三人の美しい関係性にも注目だ。

さらに、壮一帆演じる男装の麗人・川島芳子、仙名彩世演じる李香蘭の幼馴染・リュバも登場し、二幕への伏線を置いていく。

国境を越えて、音楽の力で絆を深め合いながら彼らはどうやって『夜来香ラプソディ』を開催させたのか。二幕ではさらに衝撃的な出来事が起きる。

臨場感あふれる生バンドの演奏とともに、実力派のキャストたちが織りなす歌、ダンス、芝居……と全てが楽しめるエンターテイメント群像劇となっている。現在の社会情勢を想起させるタイミングでの上演にも驚かされた。

「こんなときだからこそ、音楽が必要だ」

そんな服部の台詞が頭の中に残る。

まさにこんなときだからこそ、実際に劇場で味わってほしい作品だ。

文・撮影:矢内あや

コメント

服部良一役:松下洸平

まずは、こうして無事に初日を迎えられることが、今のこの時世にありがたいことです。 我々はしっかり感染予防対策をして、 お客様に楽しんでご来場頂けるよう、最善を尽くしていきたいと思います。

1945年6月の物語ですが、輝かしい経歴をお持ちの音楽家で指揮者の服部良一さんが、上海で音楽の可能性を求めて、 黎錦光や李香蘭など支えてくれる人々と共に、 時世と戦い駆け抜けていく物語です。 我々自身も 色々なものと戦いながら演劇を続けている最中、 今のご時世と非常にリンクする部分も多いので、 初日を迎えた時に、 お客様そして我々がどう感じるのか非常に楽しみです。 沢山の登場人物の中に、 それぞれにすごく濃い 物語が詰まっています。 そして生バンドで素晴らしい演奏が聴けます。 ジャズや皆さんも良くご存知の歌謡曲も沢山出てきますので、笑って泣いて、芝居と音楽を楽しんで頂けたら嬉しいです。

黎錦光役:白洲迅

舞台の中のセリフにもあるのですが 「いよいよ始まるな」という気持ちです。 この”有事” に行われる舞台ということ で、どうしても今と重ねてしまう部分もあるのですが、そこはしっかりプラスに捉えて作品にも良い作用をもたせられるように、そういう気持ちで臨んで、 お客様にも楽しんで頂けたらと思います。 僕自身は作品のタイトルにもある黎さんが作曲した「夜来香」を頼りに、 稽古場でも黎錦光という人物像を創っていきました。 「夜来香」 はとても繊細で儚くて懐かしさがあって、 あの繊細さはやはり黎さんの人となりが創ったのかなと思います。 稽古場で、 服部、 黎、 李香蘭3人が、 屋台で飲むシーンの稽古の時に、休憩に入ってもそのままそこで話し続 けていたあの瞬間が、すごく心地くて楽しくて、 僕らと役が一気にリンクした瞬間だったなと思い出します。 ものすごく大変な時代に生きていたことを、いかに僕らが熱量高く演じられるか、それを大事思って演じていきた いと思います。

李香蘭役:木下晴香

李香蘭さんは映像や音源が多く残っている方ですが、今回の舞台では表に立っていないオフの彼女の姿を描く部分も多いので、あまりイメージにとらわれすぎず、この舞台ならではの李香蘭を創っていけたらと思っています。台本を読み進めていくうちに、彼女の核になっているものは本当に「歌」なんだと強く感じ、 彼女にとって歌う こととはどんなことなのか、それを大切に演じていきたいと思っています。

お稽古はマスクをしている状況でしたが、劇場稽古に入って初めてキャスト皆さんのお顔を全部見ることができ ましたので、本番に向けて更に深めて行けたら良いなと思います。 千穐楽までより良い舞台を日々お届けできるように精一杯頑張ろうと気合を入れ直しているところです。 それぞれの登場人物の生き様が濃く深く描かれ、それが融合して今の時代の皆さんにも響く作品となっていま す。 是非ご期待ください。

公演概要

cube 25th presents音楽劇『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』

演出:河原雅彦
音楽:本間昭光

出演:松下洸平 白洲 迅 木下晴香 壮 一帆 上山竜治 夢咲ねね 仙名彩世 山内圭哉 山西 惇 他

【東京公演】
2022年3月12日(土)〜3月27日(日)
Bunkamuraシアターコクーン

【名古屋公演】
2022年4月3月(日)
日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

【大阪公演】
2022年4月7日(木)〜4月10日(日)
サンケイホールブリーゼ

【長岡公演】
2022年4月16日(土)
長岡市立劇場

企画・製作 株式会社キューブ
公式HP https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/cube25thpresents

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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