一路真輝インタビュー 『キオスク』 「今は舞台に立っているだけで幸せ」
INTERVIEW
――先月まで、舞台『Op.110ベートーヴェン「不滅の恋人」への手紙』に出演されていましたが、今作と同じウィーンが舞台ではありますが、役の切り替えはどのようにされてらっしゃるのでしょうか?
私は不器用なので、あまり器用には切り替えられないんですね。ただ、石丸さんはなんでも言ってくださるので、もし役を引きずっていたら言ってくださると思いますし、リーディングのときもそうだったんですけど、私にはわからない自分を引き出してくださるので、お力をお借りしてキャラクターを変えていきたいと思っています。
『キオスク』のリーディング版のときも、お母さんの役をやりながら、他の役も何役かやらせていただいたんですが、そういう切り替えと、2ヶ月間没頭していた役から切り替えるのとは、やっぱりちょっと違うなとは思います。幸いにも初日までまだ日にちがあるので、これから頑張ってお母さんを創っていきたいなと思います。
――リーディング版で一度演じられていても、役作りのアプローチは変わるものですか?
リーディング版のときは、短い稽古時間ではあったんですけど、石丸さんと、「お母さん役は、普段の一路さんが創る役柄じゃないよね」みたいな話はしてたんですね。宝塚歌劇団時代を含めて、貴族など高貴な役柄が多かったので。
ただ、『キオスク』では、土着的に生きてきたお母さんという役柄なので、いろいろと考えながら稽古をして、本番を重ねる中で見えてきたものが一つあったんです。一度ベースを創った安心感がどこかにあったんですが、前作で違う世界に行っていたので、今は感覚を戻しているところです(笑)。