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翼 和希インタビュー 『レビュー 夏のおどり』「その時にしか生まれないエネルギーをOSKで感じていただきたい」(後編)

INTERVIEW

2024年8月7日(水)より東京・新橋演舞場にてOSK 日本歌劇団『レビュー 夏のおどり』が上演されます。

1922年に大阪で誕生したOSK日本歌劇団。日本のレビュー文化を牽引し、今年で劇団創立102周年を迎えました。1928年には東京進出を果たし、2014年には新橋演舞場で初めての公演を行うなど東京でも多くの観客から愛され続けています。

そしてこの度、本公演でトップスターの楊琳さんと娘役トップスターの舞美りらさんがラストステージを迎えることとなりました。2人の門出となる本公演は、“ダンスのOSK”の呼び名に相応しい和と洋の二本立てのレビューが届けられます。連続テレビ小説『ブギウギ』で、趣里さん演じる主人公・スズ子の先輩である橘アオイ役としてお茶の間を魅了し、蒼井優さんとの共演も評判を呼んだ翼 和希さんをはじめ、多才な劇団員が揃い公演を盛り上げます。

今回、THEATER GIRLは翼 和希さんにインタビュー。後編では、本作の見どころや歌劇への思いなどを熱く語っていただきました。

インタビュー前編はこちら

久しぶりの客席降りに期待

――本作で特に注目してほしいシーンはありますか?

日本物のショーがすごく久しぶりなのですが、その中でもチョンパが大好きで。初めてOSKを観たのもチョンパで日舞のショーの幕が上がったんです。真っ暗なところから『よーいやさー』とに華やかな世界にグッと引き込まれる感じが、夢の世界に連れていってもらえたような感覚になって。それが最初にあるので、お客様にとっても幸せな瞬間なるのではと思います。

今回は、コロナ禍でできていなかった客席降りもあるので、さらに身近に感じていただけたら嬉しいです。懐かしいとまではいかないですが、久しぶりなのでありがたいですね。今まで当たり前だったことができなくなって、再びそれができるようになったときに「当たり前に思ってしまっていたな」と気づくことも多かったので。

それもあって、コロナ禍が一概に良くなかったとは言い切れないなと。もうあの生活はしたくないですが、舞台に立てることは当たり前ではなく、どれだけの方に支えていただいているのか、改めて考える機会になったという意味では感謝している部分もあります。

民謡メドレーは、“ザ OSK”な感じで激しく踊っているので、日舞の可能性がすごく広がると思っています。日舞をご覧になったことがない方にとっては「静かな踊りで難しいのかな」と身構えてしまう部分があると思うのですが、OSKの日舞はリズミカルな音楽に合わせてお着物でステップを踏むので華やかで楽しいと思ってもらえるはずです。ノンバーバルショーと言いますか、客席でOSKを浴びられるような感じになると思います。

それと、日舞では立ち回りがとてもかっこいいんです。今回殺陣の先生に入っていただいて、みんなで立ち回りをしています。松竹座の時に「女性の方がやっていると思わなかった」という感想をいただいたのがすごく嬉しくて。激しくて早くて、型で見せるというよりは本当に切り合いをしているような感じで。躍動感のあるすばらしい動きに音響・照明が合わさって、総合的な画がとても綺麗なんです。「さっきまでにこにこ民謡メドレーを踊っていたのに、今は刀を振り回してる!」みたいな、変化を感じていただけると思います。

OSKは早変わりも多くて、急いで着替えて違う役として出るということもあるので、一回目で「ちょっと気になるかも」という役者をロックオンして、もう一度観た時に「ここにも出ていたんだ」というようなコアな見方もできるので、早変わりも見どころの一つだと思います。

さらに、(NHK朝の連続テレビ小説)「ブギウギ」の舞台シーンの再現もあります。ドラマの中と同じ「胡蝶の舞」をそのままやる部分もあるので、昭和から令和に一気にタイムスリップしたような感覚にもなっていただけるはずです。

「ブギウギ」では放送されなかったけれど、もしかしたら続きはこういう展開だったのかもしれないという見方もできると思いますし、朝ドラをきっかけにOSKをご覧になる方は「この曲知ってる!」と思っていただけるのでは。朝ドラの放送が終わってから半年ほど経ちますが、今でも「舞台シーンが良かった」と言ってくださる方も多いですし、ぜひ生で観ていただきたいです。7分超えの『東京ブギウギ』も見どころで、アレンジがおしゃれで歌って踊って、盛り上がっていただけると思います。

歌劇はクラシックの曲とも相性がよく、アレンジしてダンスに取り入れて踊ることもあるので、初めての方にも「歌劇ってこんな感じなんだ」と知っていただける機会になると思います。全てが見どころですね(笑)。

――「ブギウギ」でも、今回第2部で演出を務める荻田先生が舞台演出を務められていましたね。

荻田先生、大好きです。本当に愛情を込めてOSKのことを勉強してくださって、リスペクトを持って一人一人を見たうえで組み立ててくださっています。本当にあたたかい方です。

「ブギウギ」をきっかけに観劇するお客さんが増加

――NHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」のお話が先程も出てきましたが、放送から半年たった今でも、熱は感じられますか。

そうですね。「ブギウギ」をきっかけにOSKや歌劇を知った方が、観劇だけではなくいろいろなイベントに来てくださることもあります。「ブギウギ」の作品力が素晴らしかった結果だと思っていますし、OSKのことを知っていただけたからには、次は継続して「もっと観てみたい」と思っていただける方を増やすことがこれからの使命だと思っています。今はやっと、スタートラインに立てた感じなので、みなさんのことを掴んで離さないという気持ちで!(笑)

――それでは最後に本公演を楽しみにされている方や歌劇に興味があるという方に向けて、メッセージをお願いします。

まずは、OSKという舞台を一度観ていただきたいです。舞台をたくさん観劇されている方でも、歌劇は特殊な世界で「ここに足を踏み入れるのが……」と悩んでいる方がいらっしゃったら「一度来てみて、絶対楽しいよ」ということをお伝えしたいです。

102年の歴史のなかで積み上げてきた、今のOSKの公演を観ることで何かを感じ取っていただけたら嬉しいです。私たちも舞台でその人物を生きて、その場面が終わったらその役は一度で終わりという考え方で、常に全力でやっています。それを生で観ていただいて、その時にしか生まれないエネルギーをぜひOSKで感じていただきたいと思っています。

取材・文:THEATER GIRL編集部
Photo:TATSUYA ITO

インタビュー前編はこちら

公演概要

OSK日本歌劇団 『レビュー 夏のおどり』

会場: 新橋演舞場
日程: 2024年8月7日(水)~11日(日)

ご観劇料(税込):
S席(1・2階)10,000円
A席(3階)  5,500円
 
キャスト:OSK日本歌劇団

公式サイト:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202408_osk/

THEATER GIRL編集部

観劇女子のためのスタイルマガジン「THEATER GIRL(シアターガール)」編集部。観劇好きの女子向けコンテンツや情報をお届けします。

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