笹本玲奈インタビュー ブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』 「舞台に立つ原動力は“新しい自分を見つけられる期待感”」
――今作では、フランク、チャーリー、メアリーがかつて親友だったという設定ですが、笹本さんにとって、高め合える同士のような役者の方はいらっしゃいますか?
今作の3人組みたいに、20年間ずっと一緒だったという人はいないのですが、今までWキャストやトリプルキャストで作品に出演することが多かったので、やっぱり同じ役をやられていた方は、すごく刺激になっていたと思います。そういう存在がいたからこそ、「もっとこうしてみよう」「あそこを真似してみよう」という風に、自分を高めることができたのではと思いますね。
――やっぱり稽古中は、同じ役の方を意識して見るような感じなのでしょうか?
基本的には、ずっと同じ稽古場にいるので見ていますね。多いときは、一つの役を4人で回すこともあったので、そうなると自分が稽古をする時間よりも、同じ役の方を見ている時間の方が長いんです。でも今思うと、それはとても必要な時間だったと思います。
――同じ役のキャストの方を見て、影響を受けることも多いのでしょうか?
ミュージカル『マリー・アントワネット』では実際に、花總まりさんとWキャストをやらせていただいて、本当にたくさんのことを勉強させていただきました。それこそ、所作もそうですし、真似できることとできないことがあるので、限界があるとは思うのですが、もしこのマリーという役をシングルキャストでやっていたら、自分では気づけなかったことがたくさんあるので、やっぱり一つの役の可能性はとても広がると思います。
その度に答えが変わる人生の「ターニングポイント」
――今作は、人生を『逆再生』で描くミュージカルとなっていますが、笹本さんの人生でターニングポイントになったと感じるのはいつ頃ですか?
よくその質問をいただくのですが、その度に答えが変わっている気がします(笑)。今思うのは、初めてミュージカル『レ・ミゼラブル』に出たときですね。高校2年生のときに、オーディションを受けたのですが、ちょうどその頃って進路を決めなきゃいけない時期なんです。
大学がエスカレーター式だったので、そのまま進むかどうか悩んでいた時期だったのですが、ちょうどオーディションに合格したことがわかって。やっぱり受かったからには、いろいろなミュージカル作品に出たいという気持ちが一つに固まったのが、そのときだったのかなと思います。
――最後に、今作に対する意気込みを、あらためて聞かせてください。
まずは、緊急事態宣言がきっと解けている時期だと思うので、今まで演劇を観るのを我慢していた方も、きっと徐々に劇場に生の舞台を観に行かれるのではと思います。去年からずっと、“エンターテインメントが世の中にある意味”を自分の中で考えていて。コロナ禍で、上演をすることに対して、いろいろな意見があったんですよね。
だけど、私のInstagramにもよくメッセージをいただくのですが、演劇が大好きな方たちって、ものすごく熱くて温かいメッセージをくださるんですよ。「明日から頑張って生きていこうと思いました」とか「モヤモヤしていた気持ちがすごく勇気をもらって元気になりました」とか。
改めて、これが私たちの仕事の一番のやる意味なんだと感じましたし、お客様が客席に100%入ることが何よりも一番嬉しいことだけれど、それよりも生の舞台を観たいというお客様に、元気になって帰っていただけるように、今回の、ミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』もそうですし、今後決まっている舞台も含めて、全部そういう気持ちでやっていきたいと思います。 今作は、キャストを見ていただければわかるとおり、本当にすごい方ばかりで、ものすごく歌の上手い方が揃っていて、ミュージカルファンの方に満足していただける内容になると思うので、純粋に作品を楽しんでいただきたいと思っています。
取材・文:桑原梨沙(THEATER GIRL編集部)
Photo:比留川義一
公演概要
ブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』~あの頃の僕たち~
<東京公演>
2021/5/17(月)~5/31(月)
新国立劇場 中劇場
<愛知公演>
2021年6月4日(金)・5日(土)
<大阪公演>
6月11日(金)・12日(土)
【出演】
平方元基
ウエンツ瑛士
笹本玲奈
岸祐二
上口耕平
渚あき
中別府葵
宮原浩暢 (LE VELVETS)
中井智彦
井阪郁巳
家塚敦子
三木麻衣子
森 加織
雅原 慶
高木裕和
昆 夏美
今井清隆
朝夏まなと
作曲・作詞:スティーブン・ソンドハイム
脚本:ジョージ・ファース
演出:マリア・フリードマン
主催:ホリプロ アスミック・エース
企画制作:ホリプロ