鈴木拡樹×安井謙太郎×梅津瑞樹インタビュー『死神遣いの事件帖終（ファイナル）』「この世界観を噛みしめながら楽しんでいただけたら」（後編）

2025.08.08

INTERVIEW

2025年8月7日（木）、東京・サンシャイン劇場にて舞台『死神遣いの事件帖終（ファイナル）』が開幕します。

本作は、ムービー（映画）×ステージ（演劇）の挑戦的な融合を目指すメディアミックスプロジェクト【東映ムビ×ステ】シリーズの最新作。この舞台で壮大な物語のフィナーレを迎えます。

主演を務めるのは、これまでも『死神遣いの事件帖』シリーズで主役・久坂幻士郎を演じてきた鈴木拡樹さん。その相棒で、死神・十蘭を演じるのは、安井謙太郎さん。さらに、映画『死神遣いの事件帖終（ファイナル）』から登場した最恐の死神・無限狼を演じるのは梅津瑞樹さん。また、同じく映画から登場した新死神・弾正を森崎大祐さん、呪樹を田淵累生さんが演じるほか、松本寛也さんが義助役を、田辺幸太郎さんが保科正之役を、映画に引き続き演じます。さらに、舞台には鈴木裕樹さん、田口涼さんの出演が決定するなど、豪華キャストが集結しました。

THEATER GIRLでは、鈴木拡樹さん、安井謙太郎さん、梅津瑞樹さんにインタビュー。後編では、映像と舞台の作品づくりの違いや、舞台に期待していることなどを伺いました。

インタビュー前編はこちら

映像だと絶対に合わせなきゃいけない部分もある

――鈴木さんと梅津さんに、映像と舞台での殺陣の魅せ方の違いを伺いたいのですが。

鈴木：映像は、何回もいろんな角度から撮るのですが、舞台と違い、そのワンカットに対して被っていなくてもいい手があったりするんですよね。だから逆に、舞台の考え方からすると、“これは、どうやって被せにいけばいいんだろう？”と思うこともあるんです。なので、映像の場合は“たぶんこれは、別のカットのところが採用されるんだな”と思いながらやったりすることもあります。

でも、質問すれば答えていただけますし。“今撮っているこのカットは、どの辺の手が採用されるのかな”などと考えながらやっている不思議さはありますね。でも、それはそれで楽しいなと思います。

梅津：逆に、映像だと絶対に合わせなきゃいけない部分もあったりしますよね。“この距離に刃がなくてはいけない”とか。あと、今回の殺陣のシーンもそうでしたけど、3人が入り乱れているところの間を、カメラさんが撮影しながら通るんですよ。

鈴木・安井：うんうん。

梅津：それをケアしながら殺陣もやらないといけないから。お二人と戦いつつ、カメラさんが入ってくる瞬間だけパッとよけて、また戻って～みたいな。

音ゲーをやっているような緊張感があります（笑）。しかも、テンポを崩したらいけないんですよ。殺陣自体のテンポもそうだし、カメラさんが去った後、元の位置に戻るときのテンポとかもそうだし。映像での殺陣は、そういう難しさと楽しさがありますね。でも、誰よりもカメラさんが大変そうでした。

鈴木：たしかに！

比較的笑いの多い現場でした

――鈴木さんと安井さんは、『死神遣いの事件帖』シリーズの舞台へも出演されたことがあるので、これまでの稽古場の雰囲気を教えていただけますか。

鈴木：二人一緒に出た作品はないのですが、僕の出ていた回は、比較的笑いの多い現場でしたね。廣瀬智紀くんがいたのが最大の要因だと思いますけど（笑）。僕とはまた違う柔らかい空気感というか、不思議な自由さを持った人で。それがみんなを癒して、笑っていた印象がすごくあります。

安井：僕が参加したときは、ちょうどコロナ禍だったので、今のお話とは真逆で、ほとんど会話がなかったんですよね。お弁当もバラバラで食べないといけないし、稽古後は数人で帰ってはいけない、という感じだったので。ピン！　とした緊張感がありました。だからこそ、今回の稽古が楽しみです。

――今回の舞台から新キャストも加わりますが、楽しみにしていることは？

鈴木：新キャストが一番増えるのは死神なのですが、死神が増える＝楽しいことになるだろうなと。毎回、死神のキャラクターはみんな濃いので（笑）。僕は全員と絡めるかわかりませんが、今回も楽しみにしています。

安井：死神のビジュアルも楽しみですよね。武器に関しては、原点である鎌も出ちゃいましたし。

梅津：原点（笑）。

安井：だから、いったいどんな武器が出てくるんだろう、と。

鈴木：たしかに！

安井：個人的には、そこも楽しみです。

鈴木：それから個人的には今回、僕と同姓同名の鈴木裕樹さんが出演されるので、この絡みはちょっと楽しみですね。これまで、いつどこでご一緒できるかなと思いながらお芝居をやっていたところもあるので。今回、ついに一緒にやれるんだ！　という。

――それぞれの呼び方は、どうなるんでしょうね。

鈴木：「ズッキーさん」と呼ばせていただけたら、一番話は早いんですけど。

梅津：ダメってこと、あります（笑）？

鈴木：それはめちゃくちゃ低い可能性だとは思うけど、どうしようと思って。たぶん「ズッキーさん」と呼べたら、みんなも呼びやすくなるかなと。いや、僕も呼びたいですし（笑）。

安井：たしかに！　それ、ちょっと早めに決めましょう。どう呼んでいいかわからないまま、稽古が始まっちゃう（笑）。

梅津：そうですね。じゃないと、どちらかが「鈴木さん」で、どちらかが「ひろきさん」になっちゃいそう（笑）。

――梅津さんは舞台への出演は初ですが、稽古で楽しみにしていることはありますか？

梅津：やっぱり、映画とはまた違った役作りを楽しめるのかなと思うので……願わくば、笑いを担いたいですね。

鈴木：なるほど（笑）。

梅津：役者ってワガママだから。シリアスな芝居ばかりをやっていると、コメディをやりたくなるんですよ。なのに、コメディをずっとやっていると、「そろそろガツンとした作品をやりたいな」とかってボヤき始めたりするんですけど（笑）。

鈴木・安井：あははは！

梅津：僕は今、コメディをやりたい気持ちがとても強いので、笑いを担えたらなって。あと、笑いの絶えない現場になったらいいなという願いもあります。

劇場に足を運んでいるからこそ、集中して見られるところもあると思う

――ムービー×ステージのメディアミックスという革新的なプロジェクトでしたが、ならではのよさを感じるのはどういう部分ですか？

鈴木：今までも映像作品に挑戦はしてきましたが、映画のよさとはなんだろうと改めて考えたときに、映画も舞台も、お客さんが一歩を踏み出さないと体験できないものだな、と。そういうところで、舞台と近い部分もわりと多いんだなと気づけたのが『死神遣いの事件帖』シリーズでした。芝居をするうえですごくヒントをもらいましたし、この現場で学ぶことも多かったです。

自宅でくつろぎながら観られるよさとは違う、劇場体験といいますか、劇場に足を運んでいるからこそ、集中して観られるところもきっとあると思うんですね。そういう届け方を、映像作品でもできるのだと、このメディアミックスを体験したことで知ることができました。僕は、普段は舞台をやっている人間なので、それはうれしい発見でしたね。

――最後に、本作を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

梅津：映画『終（ファイナル）』の世界を、舞台でどう拡張していくのか。さらにその世界が深まるように、僕も少しでも助けになれればと思っています。僕らと一緒に、楽しい夏を過ごしていただけると幸いです。

安井：やっぱり、映像と舞台の両方を観ていただくことで、この作品への理解や楽しさがより深まるのではないかなと思うので、映画の世界が実際に目の前で繰り広げられるという、“生”だからこその臨場感を体験していただきたいです。『死神遣いの事件帖』シリーズの最後を、ぜひ劇場で見届けてください！

鈴木：舞台では、過去のお話なども描かれるみたいなので、そういう部分も楽しんでほしいなと思います。今回は無限狼がお笑い担当ということで（笑）。

確定ではありませんが、3人でちょっと笑いのシーンなんかもできたらうれしいなという期待も込めつつ。

やはり舞台ということで、過去作でもやってきたダンスや殺陣というのは、たぶん入ってくると思われます。そういう意味で、ショーアップした部分なども楽しんでいただけたらなと。『死神遣いの事件帖』シリーズは、これでファイナルを迎えますので、この世界観を噛みしめながら楽しんでいただけたらと思います。よろしくお願いします。