市村正親、松雪泰子、本田響矢、豊原功補ら出演。音楽劇『エノケン』開幕！「全てが見せ場です」

2025.10.07

REPORT

2025年10月7日(火)より日比谷シアタークリエにて音楽劇『エノケン』が上演される。

戦前・戦中・戦後……と、昭和の日本をとびきりの笑いで照らしつづけ、“エノケン”の愛称で親しまれた榎本健一。彼は、東京・浅草の小さなレビュー劇団「カジノ・フォーリー」の舞台に登場し、一躍注目されると、わずか数年のうちに、座員150名、オーケストラ25名を擁する日本一大きな劇団「ピエル・ブリヤント(エノケン一座)」の座長となった。

当時流行していたジャズと、スピーディーでナンセンスなギャグにあふれたその舞台は、エノケンの天賦の感性と体技、音楽性なくしては実現できない、まったく新しい喜劇として人気を博した。浅草のエノケンは、やがて、数々の喜劇映画がヒット、日本劇場、東京宝塚劇場、芸術座などの名だたる劇場で喝采を浴び、日本における喜劇俳優の第一人者となった。

エノケンの波乱の人生を新作戯曲として又吉直樹が書下ろし、演出をシライケイタが務める。主演の榎本健一を演じるのは市村正親。共演には、松雪泰子、本田響矢、豊原功補ら豪華キャストが揃った。

今回は、市村正親、松雪泰子、本田響矢、豊原功補が登壇した囲み取材の様子と舞台写真をお届けする。

まずは、初日に向けての自身の役どころや見どころについて、キャストそれぞれから語られた。

市村正親「エノケンを演じます市村正親です。喜劇王という役どころで、僕自身は悲劇が多いのですが（笑）、今回は喜劇をしっかりやろうと、一生懸命勉強してきました。年齢に負けないよう、パワフルにエノケンを演じていますので、どうぞお楽しみに。出ずっぱりなので、全てが見せ場です（笑）」

松雪泰子「エノケンさんの妻・喜世子とよしゑの二役を演じさせていただきます。二役を演じるので、そのあたりを楽しんでいただけたらうれしいです」

本田響矢「エノケンさんの息子・榎本鍈一と、劇団員の田島太一の二役を演じます本田響矢です。僕自身、舞台は7年ぶりで、約1ヶ月間の稽古を通して本当にたくさん学ばせていただきました。東京公演、地方公演ともに2ヶ月間全力で頑張ります。鍈一は、稽古を重ねる中で“本当に家族のことが大好きなんだな”と感じたので、家族の絆や紡いできた時間を感じていただけたらうれしいです。田島はとにかく全力で生きている人物です。物語冒頭に出てくるシーンなどは楽しんで観ていただけたらと思います」

豊原功補「菊谷榮という役を演じます。エノケンとともに劇団の座付き作家として舞台を支える脚本家です。菊谷榮は途中で戦地へ行くことになり、少し悲しい人生を歩むのですが、その後のエノケンの人生の過酷さと比べたらという感じです。舞台の方は盛りだくさんとなっていますので、ぜひ堪能していただければと思います。脚本を芸人である又吉さんが書かれているので、その世界観が存分に反映されていると思います。何より、市村さんが本当に心配になるほど出ずっぱりなので。僕はできる限り面白い舞台になるよう支えていければと思っています」

本作でエノケン役を演じる市村は、出ずっぱりで、本作は人生のすべてが詰まったような内容となっているが、「最初の場面では、台本上は1曲しか歌わない予定だったんですが、1曲だけでは“なんでこんなに頑張っちまったんだろう”というセリフが言えないと思い、2曲増やして、しょっぱなから3曲歌うような演出にしました。

とにかくお客様に喜んでもらえるようにしなければと思っています。エノケンというと映画などで知られている“喜劇王”としての姿が印象的ですが、彼の私生活や、根底に流れているものはあまり知られていません。その部分を今回、又吉さんがしっかり書いてくださっているので、そこを丁寧に演じていきたいと思っています」と語り、

一番苦労した点について聞かれると「どこもですね（笑）。全部大変なんです。特に『ここが』というより、全部です」とはにかんだ。

ずっと舞台上に出ていることについて市村は「抜くところは……相手がセリフを言っているときくらいです（笑）。でも、昭和初期の物語を演じながら、僕自身が役者を志したころの気持ちを思い出しています。でも共演者の皆さんと一緒に作っていくうちに、だんだんエノケンの生きた世界に僕も生き始めているなと感じます」と思いを述べた。

今回、二役を演じることについて、松雪は「早替えがありますので、物理的に大変な部分はあります。でも“ノンストップでエノケンさんを見つめ続ける”中で、時間の流れが変わっていく劇の面白さを感じながら、とにかく駆け抜けるような感覚です」と語り、

同じく二役を演じる本田も「市村さんや松雪さんの前で“大変です”なんて言えないです（笑）。お二人はずっと出ずっぱりなので。でも、鍈一として両親のもとを離れていく場面は、気持ち的にすごくつらくて心にくるものは大きかったです」と役柄について触れ、共演者の方から吸収したことについて聞かれると、「本当にこの約一か月間、たくさんメモをしました。いただいた言葉や稽古中に見て学んだことが本当にたくさんあったので。書き留めたこともあれば、自分の中にしっかり取り入れたものもあって、本当に感謝しています」と充実した稽古期間を振り返った。